CBCLとは?検査の特徴や方法、検査後の流れまで詳しく解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

「子どもの行動がほかの子と違う…」そう感じると不安になるでしょう。

子どもの知能や発達段階を確認する検査や診断はいくつもありますが、そのなかでも、子どもの行動や情緒などを評価するテストが「CBCL」です。

今回は、CBCLについて詳しく解説します。検査の特徴や方法だけでなく、検査を受けたあとにどうすればよいのかまで解説していますので、これから検査を受けるか検討中であれば、ぜひ参考にしてください。

他の発達検査は下記の記事よりご覧ください。

目次

CBCLとは【子どもの行動チェックリスト】

出典: 児童思春期精神保健研究会/ASEBAに関して

CBCLとは、子どもの「情緒」と「行動」から問題点を明確にして評価するテストです

CBCLの対応年齢は2つに分かれており、幼児(2〜3歳)学童期~青年後期(4〜18歳)に区別されます。児童精神科領域で使われるテストは「CBCL 2-3(幼児用)」と「CBCL 4-18(学童〜青年後期)」がメインであり、発達障害の傾向があるかどうかを評価する際に使用されます。[1]

CBCLは「ASEBA」という「心理社会的な適応/不適応状態」を総合的に評価するシステムのなかの1つです。
幼児用ではCBCLのほかに「C-TRF(保育士・教諭用)」の2つ、学童用であればCBCLと「YSR(自分用)」「TRF(教師用)」の3つで構成されています。[2]

子どもの年齢に合った検査もあります。

CBCLを受ける4つのメリットと目的

CBCLを受けるメリットや目的は、おもに以下の4つあります。

  • 子どもの状態を客観的に捉えられる
  • 尺度ごとの特徴を把握できる
  • 発達障害を見つけるきっかけになる
  • 子どもに合った支援を検討できる

さらにほかの「YSR(自分用)」や「TRF(教師用)」もあわせて評価することで、さまざまな角度から子どもの状況や問題を捉えられるでしょう。そして各テストの評価から、場面ごとの子どもの問題行動や情緒(気分の落ち込みや不安が強いなどの気持ちの変化)を把握し、比較できます。

問題行動が多く見られる場合には、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を疑うきっかけにもなるのです。[3]

さらに検査結果を家庭内だけでなく、保育士や学校の教師などと共有することで、認識のズレが生じにくく、統一した支援を実施できる強みもあります。[4]

適切な支援を考えることができますね!

CBCLの評価項目と尺度

出典: 児童思春期精神保健研究会/ASEBAに関して

CBCLの検査は全部で113項目の質問があり、8つの尺度に分類されている。

それぞれの尺度と内容を表にまとめました。

スクロールできます
尺度項目項目内容上位尺度
ひきこもりひきこもる、話そうとしないなど内向尺度
身体的訴えめまい、頭痛、腹痛などの症状
不安抑うつ気分の落ち込み、不安が強いなど
社会性の問題行動が幼い、他人と仲良くなれないなど
思考の問題強迫観念、強迫行動など
注意の問題注意力が低い、落ち着きがないなど
非行的行動うそをつく、家出をするなど外向尺度
攻撃的行動けんかをする、物を壊すなど

※参考:日本総研/行動観察

CBCLでは上記の尺度ごとに、それぞれの問題行動を評価し点数化します。

CBCLの検査方法

CBCLは子ども本人ではなく、家庭内における子どもの様子や行動をよく知っている保護者もしくは養育者が解答するのが特徴です15〜20分ほどで解答できる内容となっています。[1]

まずは、子どもの適性に関する質問に解答します。続いて、「子どもの病気や障がい」「今一番心配なこと」「子どもの長所」などについて自由に記載します。そのため、尺度に合わせた評価だけでなく、子どもの特徴や情報を知ることにもつながるでしょう。

解答する際は、最近6ヶ月の子どもの行動や様子から、以下の数字のどれに当てはまるかを考えます。

  • 0:あてはまらない
  • 1:ややまたは時々あてはまる
  • 2:よくまたはしばしばあてはまる

全て解答し終えたら、点数を合計します。各尺度に対する得点は、年齢別・性別にT得点(個人の結果を一般的な平均値と比較するために数値化したもの)もしくはパーセンタイル値で確認できます。[2]

CBCL(行動診断)を実施するうえでの注意点

子どもは、家庭内と集団生活内で言動が変わりやすいとされています。それぞれの家庭には異なるルールがあり、対応する人もさまざまだからです。

社会活動を送る時間が長くなるにつれて、子どもは徐々に普段の言動や素直な感情を表出できるようになります。しかし、家庭の外で過ごす時間が短いうちは、自分の普段の行動や感情を抑えてしまうこともあるのです。これらの行動は、子どもたちにとってストレスに感じることがあります。このストレスを感じる時間が長くなると、のちに問題行動や精神症状(気分の落ち込みや睡眠障害など)に発展するおそれがあるのです

上記の行動が、発達障害によるものなのかストレスによるものなのかを見極め、ささいな変化を見逃さないことが重要です。[4]

また、CBCLなどの行動診断や知能検査は、発達障害を確定するものではありません。あくまで、子どもの特徴や傾向を知るためのものです。結果に不安が残る場合には、専門家に相談することが大切です。

CBCLを受けたあとの流れ

CBCLを受けて、問題行動や発達障害の可能性があることがわかったら、まずは発達障害を扱う専門の医療機関や、自治体の発達障害者支援センターなどに相談してみましょう。発達障害であった場合、早期に介入することで、本人のストレス(生きづらさや悩みなど)を軽減し、二次的問題(引きこもりや暴力、チック症など)を防ぐ効果が期待できます。

医師により正しい診断を受け、今後の方向性についてしっかりと話し合うことが大切です。[5]

子どもの現状を把握し、起きている問題や今後考えられる問題を明らかにする必要があるのです。そして、子どもの特徴や個性に配慮し、具体的な支援内容を検討していきます。
支援内容や今後の方向性が決まったら、家庭内だけでなく保育所や学校へ報告し情報を共有するとよいでしょう。周囲の大人が子ども一人ひとりの特性や性格を理解したうえで、統一した関わりを意識することが重要です。

両親だけが頑張るのではなく、周囲の大人全体で発達障害を持つこどもを支えることがポイントだよ!

まとめ

CBCLは、子どもの行動や気持ちの変化から、発達障害の傾向があるのかや起きている問題などを明らかにする検査です。発達障害の診断を確定することはできませんが、傾向があるかどうかを知るきっかけとなるでしょう。

子どもの行動が気になる場合には、一度専門家や発達障害者支援センターなどに相談してみましょう。

また、知能検査はほかにもあります。興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。

【参考文献】
[1]福岡心理テストセンター/CBCL 子どもの行動チェックリスト

[2]児童思春期精神保健研究会/ASEBAに関して
https://www.spectpub.com/CBCL/CBCLaboutASEBA.pdf

[3]公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター/障害者自立支援調査研究データベース5章 参考資料【CBCL】とは?
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/jiritsu-report-DB/db/20/135/report/report05-01.html

[4]日本総研/行動観察
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/column/opinion/detail/202304_mhlwkodomo_another9.pdf

[5]大塚製薬株式会社/お子さんの発達が気になる方へ
https://www.smilenavigator.jp/asd/content/

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