PFスタディでは何がわかる?検査のやり方や結果の見方について解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

PFスタディとは、性格検査のうちの投影法に分類される心理検査です。

性格検査では、検査を受ける人の「欲求態度」「情緒」「性格」などを調べます。
抽象的な質問や課題を与えて、被験者の無意識の特徴を調べるのが投影法です。[1]

今回はPFスタディのやり方結果の見方などについて解説します。

目次

PFスタディの概要

PFスタディ(Picture Frustration Study)では、2人以上登場人物のいるマンガ式の絵を用いて、被験者(検査を受ける人)に吹き出しの中に言葉を埋めてもらい、性格傾向を把握します検査の中で出てくるシチュエーションは全部で24種類あります。どの場面も、誰もが経験したことのあるものばかりです。[2]

PFスタディは別名「絵画欲求不満テスト」とも呼ばれ、ローゼンツァイクによって考案されました。

性格検査の1つである投影法に分類され、他にもロールシャッハテスト、バウムテスト、SCT(文章完成法テスト)などがあります。[1]

他の性格・人格検査は下記の記事を参考にしてください。

色々な検査があるので興味のあるものから見てみましょう!

PFスタディの目的

PFスタディの目的は、被験者自身が気づいていない一面を知ることです。

投影法は、被験者が感じたままに回答してもらうため、検査意図が伝わりにくいという特徴があります。また、PFスタディは、マンガの吹き出しを埋めるという、回答の幅が広い検査方法です。
被験者は意図的な回答ができないため、深層心理を理解するのに適しています。[1]

自分でも気づいていない自分に気づくことができるでしょう

性格検査にはもうひとつ「質問紙法」があります。これは体や心の状態についての質問が書かれた用紙に、あてはまる答えを記入してもらう方法です。
質問紙法では「人格」「行動上の特徴」「心の健康状態」を客観的に捉えられます。時間とお金がかからず、被験者の負担が軽いことが特徴です。[1]

PFスタディのやり方

PFスタディのやり方は、24種類あるマンガの吹き出しを埋めてもらうだけです。[1]被験者にはマンガの状況を連想してもらい、初めに思いついた言葉を回答させます。[3]

なんだか楽しそうな検査ですよね♪

マンガの場面は、自我阻害場面超自我阻害場面の2種類に分けられます。[3]

自我阻害場面

自我阻害場面とは、自分の意志とは関係なく、トラブルが起きてしまった場面のことです。計16場面から構成されます。

引用:P-Fスタディ|心理検査出版 三京房

超自我阻害場面

超自我阻害場面とは、自分のせいでトラブルになってしまい、それを他者から非難される場面のことです。計8場面から構成されます。

引用:P-Fスタディ|心理検査出版 三京房

PFスタディには「児童用」「青年用」「成人用」の3種類あり、被験者の年齢によって受ける種類が変わります。
児童用は小学生~中学生、青年用は中学生~大学生、成人用は大学生以上が対象となっています。

PFスタディの結果の見方

PFスタディの結果は、3種類の「攻撃の方向」と3種類の「攻撃の型」を組み合わせて判断します。[4]

攻撃の方向には「他責的」「自責的」「無責的」の3種類があります。

  • 他責的:他者や外界へ向けられる
  • 自責的:自分自身に向けられている
  • 無責任的:攻撃性がどこにも向かわない

攻撃の型は「障害優位」「自己防衛」「要求固執」の3種類です。

  • 障害優位:障害となる状況や苦痛に言及することで、間接的に示される
  • 自己防衛:障害をもたらす他者に対して、自分を守るために直接的に示される
  • 要求固執:障害や欲求不満の解決を目指す

以下のように、「攻撃の方向」と「攻撃の型」を組み合わせた9種類に当てはめます。

スクロールできます
障害優位型自我防衛型要求固執型
他責型他責逡巡反応欲求不満を起こさせた障害や苦痛の強調する例:
「困ったなぁ」
他罰反応敵意などが外界や他者に直接向けられる例:
「どういうことだ」
他責固執反応解決のために他者が何かしてくれないか期待する例:
「なんとかしてくれ」
自責型自責逡巡反応欲求を起こさせた障害を指摘せずに心にとどめる例:
「ええっ」といった驚き
自罰反応非難が自分自身に向けられて謝る例:
「すみません」
自責固執反応解決のために自ら努力したり、罪悪感から罪滅ぼしをする例:
「弁償します」
無責型無責逡巡反応障害の指摘を最小限にとどめる例:
「大したことではない」
無罰反応欲求不満への非難をせず、相手を許す例:
「仕方ない」
無責固執反応そのうち欲求不満を解決できると期待する例:
「なんとかなるよ」

PFスタディでは、さらに被験者の反応の特徴を捉えるために、「GCR」「反応転移」などの分析を加えて判断していきます。PFスタディでは、9種類のカテゴリを指標にして点数化をし、データを分析します。

GCRとは、一般的な反応傾向とどのくらい一致しているかを分析する方法です。
反応転移では、テストの前半と後半で心理的な変化がないかを分析します。

PFスタディの注意点

PFスタディの注意点は、検査者によって結果が変わるおそれがあることです。回答が同じであっても、分類を誤ると違う結果になります。[5]

検査者の結果分析が大切です

たとえば「私も喋るつもりはなかった」という言葉は『自責反応』に分類すべき回答です。しかし、これを「相手のせいだ」という意味で解釈すると『他罰反応』に分類してしまうでしょう。

このような誤りを無くすためには、検査者には主観を持たず、正確に分類するスキルが求められます。

まとめ

PFスタディとは、マンガの刺激図を用いて吹き出しの中に言葉を埋めてもらう心理検査です。

おおかみこころのクリニックでは、心理検査を実施しています。検査を希望される方は、以下のお問い合わせページからお願いします。

【参考文献】
[1]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY

[2]心理学教科書に扱われたP-Fスタディの現状と課題ー特に、教育心理学教科書を中心にー
https://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-KJ00000589222.pdf

[3]P-Fスタディにみる社会的表象としての攻撃反応のジェンダー・バイアス
http://repo.nara-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php/AN00181569-20100300-1012.pdf?file_id=2234

[4]おそれ型の愛着スタイルにおける攻撃性の抑圧
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/14/2/14_2_161/_pdf/-char/ja

[5]P-Fスタディのスコアリング上の諸問題について
https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/record/918/files/038-02.pdf

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