テストが終わったらやる気がなくなった
インターハイが終わってから練習に行けない
それは燃え尽き症候群かも!
燃え尽き症候群は高校生でもなるの?教えて!
高校生活では勉強や部活など、意欲を持って取り組む機会がたくさんあります。
ただ、頑張りすぎると達成したときに燃え尽き症候群となる可能性も…
また、高校生のお子さんが急にやる気をなくして、どう接したらいいか分からない親御さんも多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するために、この記事では燃え尽き症候群の高校生に出やすい症状や対処法について分かりやすく解説します。記事の後半では、お子さんが燃え尽き症候群で悩んでいる方向けに、子どもとの関わり方も紹介します。
最後まで読んで、燃え尽き症候群との付き合い方を学び、楽しい学校生活を送る手助けになれば幸いです。
燃え尽き症候群の高校生にあらわれる4つの症状
世界保健機関(World Health Organization:WHO)では、燃え尽き症候群は職場で起こる問題であると定義しています。[1]
また、厚生労働省では燃え尽き症候群を以下のように説明しています。[2]
意欲を持ってひとつのことに没頭していた人が、あたかも燃え尽きたかのように意欲をなくし、社会的に適応できなくなってしまう状態のこと
バーンアウトシンドローム|e-ヘルスシンドローム
つまり年代や立場に関係なく、燃え尽き症候群になる可能性があるのです。
高校生では以下のような症状があらわれやすいです。
それぞれ解説します。
症状➀ 集中が途切れやすい
燃え尽き症候群では集中力が低下し、途切れやすくなります。部活や勉強で集中力が続かないと、普段ならありえないミスをしてしまいます。
ケアレスミスが積み重なると、ミスを修正するためにエネルギーを使ってしまい、本来やりたいことに集中できなくなるでしょう。
症状② 学校に行きたくない
何かをやろうとしても意欲が湧かないため、学校へ行く気になりません。
燃え尽き症候群では心も身体も疲れてしまうため、勉強や部活に使うエネルギーがなくなります。そのため学校に行く理由が見つからず「学校に行きたくない」と思うようになるのです。
「学校に行くのが面倒くさい」と感じているなら、燃え尽き症候群の可能性があります。
症状③ 他人と関わりたくない
これまで親しくしていた友人や部活の人と関わらなくなります。
同じ環境や熱量で過ごしていましたが、急にやる気がなくなることで周囲への罪悪感が生まれます。
「顔を会わせたくない」「こんな自分を見られたくない」と思うようになり、周りを避けたり冷たい態度をとったりしてしまうのです。
症状④ ネガティブな発言が増える
燃え尽き症候群になると否定的な発言が増えます。
意欲がないためできることも少なくなり、自己肯定感が下がるのが原因です。
高校では自分と同年代の子がたくさんいるため「自分なんて…」と思ってしまい、ネガティブ思考に陥りやすいです。
燃え尽き症候群の症状について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
燃え尽き症候群になりやすい高校生の特徴
高校生では勉強や部活に熱心に取り組んでいる人が、燃え尽き症候群になりやすいです。
それぞれのケースの特徴と、意欲が失われやすいタイミングについて解説します。
勉強に熱心に取り組んでいる人
高校生は大学受験や定期テストに取り組み、学生と学業は密接な関係にあります。
将来の仕事にも関わってくるため、親から「勉強だけはしなさい」とプレッシャーをかけられる人もいるでしょう。
ただ、「○○点以上とる」や「あの大学に合格する」といった感じで意欲的に勉強に取り組んでも、成果が出せずに燃え尽きてしまうケースがあります。
以下は勉強で燃え尽きやすいタイミングです。
- 定期テストの後
- 模試の後
- 滑り止めの大学に合格したとき
- 大学受験が終わったとき
ひとつの区切りがついたタイミングでやる気が失われやすいです。
試験に挑むまでに意欲が高まるため、試験の成功・失敗に関わらず、終わった瞬間に燃え尽き症候群になることもあります。
部活に打ち込んでいる人
部活に打ち込んでいる人も、燃え尽き症候群になりやすいです。
部活では以下のような人が燃え尽きやすいです。
- 練習熱心である
- キャプテン、副キャプテンなど役割がある
- 勝負に強いこだわりがある
まじめに取り組んでいる人や役職があり責任感が強い人は、やる気が失われる傾向にあります。
また、燃え尽き症候群は以下のようなタイミングでもなりやすいです。
- インターハイや国体など大きな大会が終わったとき
- 先輩が引退して自分たちが部活の中心になるとき
努力して挑んだ大会が終わり、注いでいた熱量がなくなると「もぬけの殻」のように燃え尽きてしまいます。
また代替わりで頼りにしていた先輩がいなくなるのも、喪失感が生まれやる気が失われます。
燃え尽き症候群になりやすい人を、詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。
燃え尽き症候群の高校生が抱えている悩み【具体例を紹介】
Yahoo!知恵袋で高校生から投稿されている燃え尽き症候群の悩みをいくつか紹介します。
「これ、私と同じかも…」というお悩みがあるかもしれません。
これって燃え尽き症候群?
