CAADIDで分かること|検査目的や内容を詳しく解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

この記事では、以下の内容について詳しく解説します。

目次

CAADID(カーディッド)の目的

 CAADIDはADHDを診断・評価するための心理検査です。18歳以上の成人を対象としており、大人のADHDを診断するために行われます。

ADHDの症状は小児期(とくに小学校低学年)からの持続的なものであり、小児期における症状の有無がADHDを診断するポイントです。

CAADIDは成人期と小児期、両方のADHD症状の有無を評価し、診断に役立てるために行われます。[1]

大人になってADHDに気づく方も多いようです。

CAADIDの実施方法

CAADIDは自己記入式の検査ではなく、面接形式の検査です。検査は、パートⅠとパートⅡで構成されています。

CAADIDは基本的に、初回面接でパートⅠ、2回目の面接でパートⅡの流れで行います。[1]

パートⅠ

パートⅠでは、対象者の生活歴(妊娠中~現在まで)を大まかに知ることが目的です。

面接実施前に、あらかじめ質問紙に回答を記入します。その後、面接で回答内容を掘り下げる形で約60~90分の面接をします。

パートⅠでのおもな質問内容と得られる情報は、以下の通りです。[1]

質問項目得られる情報
1. 患者背景出身地、家族構成
2. 成育歴子ども時代の様子、職歴など
3. ADHDの危険因子遺伝要因、環境要因、分娩時の異常など
4. 併存障害のスクリーニング不安障害の有無、気分障害の有無
5. 子ども時代の状況(本人)子ども時代の特徴的な出来事や状況
6. 子ども時代の状況(家族や関係者に尋ねる場合)保護者や兄弟から得られた、対象者の子ども時代の状況

パートⅡ

パートⅡでは、対象者がADHDの診断基準に当あてはまるかどうかを判断します。成人期と小児期の両方において、生活のなかで問題となるADHD症状の有無やその内容について面接で回答します。

面接の所要時間は、約60分です。[1]

問題となるADHD症状は、以下のようなものがあります。[1][2]

  • 短気で怒りを抑えられない
  • すぐに予定を忘れてしまう
  • じっとしていられず結果を考えずに行動が先走ってしまう

パートⅡでは現在の生活での困りごとや、子ども時代のエピソードについて掘り下げていきます。

子どものころ困っていたことを知ることも診断には大切です。

CAADIDにかかる料金と診療点数

CAADIDは現在、保険適応されていません。自費診療となるため、検査費用は医療機関や検査機関によって変わります。

検査費用のなかには、検査料金の他にも報告書作成代金が別途かかる場合もあります。検査費用が高額になる可能性もあるため、事前に検査機関で説明を受けておくと安心です。

電話して聞いてみましょう!

CAADIDの結果の解釈

CAADIDでは、パートⅠでの成育歴や生活歴パートⅡでのADHD症状からADHDの診断基準に当てはまるかどうかを判断します。

ADHDの診断基準は、以下の通りです。[2]

  • 「不注意」「多動性・衝動性」の症状が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められる
  • 症状のいくつかが12歳以前より認められる
  • 2つ以上の環境(家庭、学校、職場など)において症状が障害になっている
  • 発達に応じた対人関係や学業、職業の機能が障害されている
  • 症状が、統合失調症、またはほかの精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明できない

小児期と成人期それぞれについて、診断基準に沿って判断し、ADHDの診断とADHDのサブタイプ(不注意優勢型/多動性・衝動性優勢型/混合型)を評価します。[3]

CAADIDとCAARSの違い

CAADIDとCAARSは、どちらもコナーズ博士によって作成された成人のADHDを評価する心理検査です。

CAADIDとCAARSの違いは、以下の通りです。

CAADIDCAARS
用途ADHDの診断ADHDの重症度評価
対象年齢18歳以上18歳以上
形式面接質問紙
検査時間パートⅠ・Ⅱ:各60~90分約20分

活用方法は、通常「CAADID」でADHDの診断をした後に、「CAARS」を活用してADHDの重症度(症状の程度)を判断します。[3]

おおかみこころのクリニックでは、CAARSを実施しています。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

CAADIDの注意点

CAADIDは、ADHDの診断に役立てられる検査です。しかし、CAADIDだけでADHDを診断できるものではありません。実際の臨床現場でも、CAARSや他の心理検査を併用しながらADHDを診断することが推奨されています。[4]

CAADIDは、あくまでADHDを診断するためのひとつのツールであることを理解しておきましょう。

診断されることで受けられる支援などもあります

おおかみこころのクリニックでは、さまざまな心理検査を実施しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

CAADIDは、成人のADHDを診断するための面接評価ツールです。成人期と小児期のADHD症状を、決められた質問項目に沿った面接を通じて評価します。

結果はADHDの診断基準を基に解釈され、CAADIDによって得られた結果は、その後の検査や治療、サポートにつながります。

CAADIDは、あくまでADHDを診断するための補助として活用される検査です。それだけで、ADHDを評価できるものではないことを、理解しておきましょう。

参考文献
[1]CAADIDマニュアル|厚生労働科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113081/201122036A/201122036A0007.pdf

[2]ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット

[3]CAADID 日本語版|千葉テストセンター
https://www.chibatc.co.jp/cgi/web/index.cgi?c=catalogue-zoom&pk=124

[4]CAADIDマニュアル|厚生労働科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113081/201122036A/201122036A0008.pdf

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