MSPAでわかること|結果の見方や活用方法、項目ごとの対策例とは

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

この記事では、以下の項目について詳しく解説します

目次

MSPAとは

MSPAとは、発達障害の方がどのような支援を必要としているかを明らかにする検査です。

発達障害の方が困りやすい14項目(社会適応、コミュニケーションなど)について、支援の必要性や困難感の強さを9段階で評価します。(図1)

MSPA
図1:MSPAの評価

結果はレーダーチャートとして示されるため、発達の凸凹(得意な部分、苦手な部分)が一目でわかるでしょう。

このレーダーチャートは、普段の生活で困っていることをもとに検査者と本人が共同で作成します。

検査を通して自己理解を深められるため、診断への納得感が生まれます。

この過程を通して治療者との信頼関係も築けるため、治療に対して前向きに取り組むことができるのです。

また、発達障害の方に関わるさまざまな人(会社の上司や学校の先生、医療者など)が、本人の特性を理解するときにも役立ちます。[1]

MSPA以外の発達検査は、下記の記事よりご覧ください。

信頼関係を築くことは支援してくためには大切なことですね!

MSPAでわかること

MSPAは、発達障害の方が持ちやすい14項目の特性について評価します。

診断基準に入らない項目も、あえて含められているのが特徴です。

レーダーチャートでは以下のような項目について評価します(表1)。

自閉スペクトラム症(ASD)の特性社会適応、コミュニケーション、共感性、こだわり、感覚、反復行動
発達性協調運動症*(DCD)の特性粗大運動、微細協調運動
注意欠如多動症(ADHD)の特性不注意、多動、衝動性
その他の特性睡眠リズム、学習、言語発達
表1:MSPAの評価項目

発達性協調運動症*(DCD):なわとびやスキップなど、体の動きを連動して行うことが難しい状態[2]

このように、MSPAでは自閉スペクトラム症だけではなく、発達性協調運動症や注意欠如多動症の特徴についても確認できます。

診断基準に含まれなくても、日常で困っていることも検査できます。
本当に必要な支援を考えるときに役立ちますね!

MSPAの結果の見方

MSPAの結果は以下のようにレーダーチャートで示されます。(図2)

  • 右上:自閉スペクトラム症(ASD)の特性
  • 右下:発達性運動協調症(DCD)の特性
  • 左下:注意欠陥多動性症(ADHD)の特性
  • 左上:その他
MSPA
図2:MSPAの結果

各項目において、数値が高いほど「手厚い支援が必要な状態」を示します。

ただし、数値の高低は「人より優れている」「劣っている」ことを意味するものではありません。

一部分を「普通」に戻すことにとらわれず、得意な部分に焦点をあてましょう。

MSPAでは、レーダーチャートの欄外に得意分野が記載されます。

本人と周囲が特技や得意分野に着目し、自己肯定感の維持や生活の安定を目指すことが大切です。[1][3]

得意不得意を把握して、できることを増やしていくことが大切ですね♪

MSPAの活用方法

MSPAの結果は、育児や就職の際にも役立つとされています。[4]

  • 子どもの特性や必要な支援を明らかにして育児不安を軽減する
  • 自分の特性(苦手な部分と得意な部分)を理解して無理のない就労につなげる

今回はより具体的に、各項目の数値が高い場合の対策を紹介します(表2)。

スクロールできます
コミュニケーションメールやメモを活用し、聞きもらしや聞き間違いを防ぐ
集団適応力、共感性意識的に周囲の様子を観察する
こだわりこだわりを「強み」としてとらえ、使用場面を切り替える(例:創作などの個人活動の場では使い、集団の場では使わない)
感覚他の人よりも敏感(鈍感)であると自覚し、あらかじめ周囲に伝えておく(例:騒がしくなったら別室に移動させてほしいなど)
粗大運動同じ動きを繰り返す種目やマラソンなど、得意な部分をのばす
微細協調運動得意(タイピングのように規則性のあるもの)や不得意(ひも結びのように規則性のないもの)を見分け、得意をのばす
不注意評定3程度:メールやメモのように環境の工夫で対処する4以上:メモの管理も難しくなるため、なくならないものにメモをする4.5以上:不注意のために事故がおこりやすくなるため、薬物療法を検討する
多動原因にもとづいて対応する(興味にひかれて動く場合、感覚過敏による苦痛で飛び出す場合など)4以上のときは薬物療法を検討する
衝動性評定3 程度:「待つ」ためのの工夫を考える4以上:薬物療法を検討する
表2:MSPAの項目別対策

上記で紹介した対処法はあくまでも一例です。

すべての方に同じ対策が有効ではないため、本人に合わせた方法を考えましょう。[1]

まとめ

MSPAは発達障害の方がどのような支援を必要としているかを明らかにする検査です。

発達障害の方が困りやすい14項目について、どの程度の支援が必要かを9段階で評価します。

結果はレーダーチャートのように図示されるため、特性を一目でとらえやすいでしょう。

数値の高い項目は手厚い支援が必要であることを意味しますが、他の人より劣っているわけではありません。

一部分を「普通」に戻そうとするのではなく、苦手な部分を得意な分野で補うことが大切です。

特性に合わせた支援を通して本人の強みを引き出し、育児や就職、学校生活などの場面で活用していきましょう。

参考文献

[1]MSPA(Multi-dimensionalScaleforPDDandADHD)**「発達障害用の要支援度評価スケール」Ⅱ.MSPA の説明(図 ₁)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/57/4/57_481/_pdf/-char/ja

[2]DCD支援マニュアル|第2章 DCDとは
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001122260.pdf

[3]MSPA 実施マニュアル3-7.フィードバック
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113081/201122021B/201122021B0001.pdf

[4]発達障害者の特性別適応評価用チャー トの開発に関する研究D.考察
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113081/201122021B/201122021B0001.pd

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