不登校を支援してくれる『フリースクール』ってどんなところですか?
フリースクールは、不登校の子どもに学習や教育の相談、体験活動などを通して居場所を与えてくれる施設だよ。[1]記事の中で解説するね
不登校の居場所のひとつとして、フリースクールが挙げられます。
ただ、フリースクールの利用率はまだまだ低いため「どんな場所なのかよくわからない」と感じているかもしれません。
そこで今回は、フリースクールの役割や過ごし方、メリットなどを紹介します。
記事の後半では、フリースクールの注意点や良いフリースクールの条件を紹介しているため、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
不登校支援におけるフリースクールの役割
不登校支援におけるフリースクールの役割は、子どもたちが自分で進路を考え自立する手助けをすることです。
子どもたちにとって不登校の期間は休養したり自分を見つめ直したりする時間になります。
その一方で、勉強の遅れや進路への不安が増えるなどのリスクがあるでしょう。[2]
フリースクールを通して他の不登校の親子と触れ合うことで、学校だけが子どもの育つ場所ではないことを理解できます。
フリースクールで「ここにいてもいいんだ」「悩んでいるのは自分だけじゃない」という安心感を持つことができ、自分で前に進んでいけるようになるのです。[3]
同じ悩みをもつ人に出会える場所でもあります!
フリースクールでの過ごし方
フリースクールの過ごし方は施設によって異なります。
ただし、多くの施設では以下のように過ごしています。[4]
- 個別の学習:81%
- 相談・カウンセリング:79%
- 芸術活動(音楽・美術など):75%
- スポーツ体験:70%
- 調理体験(昼食づくりなど):70%
フリースクールでは勉強に遅れがある子どもたちのために、本人が理解できる範囲で学習を進めています。
グループ学習や授業形式の学習をしたり、社会科見学や遠足を行ったりする施設もあり、過ごし方にはフリースクールの特色が出るでしょう。[5]
フリースクールの入会前には、子どもに合った過ごし方ができるかどうかを確認することが大切です。
フリースクールに通う3つのメリット
フリースクールに通うメリットとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
子どもの自信を回復させられる
フリースクールに通う1つめのメリットは、子どもの自信を回復させられることです。
フリースクールのスタッフは多くの不登校の子どもたちをサポートしてきた経験があるため、子どもの置かれている状況や気持ちを理解してくれます。[3]
子ども同士のふれあいによっても子ども自身が「悩んでいるのは自分だけじゃない」「ここにいてもいいんだ」と思えるようになるでしょう。
「自分は自分のままでいい」と思える環境によって自信を取り戻し、自力で前に進む気力を取り戻せるのです。
本当にやりたいことに気づける
2つめのメリットは、自分の本当の気持ちに気づけることです。
不登校の子どもは心のエネルギーが低下しているため「自分は何がやりたいのか」「何が好きで何が嫌いか」がわからなくなっていることがあるのです。
フリースクールでは、学校のように「今は〇〇する時間」と強制されることはありません。
「好きなことをして生きていいよ」と子どもの意思を大切にするため、子ども自身が何をしたいのか考えられるようになるのです。[3]
自分らしさを取り戻す場所です
親の不安を軽減できる
フリースクールは、親自身の不安を軽減する役割もあります。
多くのフリースクールでは「保護者会」というイベントを通して、子どもたちの様子を共有したり親同士で交流する機会が設けられています。
子どもが不登校になると親はママ友や地域の人と疎遠になり、孤独感を抱えることが少なくありません。
フリースクールで同じ境遇の人とつながることで親自身の不安を軽減し、子どもの不登校を前向きに受け止められるようになるのです。
フリースクールに通う3つの注意点
フリースクールに通う注意点として、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
経済的な負担が増える
費用や支払方法はさまざまですが、フリースクールに通うためにはお金がかかります。
フリースクールは民間の団体が運営しているため行政からの補助金はなく、入会金と月額費用(授業料)が必要です。[6]
入会金の平均は53,000円ほどで、月額費用の平均は33,000円ほどとされています。[7]
遠方であれば通学の費用もかかるため、決して負担が少ないとは言えません。
ただ、生活困窮世帯に対して減免措置(負担を軽減してくれる措置)をとっていることがあるため、経済的な不安がある場合はフリースクールに問い合わせましょう。
出席扱いにならないことがある
フリースクールに通うときは、出席扱いになるかどうかの確認が必要です。
出席扱いされるためにはフリースクールと学校が連絡を取り合い、学校の校長が認めた場合とされています。[8]
学校との連携が取れているフリースクールでは「今このような内容を勉強しています」と学校の担任に報告しているため、学校側の理解も得やすいでしょう。
見学会や相談会で学校と連絡を取っているかどうかを確認するのが大切です。
近くにフリースクールがない場合がある
フリースクールの多くが東京や大阪などの大都市に集中しているため、近くにフリースクールがない場合があります。
徒歩で通える範囲にフリースクールがない場合は、電車やバスを使って片道1時間から2時間の範囲であれば選択肢に入れましょう。
子どもの体力や特性、経済的な事情と相談し、週に2~3日であれば登校できそうなフリースクールを選ぶのがおすすめです。[3]
