CES-D(うつ病の心理検査)でわかること|活用場面や評価項目

この記事は検査の内容を含むため、
結果に影響を与える可能性があります。
検査を受ける本人でない場合のみ、お進みください。

目次

CES-Dとは

CES-Dは、地域や職場などの集団におけるうつ病のスクリーニング(うつ病の可能性を持つ人、ハイリスクな人を見つけること)を目的とした検査です。[1]

1977年に米国国立精神保健研究所(NIMH)により開発されました。[2]

対象年齢は15歳以上で、20項目について過去1週間における症状の頻度を「ない」「1〜2日」「3〜4日」「5日以上」の4段階で回答します。

自分で質問に答える自己記入式の検査で、10〜15分程度で回答できる簡単さが特徴です。

自己記入式ですが高齢者や視力障害者などの場合は、面接者が質問項目を読み上げる面接形式での実施が認められています。

CES-Dは、すでにあるうつ病の評価尺度であるSDSやBDIなどを参考に、項目の取捨選択をして作成されました。[3]

CES-D以外にもうつ病の心理検査について知りたいときは、こちらからご覧ください。

CES-Dの活用場面

CES-Dの活用場面として、以下が挙げられます。

  • 職場のメンタルヘルスチェック
  • 精神科・心療内科での重症度チェック
  • 治療前・治療中・治療後における治療効果の確認
  • カウンセリングルームでのうつ病スクリーニング
  • 内科や産婦人科など一般外来におけるうつ病スクリーニング

CES-Dは短時間で効率よくうつ病のスクリーニングができるため、医療関係や相談関係、産業界などにおける心の健康診断や精神健康調査として活用されています。[3]

CES-Dの評価項目

CES-Dの評価項目は、以下6つに分けられます。

  • 食欲低下
  • 不眠 
  • 抑制 
  • 抑うつ気分
  • 罪業感 
  • 抑うつ思考(希望や未来のなさ)

これらを評価するのはマイナス要素(16項目)とプラス要素(4項目)による質問です。

マイナス要素(symptom-present)では「普段なんでもないことがわずらわしい」や「食べたくない、食欲が落ちた」など、以下に関する質問をします。

  • うつ症状
  • 身体症状
  • 対人関係

プラス要素(symptom-absent)では「他の人と同じ程度には、能力があると思う」のように、ポジティブ気分について質問するのです。[1]

これらのCES-D項目はすでにあるうつ病評価尺度(SDSやBDIなど)を参考に、項目を抽出して作成されました。

CES-Dの採点方法・結果

CES-Dの結果を評価するのは、20項目による質問の合計得点です。

各質問における以下の選択肢に、それぞれ0〜3点が割り当てられています。[4]

  1. ほとんど、もしくはまったく感じることはなかった(1日未満)
  2. たまには、もしくは少々は感じたことがあった(1~2日程度)
  3. しばしば、もしくは結構感じたことがあった(3~4日程度)
  4. ほとんど、もしくはずっと感じていた(5~7日程度)

最高得点は60点(20項目×3点で60点)であり、点数が高いほど抑うつ状態が重いと判断します。

結果の分類は以下の4段階です。[5][6]

  • 16点未満:正常
  • 16~20点:軽いうつ状態
  • 21~25点:中程度のうつ状態
  • 26点以上:重度のうつ状態

CES-Dの回答用紙は2枚の紙を貼り合わせた複写式であるため、採点時は患者さんが回答を記入した1枚目の紙を剥がし、2枚目の紙で採点と判定を行います。[3]

CES-Dの注意点

CES-Dは自己評価(自己回答や自己記入)ができる人のみに適応できます。

高齢者や視力障害者などの場合は面接形式での実施も可能ですが、コミュニケーションに障害があり意思疎通を測るのが難しい場合は適応外となります。

また、CES-Dの結果は診断を確定させるものではありません。

患者さんに結果を伝えるときは「あくまでもうつ状態を数値化して判断するものであり、診断を確定させるものではない」という説明が必要です。

Q:CES-Dでうつ病という結果が出たら必ずうつ病ですか?

CES-Dでうつ病という結果がでても、うつ病であるとは確定できません。

CES-Dはうつ病のスクリーニング(うつ病の可能性を持つ人やハイリスクな人を見つけること)を目的とした検査です。

カットオフ値(検査の陽性と陰性を区切る値)を超えても、あくまでうつ病の「疑いがある」と判断されます。

また、カットオフ値を下回り「正常」と判断されても、疑いが消えたというわけではありません。

心理検査はあくまで診断の参考になるものであるため、診断の確定には医師の診察が必要です。[7]

CES-Dでうつ病という結果が出ても出なくても、気になる症状やつらい気持ちを抱えているときは医療機関を受診しましょう。

診断の参考にするものなので、素直な気持ちで答えましょう

Q:CES-Dで重度のうつ状態という結果が出て不安になってしまいました。入院や薬の増量など治療に影響が出ますか?

心理検査の結果のみで治療方針を決めることはありません。

CES-Dはうつ状態を数値化して客観的に評価し、心の中に抱えているつらさを本人や周囲の人が理解するためのツールです。

また、治療開始時・治療途中・治療後半などの節目で心理検査を実施することで、よくなっている部分や回復の様子を医師と本人が把握するためのものでもあります。

心理検査の結果はあくまで診察の参考になるもので、治療の主軸となるものではありません。

「心理検査の結果が重症だったから入院、薬の増量」と機械的に決まるわけではないため、安心して正直な気持ちを答えてください。

まとめ

CES-Dは地域や職場などの集団におけるうつ病のスクリーニングを目的とした検査です。

過去1週間における症状の頻度を「ない」「1〜2日」「3〜4日」「5日以上」の4段階で回答します。

10〜15分程度で効率よく本人の状態を把握できるため、医療機関や相談機関、企業のメンタルヘルスチェックなどで選択されやすいです。

結果は正常・軽いうつ状態・中程度のうつ状態・重度のうつ状態の4段階で判定されますが、CES-Dの結果はうつ病の診断を確定させるものではありません。

心理検査の結果はあくまでもうつ病の「疑いあり」という解釈なので、診断の確定には医師の診察を受けましょう。

心理検査の結果が正常でも、気になることやつらい気持ちを抱えている場合は医療機関に相談してください。

おおかみこころのクリニックでは、うつ病の診察や治療を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。ご自宅からの受診をご希望の場合は、オンライン診療のご利用がおすすめです。

【参考資料】
[1]日本テスト学会
https://www.jartest.jp/pdf/jirei2_1.pdf

[2]質問紙による健康測定 第11回うつ状 態評価のための自記式質問票
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/40/5/40_KJ00001990656/_pdf

[3]千葉テストセンター心理検査専門所
https://www.chibatc.co.jp/cgi/web/index.cgi?c=catalogue-zoom&pk=136

[4]産業医のための職域メンタルヘルス不調の予防と早期介入・支援ワークブック
https://ohtc.med.uoeh-u.ac.jp/mentalhealthworkbook/3.pdf

[5]抑うつ尺度と死にたいと思うほどの悩みやストレスの有無による分析
https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/51428.pdf

[6]新しい抑うつ性自己評価尺度について
https://www.institute-of-mental-health.jp/thesis/pdf/thesis-09/thesis-09-15.pdf

[7]こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1522

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