ADHD-RSとは|結果の見方を詳しく解説
この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。
この記事では以下の内容について解説します
ADHD-RSの概要
ADHD-RS(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Rating Scale)とは、ADHD(注意欠陥・多動症)の症状の程度や治療効果を評価するための心理検査です。
ADHDは不注意と多動性・衝動性を特徴とする発達障害です。特性は人によって出方が異なり、不注意の症状が強い人もいれば、多動性が強く出る人もいます。
この特性ごとの症状の程度を知るのに役立つのが、ADHD-RSです。[1]
特性の程度がわかることで支援を考える参考になりますね
ADHD-RSの実施方法
ADHD-RSは、親や教師が回答する形式で行われます。
対象年齢は5〜18歳で、おもに小児を対象とした検査です。
質問は全部で18項目あり、9項目が「不注意」の領域、9項目が「多動性・衝動性」の領域で構成されています。
ADHD-RSは、10分程度で終了する検査です。
対象となる児童の最近6ヶ月の行動をよくあらわす選択肢を回答します。
「ない、もしくはほとんどない」「ときどきある」「しばしばある」「非常にしばしばある」この4段階から選択します。[2]
親や先生が回答するなら取り入れやすいですね
ADHD-RSの採点方法
ADHD-RSの採点方法は、選択した回答に対して以下の点数を加点していく方式です。[2]
- 「ない、もしくはほとんどない」:0点
- 「ときどきある」:1点
- 「しばしばある」:2点
- 「非常にしばしばある」:3点
ADHD-RSで評価に用いるのは「不注意」と「多動性・衝動性」の2つの領域のそれぞれの点数と、その合計点の3つです。
各得点は、スコア分析シートを使って子どもの性別や年齢に応じた該当箇所をチェックします。そこから、当てはまるパーセンタイル値(評価で使う数値)に換算し、評価に用います。
ADHD-RSの信頼性
ADHD-RSには、学校版と家庭版があり、それぞれ教師と親が回答する形式です。「学校」と「家庭」という異なる環境での子どもの姿を評価できるため、信頼性は高いといわれています。
さらにADHD-RS以外のADHDの心理検査(コナーズ等)を組み合わせることにより、ADHD症状の頻度に対して、より信頼性の高いデータを提供できるでしょう。[1]
家と学校では様子が変わりますよね!
ADHD-RSの結果の見方
ADHD-RSは、結果の解釈が難しいとされています。
カットオフ値(陽性か陰性かを分ける値)は、パーセンタイル値で80、90、93、98が設定されていますが、どの値を用いるのかは評価目的や調査する環境などによって変わるのです。
カットオフ値に影響を与えるものとして、以下のものがあります。[1]
- 年齢
- 性別
- 評価の目的(診断か除外か)
- 回答を記入した人(親か教師か)
- ADHD傾向(不注意型か混合型か)
- 調査する環境(病院か学校か)
ADHD-RSは、評価の目的や年齢、性別などの条件を考慮して、総合的にADHDを判断するものです。状況に応じて他の検査を組み合わせながら行うため、それだけでADHDを診断できるものではないことを理解しておきましょう。
おおかみこころのクリニックでは、ADHD-RSは実施していませんが、他のADHDに関する心理検査を実施しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
ADHD-RSは、ADHDの症状の程度や治療効果を評価するための心理検査です。小児を対象とした検査であり、対象児童の学校と家庭での様子をよく知る教師や親が回答する形式で行われます。
ADHD-RSは結果の解釈がやや難しく、カットオフ値も評価目的や年齢などで変化します。場合によっては他の検査と組み合わせて行い、総合的にADHDを診断するための検査といえるでしょう。
参考文献
[1]診断・対応のためのADHD評価スケール ADHD-RS【DCM準拠】
https://www.akashi.co.jp/book/b65786.html
[2]【分野15】精神医学|国立保健医療科学院
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/birthcohort/data/part2-3.pdf