Conners3で分かること|結果の見方と活用方法を解説
この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。
この記事では、以下の項目について詳しく解説します。
Conners3(コナーズ・スリー)とは
Conners3(コナーズ・スリー)は、子どものADHD(注意欠陥・多動症)症状を評価するための心理検査です。ADHDに特徴的な「不注意」「衝動性・多動性」だけでなく、合併しやすいとされる「不安」「抑うつ」「素行障害(CD)」「反抗挑戦性障害(ODD)」についても評価できるのが特徴です。
Conners3は最新の診断基準(DSM-5)に基づいて作成されており、対象者の症状が診断基準を満たすかどうかの判断にも役立ちます。[1][2]
「不安」「抑うつ」などメンタル面を評価できるので、支援を考えるときに幅広く役立ちますね。
Conners3の実施方法と採点方法
Conners3は保護者用、教師用、本人用の3種類で構成されています。
対象年齢は6~18歳ですが、本人用の回答は8~18歳が対象です。[3]
Conners3は通常版と、通常版より質問数が少ない短縮版があります。それぞれの質問数は、以下の通りです。
標準版 | 短縮版 | |
保護者用 | 110問 | 45問 |
教師用 | 115問 | 41問 |
本人用 | 99問 | 41問 |
所要時間は、標準版で20分程度です。最後の2問については、自由記述式となっています。[1]
回答は、過去1ヶ月の対象児童の行動について以下の4段階で回答し、選択した回答によって加点される採点方式です。[4]
- 全然当てはまらなかった、全く起こらなかった【0点】
- ほんの少し当てはまった、ときどきそういうことが起こった【1点】
- よく当てはまった、そういうことがしばしば起こった【2点】
- とてもよく当てはまった、そういうことがよく起こった【3点】
Conners3では選択した回答をもとに採点し、その得点と年齢・性別に応じたT‐スコアで評価します。
T‐スコアとは「その人がADHDの特性をどの程度示しているか」を、一般的な平均値と比較して数値化したものです。Conners3ではT-スコアを参考に、各評価項目に基づいて総合的にADHDの特徴を評価します。[5]
20分程でできるなら、取り組みやすいですね♪
Conners3の結果の解釈
Conners3の結果は、おもに5つの評価項目で構成されています。[1]
主要因スケール
主要因スケールはADHDの特性を大まかに把握するものであり、以下の6つの項目について評価します。[4]
- 不注意
- 多動性・衝動性
- 学習の問題
- 実行機能
- 攻撃性
- 友人・家族関係
症状スケール
症状スケールはADHDの診断基準に基づいて、症状が「どの程度表立っているのか」「診断基準を満たすのか」を評価するものです。ADHDの特性である「不注意」「多動性・衝動性」と、合併しやすい「素行障害(CD)」「反抗挑戦性障害(ODD)」の4項目を評価します。[1]
スクリーニング項目
ADHDに合併しやすいとされる「不安」「抑うつ」の症状の有無を評価します。[1]
危険性項目
問題となる行為に対して、どの程度危険性があるのかを評価します。[1]
妥当性スケール
各評価項目について「信頼性があるのか」を評価するものです。実際の症状と回答に矛盾や偏りがないかどうかを示し、検査の妥当性を評価します。[5]
Conners3では、各評価項目によって対象児童のADHD症状を細かく評価できるツールとなっています。
症状がわかると、その子に合った関わり方や支援ができます
Conners3の信頼性と注意点
Conners3では、検査結果の有効性を確認するために妥当性を評価する項目が含まれています。また、複数の回答者から異なる環境下での情報を収集できるため、個々の特性や行動パターンをより詳しく理解できるのです。
ただし、日本語版Conners3自体の妥当性は、まだ検討されていません。そのため、文化的背景や言語の違いが結果に影響する可能性があることは否定できないのです。
Conners3は細かなADHD症状を評価できる心理検査ですが、結果の解釈には慎重になる必要があります。Conners3だけでADHDを評価するのではなく、他の検査を組み合わせて総合的に評価する必要があることを理解しておきましょう。
1つの結果にとらわれずに、他の検査と合わせて総合的に評価しましょう
おおかみこころのクリニックではConners3を実施していませんが、その他の子どものADHDを評価できる心理検査を実施しています。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
Conners3の活用方法とメリット
Conners3は子どものADHD症状の把握や診断だけでなく、治療計画や症状の経時的な変化を評価するのにも役立ちます。[1]
また、Conners3はADHD症状だけでなく、ADHDに併存しやすい症状や障害にも焦点を当てられる検査です。対象児童より幅広い視点から理解でき、的確な治療やサポートにつなげられる検査といえるでしょう。
まとめ
Conners3は、子どものADHDを評価する心理検査です。ADHDに特有の症状だけでなく、併存しやすい障害や問題にも焦点を当てて評価できます。
結果はTスコアにより、症状の特徴を診断基準に基づいて評価します。Conners3は、子どもの特性を理解するだけでなく、治療やサポートの計画、経時的な変化を見るためにも役立つ検査です。
参考文献
[1]Conners 3 日本語版 DSM-5対応(コナーズ・スリー)|千葉テストセンター
https://www.chibatc.co.jp/cgi/web/index.cgi?c=catalogue-zoom&pk=252
[2]作業療法ガイドラインADHD 0 版|日本作業療法士協会https://www.jaot.or.jp/files/page/gakujutsu/guideline/guideline_ADHD-0.pdf
[3]【分野15】精神医学
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/birthcohort/data/part2-3.pdf
[4]発達障害児の行動傾向と保護者のストレスの関係に関する研究|明星大学心理学年報2013,No.31,29―33
https://meisei.repo.nii.ac.jp/record/625/files/J-snrNo031a04.pdf
[5]コナーズ3の改変事項|金子書房
https://www.kanekoshobo.co.jp/files/conners3info.pdf