HTPテスト・HTPPテストでわかること|やり方と結果の解釈
この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。
HTPテストとは、「家」「樹木」「人物」を描いてもらうことで、被験者の深層心理を調べる性格検査です。
今回はHTPテスト・HTPPテストのやり方、結果の解釈などについて解説します。
その他の性格検査は、下記の記事もご覧ください。
HTPテスト・HTPPテストの概要
HTPテストとは、被験者に「家」「樹木」「人物」をそれぞれ1枚の紙に描いてもらう投影法による性格検査です。バックが考案した検査で、それぞれの英語である「Home」「Tree」「Person」の頭文字をとって、HTPテストと呼ばれています。[1]
HTPテストを派生したものに「HTPPテスト」「S-HTPテスト」があります。HTPPテストとは、「家」「樹木」「男性」「女性」をそれぞれ1枚の紙に描いてもらう検査です。[2]一方でS-HTPテストとは、1枚の紙に「家」「樹木」「人物」のすべてを描く検査です。[3]
投影法にはHTPテストのほかにも「バウムテスト」「ロールシャッハテスト」「SCT(文章完成法)」などがあります。[4]
HTPテストの目的
HTPテストでは、被験者が子どもであっても、絵から自分の心がどんな状態かを理解できるとされています。[3]ほかにも「社会的成熟度」「対人関係の問題」なども把握できます。[5]
HTPテストを含む投影法は、被験者に抽象的な課題を与えて、回答してもらう方法です。被験者の深層心理を調べるのに適していますが、質問の意図が分かりづらいという特徴があります。[4]
知的障害のある子どもが検査を受けるときには、性格検査だけでなく知能検査としても役立ちます。また、強迫性障害やてんかんなどの精神疾患を見つけるのにも有効です。[3]
自分を知るための検査で、性格の良し悪しを知ら出る検査ではないので安心してくださいね!
HTPテストのやり方
HTPテストでは、「家」「樹木」「人物」をそれぞれ1枚ずつ描きます。樹木は1本、人物は1人です。「家」を描くときは紙を横に、「樹木」「人物」を描くときは紙を縦に使います。[6]
HTPPテストは「家」「樹木」「男性」「女性」をそれぞれ1枚ずつ描く方法、S-HTPテストは1枚の紙に「家」「樹木」「人物」を描く方法です。
絵を描き終わったら、検査者からそれぞれの絵について質問をされます。この質問はPDI(Post Drawing Interrogation)と呼ばれ、被験者の深層心理について解釈を深めるためにおこなわれます。[3]
細かな検査内容は検査者が把握しているので大丈夫ですよ。
HTPテストの結果の解釈
HTPテストで描く「家」「樹木」「人物」は、以下をあらわすとされています。[5]
- 家:成長してきた家庭状況
- 樹木:基本的な自己像
- 人物:自己像や重要な人物の認知の仕方
「家」の屋根や壁、「樹木」の根や樹皮、「人物」の頭や足など細かく見ると、以下のように解釈します。[5]
【家】
屋根 | 精神生活 |
壁 | 自我の強さ |
扉 | 他者への態度 |
窓 | 他者との関わり方 |
煙突 | 家族のあたたかさ |
【樹木】
根 | 現実との関係 |
樹皮 | 他者との関わり方 |
幹 | 生命力 |
葉・花・実 | 活力 |
枝 | 環境への適応力 |
樹冠 | 達成欲求 |
【樹木】
頭 | 知能 |
髪の毛 | 男らしさ |
目 | 外部と接触する器官 |
耳 | 受動的器官 |
唇 | 官能的 |
腕 | 自分を守る手段 |
肩 | 体力 |
手 | 対人関係に適応する手段 |
足 | 性格の安定性 |
衣服 | 承認欲求 |
靴 | 性衝動 |
たとえば扉を大きく描いたら、積極的に周囲と関わることで、自分を他者に印象づけようとしていると考えられます。
「地面を突き通した根」「上まで描かれてない幹」は、知能と感情のバランスがうまく保たれていないと解釈されるのです。腕を隠すようにして描いた絵は、攻撃的で敵意のある衝動を抑えようとする欲求があらわされています。[5]
また、三沢(2000)は精神分裂病(現在の統合失調症)の患者に対して、S-HTPテストをおこなったところ、診断の際に有効な検査であると示しています。検査をおこなった結果、「人物」は丹念に描かれる傾向があり、直立不動型、過大といった特徴が見られました。一方で、「家」は小さく雑に描かれる傾向があり、扉や窓がない家が目立ちました。「樹木」において、一本線で描かれた枝や幹、枯れ木などが特徴として挙げられます。[3]
HTPテストの注意点
HTPテストは絵を描いておこなう検査なので、絵に自信がない人は戸惑ってしまうかもしれません。しかし上手な絵よりも、一生懸命描いた絵の方がさまざまな情報を与えると考えられています。[1]
また、HTPテストを含む投影法は検査意図があいまいなため、被験者が不安に感じる可能性があります。その場合は検査を中止できるので、遠慮せずに検査者に伝えるようにしてください。[4]
検査に不安があるときは、検査の先生に相談しましょう
まとめ
HTPテストでは、「家」「樹木」「人物」を紙に描いてもらい、被験者の深層心理を理解していきます。
おおかみこころのクリニックでは、HTPテストは実施していませんが、ロールシャッハテストやバウムテストなど他の投影法による心理検査を実施しています。検査をご希望の方は、以下のお問い合わせページからお願いいたします。
【参考文献】
[1]ポケット図解 犯罪心理学がよ~くわかる本,越智 啓太,秀和システム
https://amzn.asia/d/6vdXjuz
[2]投影描画法によって現れたコンプレックス
https://www.tokyomirai.ac.jp/info/research/bulletin/pdf/05/fukawa.pdf
[3]統合型HTP法(S-HTP)に関する臨床的・発達的基礎研究
https://core.ac.uk/download/pdf/286923346.pdf
[4]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY
[5]不適応を示した学生の指導過程の分析ーHTPテストを活用した学生理解ー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/13/1/13_19900401005/_pdf/-char/ja
[6]House-Tree-Person testを用いた 不登校児の心理分析
https://yamanashi.repo.nii.ac.jp/record/3743/files/KJ00004527843.pdf