仕事に没頭していたのに、やる気が出なくなった
前は朝起きられたのに、最近起きられない…
それは燃え尽き症候群かも
最近は女性も増えているよ!
なんで女性に多いの?教えて!
このような経験がある方は、燃え尽き症候群の可能性が高いでしょう。
燃え尽き症候群になりやすい人の特徴は「真面目」「完璧主義」などです。そして、燃え尽き症候群は女性がかかりやすいとも言われています。
今回は燃え尽き症候群に女性が多い理由を紹介します。記事の後半では、回復するための方法や、予防法についても詳しく解説しています。
最後まで読んで燃え尽き症候群から回復し、仕事や家事を無理なく行えるようになれば幸いです。
燃え尽き症候群とは
燃え尽き症候群とは「意欲的になにかに没頭していた人が、心身の疲れから燃え尽きたように意欲をなくし、社会に適応できなくなる状態」のことです。[1]
別名「バーンアウトシンドローム」とも言われ、1974年にアメリカの精神心理学者であるハーバート・フロイデンバーガーによって提唱されました。
以下の症状が現れたら、燃え尽き症候群の可能性があるでしょう。
- 朝起きられない
- やる気が出ない
- お酒の量が増える
- 職場に行きたくない
- 服装に気を遣わない
医療職、介護職、教師など「対人サービス系の仕事をしている方に多い」とされています。しかし現在では対人サービス系以外の方も、燃え尽き症候群を発症する場合があります。[1]
燃え尽き症候群の症状について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
燃え尽き症候群に女性が多い理由
2021年11月から2022年2月に行われたデロイトトーマツグループの調査では、世界に比べて日本の女性の方が「燃え尽きた」と感じている割合が高いという結果が示されました。[2]
燃え尽き症候群に女性が多い理由には、以下のようなものが挙げられます。
それぞれ解説していきます。
理由➀ 社会で女性が活躍しづらい
現在の日本は、女性が社会で活躍しにくい状況です。
日本の女性役員の割合は、2022年7月末時点では9.1%で、他の先進国では約30〜40%です。他国と比べると低い水準となっています。[3]
女性はお茶出しなどの雑務を任されることが多く、なかなか昇進できないとされています。また会社での立場が弱く、意思決定に関わる機会も多くはないでしょう。
そのような状況では「自分は期待されていないのか」と不安になり、仕事に対する達成感を感じにくくなってしまいます。
理由② 家庭でも仕事がある
女性は仕事に加えて家事や育児、介護の負担も大きいです。
2016年の調査では、以下のような結果があらわれています。
家事・育児・介護の時間 | |
男性 | 21〜65分 |
女性 | 156分〜273分 |
家事や育児などの時間は男性では多くても65分、女性の場合は少なくとも156分であり、女性は男性の倍以上の時間を家庭に使っているのです。[4]
仕事がある日の育児・介護の時間が長くなると、生活満足度の低下や、抑うつ・不安が強い傾向が見られています。[4]
仕事・家事などやらなければならないことが多いと、女性は燃え尽きやすくなるでしょう。
女性が燃え尽き症候群を回復する3つの方法
燃え尽き症候群になった女性が回復するには、以下のような方法があります。
燃え尽き症候群には薬に頼らずに、回復する方法があります。
回復方法① まわりに助けを求める
燃え尽き症候群になったら、まず周囲に助けを求めましょう。燃え尽き症候群を自分だけで回復するのは難しいです。
仕事量が多ければ「上司」や「同僚」に、家事の負担が多ければ「家族」に話をしてみてください。
相手に自分の状況を伝えることで、仕事や家事の分担をしたり、やり方を変更したりできます。
もしまわりに相談しにくい方は、医師やカウンセラーなどの専門家に相談することも検討してみてください。
回復方法② 職場の環境を変える
環境を変えることも、燃え尽き症候群の回復につながる方法の一つです。
職場では部署の異動や時短での勤務を希望できるでしょう。自分に合った仕事や人間関係であれば、やりがいを感じやすくなります。
もし異動しても心や身体の疲れが回復しなさそうであれば、転職も視野に入れてみてください。
また、一度休職をして心をゆっくり休ませてみましょう。休職している間に、別のやりたいことが浮かんできて、「この仕事ならやってみたい」という意思が出てくるかもしれません。
回復方法③ 「~すべき」の考え方をやめる
「~すべき」という思考はやめましょう。「すべき思考」は認知のゆがみの1つとされていて、自分や他人に対して厳しく接してしまいます。
「人に迷惑をかけてはいけない」「仕事も家事もこなさなければいけない」などの考え方は、自分を追いつめる原因です。[5]
認知行動療法は「すべき思考」などの偏った思考に、効果が期待されています。
認知行動療法について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
燃え尽き症候群の回復方法を他にも知りたい方は、こちらも参考にしてください。
燃え尽き症候群の予防方法3選
燃え尽き症候群を予防するための方法は、以下のようなものが挙げられます。
「やる気が出ない」「朝起きれない」など燃え尽き症候群の前兆を感じる前に、前もって対策をしてみてください。
予防方法① 上司と状況を共有する
普段から上司と自分の状況を共有しておきましょう。
共有するときは、なるべく自分の状況を客観的に伝えられるといいです。
また、伝えるときは「仕事の量が多いです」だけではなく、「仕事の量が多いので、書類作成を他の方にまわせませんか」と自分から提案してみてください。
自分から提案すれば、一緒に解決するために、上司もあなたのことを真摯に考えてくれるでしょう。
予防方法② 仕事の量を調整する
上司と相談する際には「仕事の量が自分にふさわしいか」を確認しましょう。
他にも以下のことに注目してみてください。
- 必要ないことを常にやっていないか
→お茶出し、掃除など - 簡略化できる作業はないか
- 休憩時間は取れているか
とくに対人サービス業に勤める人は、休憩時間をとりづらいかもしれません。
ですが、働きっぱなしは心身を疲れさせてしまいます。仕事の量を調整したり、休憩をしっかり取るようにしてください。
予防方法③ 家族と話し合う
家庭での仕事は多いので、家族と話し合って分担することが大切です。
まずはやることを可視化するために、それぞれのタスクを書き出しましょう。大きいタスクを書いたら、関連する小さいタスクも書いていきます。
たとえば「夕飯をつくる」には「献立を決める」ことが必要です。さらに「献立を決める」には「冷蔵庫に残った食材を確認する」「レシピを検索しておく」こともやらなければなりません。
それぞれの家事を細かくしていくことで「家族に何をしてもらいたいか」働きかけやすくなります。
まとめ
今回は燃え尽き症候群に女性が多い理由、回復方法や予防法についても紹介してきました。
燃え尽き症候群に女性が多い理由として、社会で活躍しづらく、家庭でも仕事を担っていることが挙げられます。
回復する方法には周囲に助けを求める、環境を変えるなどがありました。
もし相談できる相手がいないという方は、医者やカウンセラーなどの専門家に頼ってみましょう。
おおかみこころのクリニックでは24時間予約受付をしているので、お気軽に相談しに来てくださいね。
参考文献
[1] バーンアウトシンドローム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
[2] デロイト調査:働く女性のストレスレベルが上昇、50%が「燃え尽き症候群」であると回答|ニュースリリース|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
[3] 女性役員情報サイト | 内閣府男女共同参画局
[4] 「共同参画」2020年9月号 | 内閣府男女共同参画局
[5] 和歌山カウンセリングセンター|認知のゆがみ