YG性格検査でわかること|やり方や結果の見方について解説
この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。
YG性格検査とは、日本人に合わせて作られた質問紙法による性格検査です。質問に答えることで「自分の性格はどんなタイプか」を理解できます。
今回はYG性格検査のやり方、結果の見方などについて解説します。
その他の性格検査が気になる方は、下記の記事もご覧ください。
YG性格検査の概要
YG性格検査とは、南カリフォルニア大学のJ.P.ギルフォードが考えた「ギルフォード性格検査」をもとにして、京都大学の矢田部達郎が日本人に合わせて作った心理検査です。矢田部とギルフォードの頭文字をとって、YG性格検査と呼ばれるようになりました。
YG性格検査は、性格検査のうちの質問紙法に分類されます。120問の質問項目に答えることで受検者の性格傾向を測定し、5つのタイプに分類します。[1]
質問紙法には他にも「新版TEG3(東大式エゴグラム)」「BDI-Ⅱ(ベック抑うつ質問票)」「STAI(状態・特性不安検査)」などがあります。[2]
性格の良し悪しを調べる検査ではないですよ!
YG性格検査の目的
YG性格検査を受けることは自分の性格傾向を把握し、適材適所を知るきっかけとなります。
YG性格検査は臨床の場だけでなく、採用試験や人財育成でも使用されます。「ルールを守るか」「情緒は安定しているか」「協調性はあるか」などの項目を測定し、これらの項目から5つのタイプに分類して、性格傾向を理解するのです。
たとえば「リーダー的な立場がいいか」「サポートする立場がいいか」などを考える手がかりになります。向いている部署や職種を判断するのにも役立ちます。
自分を客観的に知るきっかけにもなります
YG性格検査のやり方
YG性格検査のやり方は、120問の質問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答します。回答時間は約30分で、検査者もしくはCD音源が一定のスピードで問題を読み上げて回答を強制する「速度強制法」を用います。[1]回答方法は、以下の通りです。
はい | ? | いいえ | |
はい | 〇 | ||
いいえ | 〇 | ||
どちらでもない | △ | ||
はいに丸をつけたが、いいえに変える場合 | 〇 | ● | |
いいえに丸をつけたが、はいに変える場合 | ● | 〇 |
対象年齢は小学校2年~成人です。受験者の年齢によって種類が異なり、「一般用」「高校用」「中学用」「小学用」の4種類があります。小学用の質問数は96問と、他の種類よりも少なくなっています。[1]
YG性格検査の結果の見方
YG性格検査は、以下の2つの結果が出ます。[1]
それぞれ見ていきましょう。
プロフィール判定
プロフィール判定では、性格を構成する以下の12個の尺度の得点を測定します。[1]
尺度 | 得点が低い | 得点が高い |
D(抑うつ性) | 陽気で明るい | 悲観的 |
C(回帰性) | 落ち着きがある | 感情の起伏が激しい |
I(劣等感) | 自信過剰 | 自信がない |
N(神経質) | 楽天的 | 心配性 |
O(主観性) | 客観的に物事が見れる | 自分が正しい |
Co(非協調性) | 協調的 | 不信感 |
Ag(攻撃性) | 事なかれ主義 | 積極的 |
G(活動性) | おとなしい | 身体・精神的に活動的 |
R(のんきさ) | 慎重 | 衝動的 |
T(思考的外交) | 計画的 | 考えが大雑把 |
A(支配性) | 服従的 | リーダーシップあり |
S(社会的外交) | 人と関わりを持ちたがらない | 社交的 |
「外向的か内向的か」「情緒は安定しているか不安定か」など、受験者の特性を見出します。尺度ごとに分析されるため、自分の強み・弱みを知るのに役立つのです。
類型判定
類型判定では、性格を構成する12個の尺度から、以下の5つのタイプに分類されます。[1]
- A型(平均型)
- B型(不安定積極型)
- C型(安定消極型)
- D型(安定積極型)
- E型(不安定消極型)
調和性と繊細さを持つ傾向があるのがA型です。バランスの取れた考えのもと、状況にふさわしい行動をします。
B型は、感受性が強くて活動的な性格です。問題意識が高く、行動力がありますが、まわりと協調しづらい部分が見られます。
互いに協力し合い、状況に適応するのがC型です。恥ずかしがり屋な一面がありますが、周囲をなごやかにする優しい雰囲気を持っています。
D型は、明るくて開放的な性格です。大雑把な面や抜けてる面もありますが、さまざまな場面で活躍できると考えられています。
1つのことに集中して考えたり、まわりのことに気づいたりする傾向があるのが、E型です。心配性や引っ込み思案な面もありますが、自分の才能を発揮する人が多いとされています。
わたしはD型かなぁ?
型によって分類されてわかりやすい!
YG性格検査の注意点
YG性格検査の注意点として、抽象的な質問や課題を与える「投影法」と比べて検査意図が明確なので、回答の操作をしやすいことがあります。[2]
YG性格検査を含む質問紙法は、自分を良く見せようとする「社会的望ましさ」が含まれるため、正確な判断が難しいと考えられています。[3]
喜岡(2006)は、YG性格検査の12尺度において、社会的望ましさが含まれるか実験をおこないました。その結果「T(思考的外交)」「R(のんきさ)」「Ag(攻撃性)」の3尺度に変化はありませんでした。
しかし、「D(抑うつ性)」「C(回帰性)」「I(劣等感)」「N(神経質)」「O(主観性)」「Co(非協調性)」「G(活動性)」「A(支配性)」「S(社会的外交)」の9尺度は変化が見られ、社会的望ましさが含まれやすいことが分かりました。[4]
性格検査は良い・悪いを決める検査ではないため、結果が出ても気にしすぎないようにしてください。
気にしすぎないようにすることも大切です♪
まとめ
YG性格検査では、自分の性格傾向を把握して適材適所を理解できます。検査時間が短いため、誰にでも受けやすい心理検査と考えられるでしょう。
性格の良さ・悪さを判断するものではないので、自分自身を知るきっかけとして利用してみてください。
参考文献
[1]YG性格検査 | 竹井機器工業株式会社
[2]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY
[3]バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版 (BIDR-J) の作成と信頼性・妥当性の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/17/1/17_1_18/_pdf/-char/ja
[4]YG性格検査における反応歪曲の尺度得点への影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pacjpa/70/0/70_2EV008/_pdf/-char/ja