TEG(東大式エゴグラム)はどんな心理検査|方法と結果の見方を解説
この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。
TEG(東大式エゴグラム)は、東京大学医学部心療内科TEG研究会によって開発された性格検査です。
性格検査のうちの質問紙法に分類され、「人格」「態度」「心の状態」を客観的に捉えることができます。
TEG(東大式エゴグラム)以外の性格検査は、下記の記事よりご覧ください。
TEGの概要
TEG(東大式エゴグラム)とは、東京大学医学部心療内科TEG研究会が開発した、交流分析理論に基づく性格検査です。[1]交流分析とは、人間関係に注目することで、人間関係の改善や自立的な生き方に役立てる心理学です。[2]
TEGは、人格検査のうちの質問紙法に分類され、質問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答します。
1984年に初版が出版されて以降、2006年に『新版TEGⅡ』、2019年に最新版である『新版TEG 3』が出版されました。『新版TEGⅡ』からの変更点は、以下の通りです。[1]
- 質問項目
- マニュアル(実施・採点方法、解釈など)
- 検査用紙、フィードバック資料のレイアウト
TEGは、自分の性格や行動パターンに気づいて、自己理解を深めるきっかけとなります。
人との関わり方を知ることで、自身と向き合うきっかけになります。
TEGの目的
TEGを使用する目的は、自己理解を深めて、他者との関係をうまく築くためです。TEGは、医療、産業、教育などの場においても利用されます。[1]
- 患者と医師・看護師とのコミュニケーションの改善
- 心療内科・精神科などでの治療方針の決定
- コミュニケーション能力の向上
- リーダーシップ開発
- 生徒指導や進路指導
- 保護者と教師とのコミュニケーション
TEGの対象年齢は16歳からなので、高校生以上であれば受けられる検査です。人間関係における行動パターンを測れるので、周りから見た自分の印象を掴めると考えられています。[3]
自分を客観的に捉えるために活用できますね!
TEGの方法
TEGでは、53個の質問に対して 「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答します。所要時間の目安は、回答に10分程度、採点に5分程度とされています。
『新版TEG3』の実施方法は3種類です。
- オンライン版(CAT版)
- 検査用紙
- マーク式用紙
オンライン版では、すべての項目に回答する検査用紙・マーク式用紙とは異なり、回答に合わせて最適な質問項目が提示されます。より少ない項目数で精度の高い測定ができることが特徴です。
検査用紙とマーク式用紙は、回答を用紙に記入する方法です。マーク式用紙ではコンピュータ採点をおこなうため、出版元である金子書房に用紙を送らなければなりません。結果が返ってくるまで14営業日程度かかるので、注意が必要です。
オンラインでもできるのは良いですね♪
TEGの結果の見方
TEGでは、以下の5つの自我状態のバランスから結果を見ます。自我状態とは、心の成り立ちをP(親の自分)、A(大人の自分)、C(子どもの自分)の3層構造で表したものです。[2]
- P(親の自分):自分や他者に対して厳しく接する一方で、優しく支援する
- CP(批判的親):社会の秩序やルールを守るよう厳しく求める
- NP(養育的親):育成的・支援的に働く
- A(大人の自分):現実に対応するために、冷静に判断する
- C(子どもの自分):思うままに振る舞ったり、親の顔色を見て行動したりする
- FC(自由な子ども):感情のままに行動する
- AC(順応した子ども):親や上司の意向に素直に従う
CP、NP、A、FC、ACがそれぞれ高くなると、以下の特徴があると考えられています。[3]
自我状態 | 長所 | 短所 |
CPが高い | ・自分に厳しい ・責任感が強い ・リーダーシップがある | ・他人に厳しい ・攻撃的になる ・自分の意見を押し付ける |
NPが高い | ・人の気持ちがわかる ・面倒見がいい ・親しみやすい | ・過保護になる ・おせっかいをかける |
Aが高い | ・客観的に判断できる | ・冷たくて人間味がない |
FCが高い | ・自分の感情を素直に表す ・好奇心旺盛である | ・自分勝手になる ・頑固である |
ACが高い | ・協調性がある ・従順で素直である | ・主体性がない ・他人の評価を気にする |
ひとつの自我状態だけでなく、複数の自我状態が高くなる場合もあります。
NP・ACが高い「N型」はお人よし、NP・A・FCが高い「台形型」は優しくて周りに貢献するなどのタイプもあります。[4]
TEGの注意点
TEGの注意点は、テストを受ける人が質問に対して誤解や理解不足があると、精度が低くなることです。[5]対象年齢は16歳以上ですが、高校生と社会人では知識に差がある可能性もあるため、注意しなければなりません。
また、性格検査のひとつである投影法と比べて、検査意図が明確なので、回答の操作がされやすいことも挙げられます。[5]
TEGを含む質問紙法は、自分を良く見せようとする「社会的望ましさ」が含まれるため、正確に評価することが難しいと考えられています。[6]
まとめ
TEGとは、自己理解を深めて、人間関係を良好にするのに役立つ心理検査です。
おおかみこころのクリニックでも、TEGを実施しています。他者との関係をうまく築くために活用してみたい方は、以下のお問い合わせページからお願いいたします。
【参考文献】
[1]新版TEG® 3 – 株式会社金子書房
https://www.kanekoshobo.co.jp/book/b487675.html
[2]15分でわかるはじめての交流分析 1|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトhttps://kokoro.mhlw.go.jp/e_transaction/data/e-learning.pdf
[3]心理検査による学生の心理特性把握の試み
https://core.ac.uk/download/pdf/233377942.pdf
[4]TEG(東大式エゴグラム)による性格分析―入学時性格と年次成績との関連―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2002/0/2002_0_783/_pdf/-char/ja
[5]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY
[6]バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版 (BIDR-J) の作成と信頼性・妥当性の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/17/1/17_1_18/_pdf/-char/ja