津守式乳幼児精神発達診断法とは|特徴と結果の見方について解説

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

津守式乳幼児精神発達診断法とは、養育者が子どもについての質問に答え、子どもの発達状況を調べる発達検査です。

今回は津守式乳幼児精神発達診断法の特徴結果の見方について解説します。

その他の発達検査について気になる方は、下記の記事をご覧ください。

目次

津守式乳幼児精神発達診断法の特徴

津守式乳幼児精神発達診断法とは、養育者が子どもに関する質問に答えて、子どもの発達状況や行動の特徴を理解する検査です。[1]直接検査者が子どもを検査したり、観察したりして、評価することもあります。[2]

子どもの発達過程を「運動」「探索」「社会」「生活習慣」「言語」の5つの領域で診断します。検査結果から、子どもの発達している領域と発達が遅れている領域を知って、診断や保育に役立てられるのです。[1]

どこが苦手でどこが得意かがわかると支援を考えるときに役立ちますね!

発達検査とは、子どもの知的発達の問題を見つけるための検査です。子どもの年齢や検査目的によって、検査の種類が異なります。[3]津守式乳幼児精神発達診断法のほかにも「遠城寺式乳幼児分析的発達検査」「新版K式発達検査」「新版S‐M社会生活能力検査」などがあります。

津守式乳幼児精神発達診断法の目的

津守式乳幼児精神発達診断法は、医療や福祉の場面で使用される発達検査です。[4]

医療の場面では、身体の病気を持つ子どもに対して、精神的な発達状態を知ることを目的に実施されます。診断では「知的発達は遅れていないか」「情緒・社会的な発達状態はどうか」などを知る必要があるため、津守式乳幼児精神発達診断法は治療の手がかりとなるのです。

また福祉の場面では、子どもが健やかに成長できるように教育する「保育」や、障害のある子どもが自立して生活できるように支援する「療育」に役立てるために実施されます。保育や養護を希望する人に対して「子どもの発達状態が集団生活に合うか」「発達が遅れている部分にはどんな援助が必要か」などを考慮するために使用されるのです。

子どもの色々な場面を見て、支援者同士で共有することで、みんなで同じかかわり方ができるようになります。

子どもを対象にする発達検査では「知能」だけでなく「運動」「生活習慣」などの項目があります。検査結果をあらわす「発達指数(DQ)」と、結果が何歳何ヶ月程度の水準に該当するか「発達年齢(DA)」が指標となります。子どもが実際の年齢に対して、どれくらい発達できているかを確認できるのです。[3]

津守式乳幼児精神発達診断法のやり方

津守式乳幼児精神発達診断法では、おもに養育者が子どもの行動に関する質問に答えます

対象年齢は0~7歳ですが「1~12ヶ月」「1~3歳」「3~7歳」と年齢によって質問項目が異なります。検査時間は約20分です。[1]

質問項目は、以下のように評価します。

〇:できる
△:できたりできなかったりする、もしくはやったことがない
✕:できない

養育者が答えるため、子どもの状況に関わらず検査を実施できます。たとえば子どもが寝てしまったり、検査を嫌がったりしても、検査に影響はでません。

津守式乳幼児精神発達診断法の結果の見方

「運動」「探索」「社会」「生活習慣」「言語」の5つの領域を診断し、発達年齢と発達指数を計算します。[2][3]

検査結果から、検査項目と月年齢を軸にした「発達プロフィール」が作成されます。発達プロフィールとは、それぞれの領域の点数をグラフにあらわし、領域ごとの発達状態を確認できるものです。発達に遅れがでている部分はないかを見られるので、診断の参考になります。

津守式乳幼児精神発達診断法の注意点

津守式乳幼児精神発達診断法では、養育者に質問するため、結果が養育者の主観に操作されやすい点に注意してください。新版K式発達検査と津守式乳幼児精神発達診断法を検討した調査では、質問項目の平均値がK式よりも津守式の方が高い結果となりました。高くなった理由として、結果が良くあって欲しいという養育者の気持ちが影響していると結論づけています。[5]

しかし、津守式乳幼児精神発達診断法を作成した津守氏は、養育者が観察した子どもの行動を整理すれば、発達の診断の基礎にできると考えています。養育者は子どもと過ごす中で、子どもの成長を見ています。たとえば、一人で立てるようになったり、言葉を発せるようになったりなどの成長があるでしょう。できるようになった行動を整理して発達過程を明らかにすれば、診断に活かせるのです。[4]

子どもの成長過程も判断材料になります。

まとめ

津守式乳幼児精神発達診断法とは、養育者に子どもに関する質問に答えてもらい、子どもの発達状態を調べる発達検査です。

おおかみこころのクリニックでは、津守式乳幼児分析的発達診断法を実施していませんが、その他の知能検査、性格検査などを受け付けています。

検査を希望される方は、以下のお問い合わせページからお願いいたします。

【参考文献】
[1]津守式乳幼児精神発達検査|心理検査専門所|千葉テストセンター
https://www.chibatc.co.jp/cgi/web/index.cgi?c=catalogue-zoom&pk=108

[2]Ⅹ アセスメントに利用される諸検査等 – 千葉県ホームページ
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shien/tokubetsushien/documents/r5310asesumento.pdf

[3]面白いほどよくわかる!臨床心理学,下山 晴彦,西東社
https://amzn.asia/d/bonNkMY

[4]乳幼児発達検査の変遷と保育への応用
https://core.ac.uk/download/pdf/12548851.pdf

[5]新版K式発達検査と津守式乳幼児精神発達検査の項目における差の検討https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmid/40/2/40_323_1/_pdf/-char/ja

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