新版K式発達検査でわかることは|やり方と結果の見方について解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

新版K式発達検査とは、0歳から成人を対象とした発達検査です。発達検査とは、知能検査のひとつで、知的発達の問題を見つけるために開発されました。

今回は新版K式発達検査のやり方結果の見方などについて解説します。

その他の発達検査は、下記の記事をご覧ください。

目次

新版K式発達検査の概要

新版K式発達検査は、1951年に京都市児童院で作られた心理検査です。ビネー、ゲゼルなどの発達理論や発達検査課題をもとに、日本の言語・文化に合わせて作成されました。[1][2] 1980年に新版K式発達検査として標準化され、その後は2002年、2020年と約20年ごとに改訂されています。[3]

新版K式発達検査では、「姿勢・運動領域」「認知・適応領域」「言語・社会領域」の領域から発達状態を調べます。対象年齢は0歳~成人ですが、おもに0~7歳未満の子どもに使われる検査です。[4]

0歳からできるので早期発見に役立ちます。

新版K式発達検査の目的

新版K式発達検査を含む発達検査は、子どもの知的発達の問題を早期に発見することを目的としています。

被験者が幼い子どもの場合、知能だけを検査することは難しいです。そのため、発達検査では運動や認知のテストもおこなって、発達状態を評価します。[4]

総合的にみて、知的な部分を調べていく感じですね。

新版K式発達検査は、とくに乳幼児期の発達障害などの問題について評価する「アセスメントツール」として使用されます。[2] 2012年にNPO法人アスペ・エルデの会がおこなった調査では、乳幼児を対象とした検診をおこなう保健センターにおいて、新版K式発達検査の利用が多いという結果が出ました。[5]

新版K式発達検査のやり方

新版K式発達検査では、「姿勢・運動領域」「認知・適応領域」「言語・社会領域」の3つの領域でテストをおこないます。姿勢・運動領域は53項目、認知・適応領域は166項目、言語・社会領域は120項目、合計339項目ありますが、すべての項目はおこないません検査者は被験者の状態に合わせて、実施する項目の順番や数を臨機応変に対応します

以下に、それぞれの領域でおこなう項目例をまとめました。[3]

姿勢・運動領域
  • 体重を支える
  • 寝返りをうつ
  • 脚ではねる
  • 方向転換をする
  • 足を口に持っていく
  • 這い登る
  • 飛び降りる
  • 交互に足を出す
  • ケンケンをする
認知・適応領域
  • 両手を近寄づける
  • 顔を向ける
  • おもちゃを追視する
  • 10秒間両手で持つ
  • 瓶に手を出す
  • 持ち上げる
  • コップに触る
  • コップに入れる
  • 積木を置く
  • 重さを比較する
言語・社会領域
  • 呼びかけに反応する
  • 指さしに反応する
  • 検査者とボール遊びをする
  • 短文を復唱する
  • 数字を復唱する
  • 文章を整理する
  • 日時を答える
  • 反対語を答える
  • 大小を比較する
  • 長短を比較する

実施する順番が決まっていないからこそ、検査者はさまざまな子どもに臨機応変に対応して、「遊び=検査」にする必要があります。遊びが仕事である子どもは、遊びを通して最大の能力を示すのです。[2]

子どもの負担にならない検査ですね♪

新版K式発達検査の結果の見方

新版K式発達検査の結果から、「姿勢・運動領域(P-M)」「認知・適応領域(C-A)」「言語・社会領域(L-S)」「全体的領域」の4つの領域における「発達年齢(DA)」「発達指数(DQ)」を求めます。[2]

発達年齢とは、結果が何歳何ヶ月程度の水準に該当するかの指標です。一方で発達指数とは、発達検査の結果を表す指標です。

それぞれの検査項目の判定基準が満たされれば「通過(+)」、満たなければ「不通過(-)」となります。通過したすべての検査項目の数を計算したら、発達年齢と発達指数を求めます。[2]

検査項目を(+)と(-)に分けるのではなく、以下の4段階に分ける方法もあります。

磐石(+)基準を十分に通過できる満点の回答
基準ぎりぎり(+)通過基準には該当するが、まだ不十分である回答
惜しい(÷)通過基準にまでは達しないが、もう少しで達する可能性がある回答
まだまだの(-)通過基準にはまだまだ到達できない回答

回答レベルの段階を細かくすることで、より深く分析や解釈ができるようになるのです。[2]

新版K式発達検査の注意点

新版K式発達検査の結果だけで、すべてを判断しないようにしましょう子どもが検査者を信頼できなかったり、心を開けなかったりすると、本来の能力を発揮できない可能性があります。また「意欲」「疲労」などの要素にも影響を受けます。あくまでも、ひとつの目安としてください。[4]

新版K式発達検査は0歳から受けられるため、保護者が同席を求められることもあります。子どもが検査を楽しめるように、見守りましょう。

検査時の体調や気分もあるので、ひとつの目安にしましょうね!

まとめ

新版K式発達検査とは、被験者の発達状態を調べるためにおこなわれる検査です。

おおかみこころのクリニックでは、新版K式発達検査を実施していませんが、その他の知能検査、性格検査などを実施しています。

検査を希望される方は、以下のお問い合わせページからお願いいたします。

【参考文献】
[1]医療機関の発達外来における新版 K 式発達検査の利用を中心に
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasdd/43/4/43_352/_pdf/-char/ja

[2]新版K式発達検査の特徴と現場における臨床的応用
https://core.ac.uk/download/pdf/277538709.pdf

[3]現代の子どもの発達の様相と変化ー新版K式発達検査1983と2020の標準化資料の比較からー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jadsjournal/2/2/2_99/_pdf

[4]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY

[5]厚生労働省 平成 24 年度障害者総合福祉推進事業 報告書 発達障害児者のアセスメントツールの効果的使用とその研修について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/h24_seikabutsu-22.pdf

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