登校が難しい場合は、オンライン型のフリースクールという方法もあります。
各県のホームページではフリースクールの一覧を掲載しているため、ぜひ参考にしてください。
(例:静岡県市教育支援センター 適応指導教室一覧・県内フリースクール一覧|静岡県公式ホームページ (pref.shizuoka.jp))
よいフリースクールの3つの条件
よいフリースクールの条件として、以下の3つが挙げられます。[3]
それぞれ解説します。
信頼できるスタッフがいる
1つめのよいフリースクールの条件は「信頼できるスタッフがいること」です。
不登校の子どもは心が疲れて自信を失っています。
無理に学校に戻そうと説得したり子どもの性格を治そうとしたりするスタッフがいると、子どもは「やっぱり自分はダメなんだ」と自分を否定するようになるでしょう。
子どもにとって大切なのは学校に戻ることではなく、ありのままの自分を認めてもらえることです。
好きな漫画やゲームに興味を持ってくれたり一緒に遊んでくれたりするスタッフがいると、子どもたちは安心して過ごせるでしょう。
「親の不安に共感してくれるか」や「親自身が相談しやすい雰囲気があるか」も重要です。
事前の見学会や相談会では、スタッフの雰囲気が子どもに合いそうかどうか、親の話をじっくり聞く余裕があるかもチェックしましょう。
子どもたちの意見を取り入れている
2つめのポイントは「フリースクールの運営に子どもたちの意見を取り入れているかどうか」です。
よいフリースクールでは、子どもたちが「今週はどんな活動をするか」「どんなルールが必要か」などを話し合う機会が設けられています。
話し合いを通して相手を尊重しながら自分を大切にする力や、心地よく過ごす方法を考える力が育まれていくのです。
このような主体性はスタッフが一方的に決めたルールを守らせ、子どもたちを管理するフリースクールでは身につきません。
ルールや日課はどのように決めているのかなど、運営の方針についても確認しておきましょう。
入会前に相談や見学、体験ができる
3つめのポイントは「入会前に相談や体験ができるかどうか」です。
不登校で自信を失っている子どもは、フリースクールという新しい場所や知らない人ばかりの環境にとても緊張しています。
入会後のスムーズな利用のためには、事前の相談会で不安を解消したり話しやすそうなスタッフや同世代の子どもと触れ合うことが大切です。
相談や体験の機会を設け「いつでもおいで」「待ってるよ」と歩み寄ってくれる姿勢を持つフリースクールを選ぶのが良いでしょう。
まとめ
フリースクールには、子どもたちが自分で進路を考え、自立の手助けをしてくれる役割があります。
多くの施設では学習や体験活動、カウンセリングなどを日課としていますが、学校のように活動への参加を強制されることはありません。
よいフリースクールでは子どもたちの気持ちを尊重し「あなたはあなたのままでOK」「あなたが本当にやりたいことをやろう」とありのままの姿を受け止めてくれます。
そのため子どもが無理せず通い続けることができ、少しずつ自信の回復につながるのです。
フリースクールを選ぶときは事前相談会や体験会に参加し、スタッフの雰囲気や運営方針が子どもに合いそうか確認しましょう。
フリースクールの費用や出席扱いになるかも重要なポイントです。親子にとって無理なく通い続けられるフリースクールを選びましょう。
【参考資料】
[1]文部科学省 フリースクール・不登校に対する取組
https://www.mext.go.jp/march_lion/torikumi_futoukou.htm
[2]1 不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方 (1)支援の視点 不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
[3]フリースクールを考えたら最初に読む本 石井志昂 主婦の友社
[4]フリースクール等の支援の在り方に関する調査研究 1.2.4 活動の状況
https://www.mext.go.jp/content/20200428-mxt_jidou02-000006888_1.pdf
[5]神奈川県教育委員会 不登校児童・生徒の将来の社会的自立や学校生活の再開に向けて 2 フリースクール等の活動について(学習、活動、その他)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/02/16/1366964_03.pdf
[6]文部科学省 不登校児童・生徒の将来の社会的自立や学校生活の再開に向けて 5 フリースクール等の費用についてQ10:フリースクール等の会費や費用はかかりますか?
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/02/16/1366964_03.pdf
[7]不登校児童生徒への対応にフリースクールが果たす役割の変容 3.公費の助成がもたらす影響 ⑵ 「経済の垣根」の乗り越え
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeas/42/0/42_113/_pdf/-char/ja
[8]文部科学省 不登校児童・生徒の将来の社会的自立や学校生活の再開に向けて 3 フリースクール等と学校との関係について Q6:学校の出席扱いはどのようになっていますか?
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/107/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/02/16/1366964_03.pdf
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