CAARSとは|結果と解釈の仕方を解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

この記事では、CAARSに関する以下の内容を解説します。

目次

CAARSの概要

CAARS(Conners’ Adult ADHD Rating Scales)は、18歳以上の大人が抱えるADHD(注意欠陥・多動症)の症状をチェックするための心理検査です。CAARSでは「注意が散りやすい」「じっとしていられない」「衝動的な行動が多い」など、ADHDに特徴的な行動パターンを数値化し、症状を評価します。

検査方式はおもに2種類。患者自身が記入する「自己記入式」と、家族や友人が記入する「観察者記入式」です。これらを組み合わせることで、より広い視点から患者の状態を把握できます。[1]

CAARSを実施することで、医師はADHDの診断だけでなく、その人の特性に合わせた治療法や向き合い方を提案できるようになるのです。[2]

※CAARSよりも簡単な大人のADHDのスクリーニング検査として、A-ADHD(Adult ADHD Self-Rating Scale)があります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

CAARSの回答方法

CAARSは66項目の質問に答えていく回答形式の検査で、約30分程度で完了する検査です。

自己記入式では患者自身が過去の自分の行動や経験を振り返り、それぞれの項目について「全く当てはまらない」「ほんの少し当てはまる」「ほとんど当てはまる」「非常に当てはまる」の4つの選択肢から、最も自分に合致するものを選んで回答します。[1]

観察者記入式は、両親や配偶者、友人などの患者をよく知る人が患者の行動を評価し、客観的な視点から情報を得るために実施します。

主観的にも客観的にも検査できますね!

CAARSの結果の見方

CAARSの結果は、いくつかの評価項目における「T得点」によって評価されます。

T得点とは「その人がADHDの特性をどの程度示しているか」を、一般的な平均値と比較して数値化したものです。
T得点が65点を超える場合は、ADHDの症状が日本人の平均を上回ることを意味しています。ただし、CAARSには明確なカットオフ値(陽性か陰性かを分ける値)は設定されておらず、T得点はあくまで評価の一つの目安といえるでしょう。

結果の解釈の仕方は、各評価項目のT得点を見て、得点が高い項目でどのような傾向があるのかを理解する必要があります。

各評価項目でT得点が高い人の傾向を、以下の表にまとめました。

結果に示される評価項目がどのような意味を表すのか、参考にしてみてください。

主な評価項目得点が高い人の傾向
不注意/記憶の問題もの覚えが遅い整理整頓や作業を終えるのに苦労する集中できない
多動性/落ち着きのなさ同じ作業を長時間続けられない他人と比べて落ち着きがなく、あちこち動き回っている
衝動性/情緒不安定他人と比べて衝動的な行動に走りやすい気が変わりやすい人に対してすぐに腹を立てる
自己概念の問題人付き合いが苦手である自分に自信がない自分自身に否定的な考えを持っている

あくまでも評価の目安として考えてくださいね

CAARSの信頼性

CAARSはADHDの傾向を評価するための信頼性の高いツールですが、その信頼性を得るには正確な回答が必須です。
CAARSは対象者自身が回答する形式の検査であるため、患者が自分を過大評価をしたり、観察者が意図的に回答を誤魔化したりすると、結果の信頼性が損なわれるのです。

このような状況を考慮して、CAARSでは回答の矛盾点をチェックできるようになっており、矛盾指標が高い場合には結果を慎重に解釈します。また、T得点が極端に高いとき(80点以上)には、正確な結果ではない可能性を考慮して評価されることもあります。[1]

CAARSはADHDの診断や経過観察のために有用な心理検査ですが、それだけで診断されるものではないことを理解しておきましょう。

ADHD症状が気になっている方、CAARSをご希望の方は「受付ページ」にてご相談を受け付けております。

まとめ

CAARSは、ADHDの症状を評価するための心理検査です。
患者自身と観察者が質問に回答する形式で行われ、主観的な視点だけでなく客観的な視点からも症状を評価できる信頼性の高い検査です。ただし、その信頼性は回答者に依存するため、それだけでADHDを診断できるものではありません。

ADHDは、CAARSの結果だけではなく、医師が総合的に判断して診断します。

参考文献
[1]CAARSマニュアル|厚生労働省化学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113081/201122036A/201122036A0013.pdf

[2]発達障害の原因、疫学に関する情報のデータベース構築のための研究 成人期のADHDアセスメント|厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業(身体・知的等障害分野)) 
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/182091/201817011A_upload/201817011A0010.pdf

目次