SRS-2対人応答性尺度|結果の見方や検査項目、活用法とは

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

目次

SRS-2対人応答性尺度とは

SRS-2対人応答性尺度は、自閉スペクトラム症の特徴(対人行動、コミュニケーションなど)を評価するための検査です。

スクリーニング(自閉スペクトラム症の可能性を持つ人を見つける検査)としても利用されます。

検査対象は2歳半~18歳です。[1]

他の自閉症スペクトラム症の検査は、下記の記事よりご覧ください。

SRS-2対人応答性尺度の検査項目

SRS-2対人応答性尺度は、以下の5つの項目から構成されます。[2]

  • 社会的気づき
  • 社会的認知
  • 社会的コミュニケーション
  • 社会的動機づけ
  • 興味の限局と反復行動

それぞれの項目に関連した自閉スペクトラム症の特徴とともに解説します。(表1)

スクロールできます
社会的気づき概要「社会的な手がかり」を拾い上げる能力
特徴・人が何を考え、感じているかに気づかない
・「周囲から浮いている」「周囲との波長が合っていない」ことを気にしていない
社会的認知概要「社会的な手がかり」を解釈する能力
特徴・物事を文字通りに受け取りすぎて、会話が理解できない
・同年代の子どものように「物事の原因と結果」を理解できない
社会的コミュニケーション概要主体的に他者とやり取りする能力
特徴・努力しても友達を作るのが難しい
・日常会話の流れに乗ることが難しい
社会的動機づけ概要対人行動に参加する際の社会不安や抑制の傾向
特徴・人といるよりもひとりでいることを好む
・人前では過度に緊張している
興味の限局と反復行動概要不自然に繰り返す行動や特定のものへの興味
特徴・ほかの子どもと比べて、いつものやり方を変えることが難しい
・限られたことはうまくできるが、その他のほとんどのことはうまくできない
表1:SRS-2対人応答性尺度の検査項目

SRS-2対人応答性尺度の評価

以下では、SRS-2対人応答性尺度の評価方法や結果について解説します。

評価方法

SRS-2対人応答性尺度は、保護者や教師などが質問に答える「他者評定式」の検査です。

  • 社会的気づき
  • 社会的認知
  • 社会的コミュニケーション
  • 社会的動機づけ
  • 興味の限局と反復行動

これらの5項目に関する全65問の質問が設定されています。

本人の普段の様子について「0(あてはまらない)〜3(ほとんどいつもあてはまる)」の4段階で回答します。

子どもが小さくて検査が難しくても実施できますね!

結果

結果は「正常」「軽度」「中等度」「重度」の4段階評価です。

  • 正常:59点以下
  • 軽度:60〜65点
  • 中等度:66〜75点
  • 重度:76点以上

合計得点が高いほど自閉スペクトラム症の特性が強いことを示します。[3]

図1:SRS-2対人応答性尺度の結果

SRS‐2対人応答性尺度の活用方法

SRS-2対人応答性尺度では本人が苦手とする部分が明らかになるため、本人に合ったサポート方法を考える際に活用しましょう。

本人にあったサポートを行うことは大切です。

以下ではAさん、Bさんを例として、特性に合わせた対策を紹介します。

「社会的気づき」や「社会的認知」を苦手とするAさん

「社会的気づき」や「社会的認知」を苦手とする方は、世間で「常識」や「暗黙のルール」とされていることに気づけない傾向があります。

このような方には、以下のような対策が有効です。

  • SST(対人関係のつまずきを改善するための指導・治療法)で場面に合った行動や相手の気持ちを考える練習をする[4]
  • 遠回しな言い方や比喩表現を避けてもらうよう周囲に依頼する(例:「手を貸して」ではなく「手伝って」と言ってもらう)

「興味の限局と反復行動」に強い特性が見られるBさん

「興味の限局と反復行動」に強い特性が見られる方は、周囲の状況に合わせて柔軟に行動することが苦手です。

以下のような対策が有効でしょう。

  • ルーチンワークを担当する
  • 予定外の指示や順序の変更をしないよう周囲に依頼する
  • 自由度の高い活動(遠足や修学旅行など)は個別で対応する

このように、検査結果をもとに特性を把握し、本人に合わせたサポート方法を考えましょう。

まとめ

SRS‐2対人応答性尺度は、自閉スペクトラム症の特性や重症度を調べるための検査です。

検査は「社会的気づき」「社会的認知」など5項目から構成され、本人がどのような特性を持っているのかについても調べられます。

検査結果は本人が必要としているサポートや治療法を考えるときにも活用できます。

本人がより生活しやすい環境を整えるために、検査を活用していきましょう。

参考文献
[1]日本文化科学社
https://www.nichibun.co.jp/seek/kensa/srs2.html

[2]自閉症スペクトラムの重症度における発達特性と感覚特性の関連 Ⅲ.考察 2 )感覚特性と ASD 特性との関連

[3]不安症状を持つ自閉スペクトラム症児のための 小集団認知行動療法の開発とその効果 —パイロット・スタディ—方法調査材料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbct/47/1/47_19-021/_pdf/-char/ja

[4]学校におけるSST実践ガイド 子どもの対人スキル指導|佐藤正二・佐藤容子 金剛出版

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