ASSQ-Rとは|質問項目やカットオフ値などをわかりやすく解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

目次

ASSQ-Rとは

ASSQ-Rとは、7~16歳の子どもを対象とした自閉スペクトラム症のスクリーニング(病気の可能性がある人を見つける)検査です。

親や教師が質問に回答し、得点が高いほど自閉スペクトラム症の可能性が高いことを意味します。

10分程度で回答できる検査のため、まだ自閉スペクトラム症の可能性に気づかれていない人々の集団(例:健康診断)で活用されます。[1][2]

10 分ほどだと取り組みやすい検査ですね!

ほかのASDの検査については、下記の記事よりご覧ください。

ASSQ-Rの質問項目

ASSQ-Rの質問は、自閉スペクトラム症の特徴が当てはまるかどうかを問う27問です。

各項目には、0(いいえ)、1(多少)、2(はい)の3段階で回答します。

質問の内訳は以下のとおりです。(表1)[3]

スクロールできます
質問項目質問数
社会的相互作用(社会性の乏しさ)11問周りの人が困惑するようなことも配慮しないで言う
コミュニケーションの苦手さ6問嫌みを言われてもわからず言葉通りに受け止める
限られたものへの興味やこだわり5問みんなから「○○博士」「○○教授」と思われている
運動面の不器用さやチック症状※5問場面に関係なく声を出す(咳払い、喉を鳴らすなど)
表1:ASSQ-Rの質問項目

※チック症状:意図せず起こってしまう体の動きや発声のこと(まばたきや咳払いなど)[4]

ASSQ-Rでわかること

ASSQ-Rでは、以下の4項目について明らかにします。

それぞれ解説します。

社会性

自閉スペクトラム症の3つの特性のうち「社会的相互作用」「コミュニケーションの障害」について調べる項目です。

自閉スペクトラム症の3つの特性とは、以下の3要素を意味します。[5]

  1. 社会性の乏しさ

人の感情や場の空気を理解できないため、人間関係で苦労しやすい

  1. コミュニケーションの苦手さ

ことばの理解や発語がうまくできないため、人とコミュニケーションがとりにくい

  1. 限られたものへの興味、こだわりの強さ

特定の物への強い興味や独自のこだわりがあるため、新しい環境に馴染めない

友人関係

社会性の問題(空気の読めなさやコミュニケーションの苦手さ)が原因で生じる二次的な問題です。

「仲のよい友人がいない」「いじめを受けている」などは保護者が気づきやすいため、自閉スペクトラム症の発見にとって重要なサインとなります。

周りのお友だちとの関わりはポイントになります。

「独自の興味」と「癖・こだわり」

自閉スペクトラム症の3つの要素のうち限られたものへの興味、こだわりの強さに該当する項目です。

「独自の興味」は思考面について、「癖・こだわり」は行動面について調べます。

ASSQ-Rのカットオフ値

ASSQ-Rのカットオフ値(自閉スペクトラム症の疑いがあるかどうかの境目となる値)は、以下の使用場面によって異なります。[6]

それぞれ解説します。

病院やクリニックで使用する場合

ASSQ-Rを病院やクリニックで使用する場合は、以下のカットオフ値が基準となります。

  • 両親が回答した場合19点以上であれば自閉スペクトラム症の可能性が高い
  • 教師が回答した場合22点以上であれば自閉スペクトラム症の可能性が高い

ASSQ-Rで判定できるのは、自閉スペクトラム症の「可能性が高いかどうか」です。

「可能性が高い」と判定されても自閉スペクトラム症ではない方もいるため、医療機関を受診して診断を確定させることが大切です。

検査結果と先生の診察を踏まえて診断します。

教育相談

ASSQ-Rを教育相談で使用するときのカットオフ値は以下のとおりです。

  • 両親が回答した場合13点以上であれば注意が必要
  • 教師が回答した場合11点以上であれば注意が必要

教育相談でASSQ-Rを使用する目的は、学校への適応困難(なじめない、問題行動があるなど)があり詳しい観察を必要とする子どもを見つけることです。

「必ずしも自閉症スペクトラムではないが、社会性に問題がある」状態をピックアップする基準値となります。

早く見つけることで、子どものストレスの軽減にもつながるでしょう。

「ASSQ短縮版」について

ASSQ-Rには「社会性」「友人関係」「独自の興味」についての11問から構成される「ASSQ短縮版」があります。

質問数が少なく短時間で実施できるため主に健診で使用されますが、特に利用が勧められているのは就学前の健康診断です。

知的な遅れのない発達障害(アスペルガー症候群)の特性に保護者が気づくのは、小学校1年生がもっとも多いとされています。そのため、小学校入学の健診で発達の特性を把握し、予防的な対策をとることが大切なのです。

早めの対策で子どもの過ごしやすい環境を整えることも大切ですね!

短縮版の結果が12点以上の子どものうち、約3割が自閉スペクトラム症と診断されています。[7]

医療機関の受診を勧められた場合は、必ず医師の診察を受けて診断を確定させましょう。

まとめ

ASSQ‐Rは、7〜16歳を対象とした自閉スペクトラム症のスクリーニング検査です。

自閉スペクトラム症に特徴的な「社会性」「言語」「行動」「興味」に関する27問について、保護者や教師が回答します。

利用場面によってカットオフ値が異なりますが、医療機関の場合は以下のときに自閉スペクトラム症の可能性が高いとされます。

  • 両親が回答した場合:19点以上
  • 教師が回答した場合:22点以上

ASSQ‐Rには主に健診で使用される「ASSQ短縮版」も存在するため、手軽に自閉スペクトラム症のスクリーニングが可能です。

あくまでも自閉スペクトラム症の「可能性」を調べる検査のため、診断の確定はできません。

ASSQ‐Rで自閉スペクトラム症の可能性が高いと判定されたときは、医療機関を受診し診断を確定させましょう。

参考文献
[1] ASSQ日本語版の心理測定学的特性の検証と短縮版の開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/3/85_85.13213/_pdf

[2]児童養護施設における高機能自閉症スペクトラム障害(ASD)のスクリーニングの課題 対象と方法
https://core.ac.uk/download/pdf/233607659.pdf

[3]自閉症スペクトラム・スクリーニング質問紙 (ASSQ)について Ⅰ はじめに
https://www.nise.go.jp/josa/kankobutsu/pub_f/F-112/04.pdf

[4]NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター チックとは
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease16.html

[5]厚生労働省 発達障害の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf

[6]高機能自閉症スペクトラム・スクリーニング質問紙 (ASSQ)について 3.スクリーニングのための最適なカットオフについて
https://www.nise.go.jp/josa/kankobutsu/pub_f/F-112/04.pdf

[7]ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性 Ⅰ.はじめに
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/57/4/57_603/_pdf/-char/ja

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