「これは燃え尽き症候群ですか?
Yahoo!知恵袋 生き方・人生相談
高校一年生の時はテストで1桁の順位をとったり、毎朝5時に起きて自主勉強したり夏休みは毎日10時間は勉強するようにしていました。しかし、高二になった今、なかなか起きれず毎朝勉強できなくなり、夏休みは全く勉強出来ませんでした。勉強しようとしても眠気が襲ってきて集中出来ません。しかもテストがあと4日後にあるのですか何もテスト勉強してません。これは燃え尽き症候群ですか?解決策を教えてください。本当に今の自分が大っ嫌いです。」[3]
「以前は自主的に勉強を頑張っていたけど、現在全く勉強できていません。これは燃え尽き症候群でしょうか?」というお悩みです。
「この症状は燃え尽き症候群なのか」という判断に迷っている方は多いです。
燃え尽き症候群は以下の症状からチェックできます。
- 勉強や部活をやめたいと思う
- 周りの友人や部活仲間の顔を見るのが嫌になる
- 学校に行きたくない
- 今頑張っていることに意味がないと感じている
- 心も身体も疲れている
これらのチェックに多くあてはまる場合は燃え尽き症候群かもしれません。
チェックリストについてさらに詳しい内容を知りたい方は、こちらをご覧ください。
ただ甘えているだけ?
「勉強が好きなのに勉強をする事ができない。甘え?高1女子。
Yahoo!知恵袋 家族関係の悩み
(中略)
勉強できないと幸せじゃないです。成績が上がらないと毎日が楽しくないです。
なのに、勉強が好きなのに、しようと思うと苦しくて仕方がありません。
こう母に泣きながら伝えたら、「は?ただの甘えじゃん笑」と言われ家族に言いふらされました。
このまま自分が自分でなくなって、更に成績が下がるのが怖いです。
どうしたら勉強をする事が出来るようになりますか?」[4]
「勉強は好きだけど勉強しようとすると苦しくなる。母にも甘えと言われた。どうすればいいですか?」というお悩みです。
燃え尽き症候群についてよく知らない人ほど、悩んでいる人に甘えと言ってしまいます。燃え尽き症候群は甘えではなく精神的な疾患です。
人に甘えと言われたからといって、自分を追い込まないようにしましょう。
燃え尽き症候群と甘えの関係について、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
燃え尽き症候群の高校生がやるべき4つの対処法
燃え尽き症候群は、やる気がなくなり動けなくなります。
正しい対処法でストレスを減らせれば、早いうちに回復できるかもしれません。
対処法➀ ゆっくり休息をとる
心や身体の疲れやストレスを減らすには、しっかり休むことが大事です。
「なにかしなきゃいけない」のではなく「なにもしなくてもいい」というイメージを持つようにしましょう。
休むためには生活習慣を整えるのが大切です。
- 栄養バランスの良いご飯を食べる
- 湯船につかる
- 7時間以上は寝る
無理に行動せずに、家や公園などでゆっくり過ごしてみてください。
対処法② 違うことにチャレンジしてみる
「意欲的に取り組んできたこと」と「別のこと」にチャレンジしてみましょう。
燃え尽き症候群には、心に負担をかけているストレスの原因があります。その原因から「離れる」「別のことをしてみる」と、少しずつ意欲が出てくるかもしれません。
以下のように、やることを変えてみるのがおすすめです。
- 勉強で挫折した→運動する
- 数学ができない→国語や英語に取り組む
- 部活に行けない→友人と遊んでみる
別のことを試してみると「意外に楽しいな」と、気分が盛り上がる可能性もあります。ぜひ一度試してみてください。
対処法③ 目指すべき目標を決める
目標はひとつではなく、いくつか決めるようにしましょう。
設定した目標がひとつだけだと、その目標に「成功したとき」や「失敗したとき」に関わらず燃え尽きやすいです。
目標設定の仕方には以下のような方法があります。
- ジャンルを分けて設定する
→1教科に1つなど - 期間に分けて設定する
→短期:~~
中期:~~
長期:~~ - 数値を目安にする
→達成したかわかりやすい
目標が2つ以上設定してあると、1個を達成したときに「じゃあ次はこれを目指そう」とモチベーションを保ちやすいです。
