SP感覚プロファイルとは?対象年齢や判定の見方、活用方法を解説!

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

目次

SP感覚プロファイルとは

SP感覚プロファイルは、感覚の特徴(敏感さや鈍感さなど)について調べる検査です。
質問票は聴覚や視覚、口腔感覚など幅広い感覚に関する125項目で構成されています。

本人が日常生活で感じている困り感を把握し、サポート方法を考えるときに役立ちます。[1]
とくに自閉スペクトラム症のある方に有用な検査です。

本人にしか分からない感覚を客観的に知ることができる検査です

他のASDの心理検査は下記の記事からご覧ください。

SP感覚プロファイルの対象年齢

スクロールできます
SP感覚プロファイル感覚プロファイル短縮版乳幼児感覚プロファイル(ITSP)青年・成人版感覚プロファイル(AASP)
対象年齢3~82歳3~82歳0~36ヶ月11~82歳
回答者保護者・本人をよく知る大人保護者・本人をよく知る大人保護者・本人をよく知る大人本人
項目数125380~6ヶ月:367~36ヶ月:4860
表1:SP感覚プロファイルの対象年齢

SP感覚プロファイルの対象年齢は3〜82歳です(表1)。
保護者や本人をよく知る大人が質問に回答する他者評定式になっています。

質問は聴覚、触覚、口腔感覚などの幅広い感覚に関する125項目です(短縮版は38項目)。
感覚プロファイルには以下の2つもあるため参考にしてください。

  • 乳幼児感覚プロファイル(ITSP):対象 0〜36ヶ月
  • 青年・成人版感覚プロファイル(AASP):対象 11~82歳

青年・成人期版は、本人が回答する自己評定式です。
しかし、発達障害の方の中には自分の特性をよく理解できていない方がいます。

そのような場合は、自己回答よりも他者回答の結果を参考にした方がよいでしょう。
検査では、本人の年齢や状態に合ったものを選択します。[2][3]

ひとり一人に合った検査方法を行いましょう

SP感覚プロファイルの判定

SP感覚プロファイルの判定は「象限」「セクション」「因子」に分けられます。

おもに象限によって本人の感覚の特徴を把握し、セクションや因子でより詳しく分析していくのが特徴です。

ここでは「低登録」「感覚探求」「感覚過敏」「感覚回避」の4つの象限について解説します(表2)。

低登録感覚刺激(音や手触り、においなど)に気づきにくく、反応が遅れる状態。例:名前を呼ばれても気づかない
感覚探求自分を安定させるために特定の感覚を求める状態。例:水遊び、泥遊びを止められない
感覚過敏一定以上の感覚刺激に耐えられず苦痛を感じる状態。例:いろいろな音が流れている場所で集中できない、疲れを感じる[5]
感覚回避苦手な感覚刺激に対して過剰な拒否反応を起こす状態。例:苦手な音がすると手で耳をふさぐ[5]
表2:象限の解説と例[4]

それぞれの象限は「標準的」「高い」「非常に高い」の3段階で評価されます(図1)。

  • 標準的:平均的な範囲に相当する
  • 高い:障害のない人々の上位約2~16%の範囲に相当する
  • かなり高い:障害のない人々の上位約2%の範囲に相当する
SP感覚プロファイル
図1:SP感覚プロファイルの分類システム[2][5][6]

さらに「セクション」「因子」といった詳細な項目と組み合わせることで、本人の感覚の特性を明らかにしていくのです。

SP感覚プロファイルの活用方法

SP感覚プロファイルを活用することで、日常の困り感への対処法を考えられます。

以下では、4つの象限(低登録感覚探究感覚過敏感覚回避)ごとの対処法を解説します。

実例も紹介するので、実際の活用方法をイメージしながら読んでくださいね。[7]

具体例を紹介していますので、参考してくださいね

低登録

低登録は、感覚刺激に気づきにくい状態です。
この状態には以下のような対策が有効です。

  • 重要な情報を伝える前に注意を促す(例:急に話を始めず、メモを渡してから話す)。
  • 刺激のコントラストを高める(例:つまずきそうな場所にカラーテープを貼る)

このように刺激にメリハリをつけることで、刺激に気づきやすくします。

感覚探究

感覚探究は、自分を安定させるために特定の感覚を求める状態です。
この状態には、以下のような対策が有効です。

  • 好きな感覚をごほうびとして利用する(例:ごほうびに水遊びをする)
  • 感覚刺激を日常生活のスケジュールに取り入れる「センソリーダイエット」を実施する(例:水遊びが好きな子どもに皿洗いを手伝ってもらう)。

求めている感覚を止める方向ではなく、社会生活になじみやすい形で日常に取り入れていきましょう。

感覚過敏・感覚回避

感覚過敏・感覚回避は、特定の感覚刺激に苦痛を感じたり過剰な拒否反応を示したりする状態です。
この状態には、以下のような対策が有効です。

  • イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォンなどを使用する
  • 個室や落ち着ける部屋を使い、不快な刺激から身を守る

学校や職場では周囲の理解と協力を得られるよう、医師の指示書を見せたり事前に説明したりすることが必要です。

実例紹介

【Aくん(8歳、男児)】

自閉スペクトラム症の診断を受けている。
同級生とのトラブルが多いこと、授業に集中できないことに困っている。
SP感覚プロファイルを実施し、低登録、感覚過敏、感覚回避において「非常に高い」という判定が出た
そのため、以下のような対策を考えた。

  • 教室が騒がしいときや音楽の授業などでイライラしたときは、その場を離れる
  • 学習中はパーテーションを使い、他の刺激が入らないようにする
  • 先生の話に集中しやすいように、席を前方に配置してもらう

このように検査結果を活用することで、本人に合った対策を考えたり学校や家族に協力を依頼しやすくなったりします。

まとめ

SP感覚プロファイルは、感覚の特徴について調べる検査です。

判定は「低登録」「感覚探究」「感覚過敏」「感覚回避」の4つの象限に分かれています。
さらに「セクション」や「因子」などで細かい特徴を把握し、どのような場面でどのような行動を取りやすいかを明らかにします。

検査結果を活用することで、本人にあった対策を考えたり周囲に協力を依頼しやすくなったりするでしょう。
感覚の偏りで悩んでいる方は、SP感覚プロファイルで自分の特性を把握し、日常生活におけるストレス軽減に役立ててくださいね。

参考文献
[1]感覚プロファイルの臨床応用への期待 Ⅰ.はじめに
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/57/1/57_66/_pdf/-char/ja

[2]日本版感覚プロファイルの概要 Ⅱ.感覚プロファイルの構成
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/57/1/57_56/_pdf/-char/ja

[3]日本版感覚プロフィール 発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン
https://www.as-japan.jp/j/file/rinji/assessment_guideline2013.pdf

[5]発達障害ナビポータル 感覚の問題の評価 

[7]厚生労働科学研究成果データベース 感覚プロファイル
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202018008A-buntan2_1.pdf

[8]発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン 日本版感覚プロフィール
https://www.as-japan.jp/j/file/rinji/assessment_guideline2013.pdf

[9]感覚プロファイルの 臨床応用への期待 Ⅱ.感覚処理の問題への対応例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/57/1/57_66/_pdf/-char/ja

目次