対処法④ 友達や先生に相談する
信頼できる友人や先生に相談するだけでも、落ち込んでいる気持ちが楽になります。
勉強の悩みは「クラスメイト」や「塾の友達・講師」などに相談してみてください。また、部活の悩みは「部活の仲間(先輩後輩関わらず)」や「顧問の先生」などに相談するのがよいでしょう。
ただ「周りに知られたくない」と思う人もいると思います。身近な人に相談しにくい悩みもありますよね。
その場合は病院やクリニックなどの専門家に相談してみてください。まったく知らない他人の方が話しやすい場合もあります。
相談相手は「自分が悩みを話しやすい相手」や「悩みが解決しそうな相手」を選びましょう。
燃え尽き症候群の高校生に対する親の関わり方4つ
燃え尽き症候群について悩んでいるのは、高校生の子どもだけではありません。
「子どもが燃え尽き症候群かもしれない」「どうやって接すればいいのか分からない」という親もいらっしゃるでしょう。
ここからは、親としてお子さんへどう関わるべきかについて紹介していきます。
関わり方➀ 燃え尽き症候群について知る
子どもと接するうえで大事になるのは、燃え尽き症候群について知識があることです。燃え尽き症候群について知っていれば、子どもの気持ちを少しでも理解できるかもしれません。
「燃え尽き症候群で悩んでいる子ども」と「まったく知らない親」では、会話が噛み合わず、子どもが本当に伝えたいことも伝わらなくなります。
また「知らないなら話さない方がいい」と子どもが感じてしまうと、本来休むべき場所である家庭内がストレスの原因になることも考えられます。
燃え尽き症候群について少しでも知っておくと、悩んでいる子どもに寄り添って手助けできるかもしれません。
関わり方② 子どもの話を聞く
会話をするときは、しっかり子どもの話を聞くようにしましょう。話をしっかり聞くことで子どもに安心感を与えられます。
子どもからすると安心して話せる相手がいるだけでも、抱えている悩みが解決に近づくことがあります。
子どもの話を聞くときは以下のポイントを意識しましょう。
- 相手の方を見ながら相槌をうち
→しっかり聞いているという証になる - 具体的に話しやすい質問をする
→Yes/Noではなく、相手が言いたいことを言えるようにする - 子どもを責める、ネガティブな言葉は言わない
→子どもを否定することになる - 頑張った過程(プロセス)を聞く
→結果ではなく過程が大事だと分かる
関わり方③ しっかり休む時間を作る
自宅にいるときは、何も言わずにそばで見守ってあげましょう。
高校で勉強や部活を頑張っているお子さんにとって、自宅は心や身体を休ませる場所です。自宅で親から行動を急かされると、さらにやる気がなくなっていきます。
子どもが自分で行動するまで「何もしない」のも親の役割です。
関わり方④ 本人ができることは任せる
お子さんが自分でやろうとしていることは、手伝わずに任せるようにしてみてください。
自分で行動することで、成功体験を積み重ねられます。「自分でもできるんだ」と達成感を味わうと「じゃあこれもやってみよう」と、少しずつ意欲を持って行動するようになるのです。
家庭でできる小さな成功体験には、以下のようなものがあります。
- 食器を運ぶ
- 靴を揃える
- 自分の部屋を掃除する
親が全部やるのではなく、子どものできることが増えるように関わりましょう。
まとめ
この記事では、燃え尽き症候群の高校生に多い症状や対処法について解説しました。
勉強や部活といった学生特有のイベントの節目は、高校生が燃え尽き症候群になる原因となりやすいです。
大人と高校生の燃え尽き症候群では対処法が少し異なります。
また、子どもが燃え尽き症候群で悩んでいるときには、優しく見守ってあげるようにしましょう。
おおかみこころクリニックでは、高校生特有の症状にも1人1人丁寧にカウンセリングを実施しております。ひとりで抱え込まずにまずはご相談ください。
参考文献
[1] WHO|『疾病及び関連保健問題の国際統計分類(国際疾病分類)』第11版(ICD-11)「雇用および失業に関連する問題」
[2] バーンアウトシンドローム|e-ヘルスシンドローム
[3] Yahoo!知恵袋|燃え尽き症候群 高校生
[4] Yahoo!知恵袋|燃え尽き症候群 高校生