不登校7段階とは?回復過程ごとの子ども特徴と保護者のかかわり方について

「このまま見守ってるだけでいいのかな?」
「いつになったら学校に行けるんだろう」
「ずっと部屋にこもってるけど、これからどうなるのかしら…」
子どもが不登校になると、多くの不安が押し寄せてきます。

不登校7段階とは、不登校の回復過程パターンです。もちろん、不登校の理由はひとり一人異なるため、全員が不登校7段階を同じようにたどるわけではありません。

この記事では、不登校7段階の各段階での子どもの特徴と親のかかわり方保護者の気分転換の重要性について解説します。

不登校は長期化しやすいため、不登校7段階を参考にすることで先の見えない不安が少し和らぐでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

目次

不登校7段階とは

不登校7段階とは、不登校の回復過程を7つのステップにわけて説明したものです。[1]

第一段階:不登校開始期
第二段階:悩み苦しむ時期
第三段階:エネルギー補充(無為)期
第四段階:エネルギー再活性期
第五段階:再活動希望期
第六段階:リハビリ(不安定活動)期
第七段階:完全登校・社会復帰期
【出典】不登校の7段階とは|NPO法人コミュニティ総合カウンセリング協会

次からは、各段階の子どもの特徴と親のかかわり方について詳しく解説します。

第一段階『不登校開始期』

頭では「学校に行かないと…」とわかっていても、身体が「お腹が痛い」「頭が痛い」など悲鳴を上げています。

朝、学校に連絡した後に元気になることや、病院を受診しても「とくに悪いところはないですね」と言われることも多いです。

親としては「仮病なの?」「仕事を休んだのに!」と思うこともあるでしょう。ですが、月1回の体調不良が、週1回、週2回…と次第に増えていくのもこの時期です。

第一段階は、子ども自身も学校に行けないことへの後ろめたさや、心と身体の反応がチグハグで、自分でもよく分からずに悩んでいます。

特徴
  • 学校に行けない日が増える
  • 夕方には体調が良くなる
  • 夜は元気だったのに、朝になると体調が悪くなる
親のかかわり方
  • 子どもの様子をよく観察する
  • 休むことを受け入れる
  • 病院を受診する
  • 子どもの気持ちに寄り添う
  • 子どもと話す時間を大切にする
  • 学校での様子を先生に聞く

第二段階『悩み苦しむ時期』

第二段階は、学校に行けないことで悩み苦しむ時期です。不安や焦り、家族への申し訳なさなどの心の葛藤が表に出てきます。たとえば、「なんで僕だけ学校に行けないんだ」という感情を整理できず、怒ったり暴れたりするのがこの時期の特徴です。

子どもの暴力は母親に向かうことが多くなります。その場合は逃げましょう。子どもと向き合うことも大切ですが、ケガをする必要はありません。

母親の心の寄りどころや避難場所をつくることが大切です。抱え込みすぎると、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症することもあるため相談できる相手を見つけましょう。

特徴
  • 暴れる
  • 暴言を吐く
親のかかわり方
  • 子どもと本気で向き合う
  • 暴力や物を投げる時は逃げる
  • 母親の気分転換できる場所を探す

第三段階『エネルギー補充(無為)期』

第三段階になると、何もしなくなります。一日中寝ていたり、ぼーっと過ごしたりする時期です。

第二段階で暴れたエネルギーを補充している時期と考えましょう。「ずっと寝てるけど大丈夫かな?」と心配になりますが、一歩引いて見守ってあげてください。

特徴
  • 一日中寝ている
  • お風呂をめんどくさがる
  • 部屋に引きこもる時間が増える
  • 昼間もカーテンを開けずに過ごす
親のかかわり方
  • 無理強いをせず見守る
  • 「おはよう」や「おやすみ」などの日常のあいさつを普通にする

第四段階『エネルギー再活性期』

第四段階は少しずつエネルギーが溜まり、動き始める時期です。

この時期には下記のような特徴が見られます。

  • 起きている時間が長くなる
  • お風呂に入る回数が増える
  • ゲームをする時間が増える


また、昼夜逆転することもあります。日中は人がいて刺激になるため、夜に活動を始めるのです。

ここで、少し動けるようになったからといって、特別に何かを始める必要はありません。まずは、子どもが好きなことをして過ごすのを見守りつつ、家の中で簡単な役割を作りましょう。

たとえば、以下のようなものです。

  • 自分の使った食器を片づける
  • 自分の洗濯物を片づける

簡単なことですが、毎日やることに意味があります。大人も毎日決められた役割をこなすのがつらい時があるように、子どもにもあります。エネルギーが少しずつ回復し始めたこの時期に、簡単な役割をもつことは今後の生活に役立つのです。

特徴
  • 昼夜逆転する
  • ゲームができる
  • 起きている時間が増える
  • お風呂に入ることが増える
親のかかわり方
  • できたことを認める
  • 家の中での簡単な役割をもたせる
  • 昼夜逆転しても、毎朝一度は起こす

第五段階『再活動希望期』

第五段階になると「今日ひまだな~」「何しようかな~」と動き出す兆しが見えてきます。

親としては嬉しくなりますが、ここで「じゃあ学校に行ってみよう!」と焦るのは禁物です。子どもは、まだ学校に行くほどのエネルギーは溜まってないことが多いです。また、親子の会話を増やすことも、子どもの世界を広げることにつながります。

たとえば、以下のように子どもの興味があることを一緒に探すのも良いでしょう。

  • 何かしてみる?
  • 一緒に買い物行ってみる?
  • (好きなスポーツ)でも一緒にやってみる?

ここで、親のペースに合わせると一気に逆戻りすることがあります。「これだけできたんだ!学校にも行ってみようかな?」と子どもが自然と思えるのを待ちましょう。

特徴
  • 「ひまだな~」と言い出す
  • 部屋から出て過ごす時間が増える
  • 外の世界に目が向きだす
親のかかわり方
  • 子どもとの会話を増やす
  • やってみたいことを提案する
  • 子どもに安定したかかわり方をする
  • 学校と連絡をとる

第六段階『リハビリ(不安定活動)期』

第六段階になると、子どもが学校へ行き始めます。

親としては「やっと学校に行けた!」「不登校が治ったんだ」と嬉しくなる時期ですが、期待しすぎるのは危険です。毎日学校に行けるわけではありません。

「月曜~金曜までフルで学校に行けるほどのエネルギーは溜まっていない」と考えることが大切です。今はまだ辛抱の時期。少しずつ学校に行ける日が増えるように見守りましょう。

特徴
  • 再び学校に通い始める
  • アルバイトを始める
  • 行き始めた学校を休む
  • 遅刻、早退をする
親のかかわり方
  • 毎日学校に行けると思わない
  • 子どものペースで学校に行けるように見守る
  • 「いつでも休んでいいんだよ」と伝える

第七段階『完全登校・社会復帰期』

第七段階になると、社会とかかわりを持ちながら安定して学校に通えるようになります。ただし、元の学校に戻る人もいれば、別の学校に通い始める人もいます。どちらにも言えることは、人とかかわりを持ちながら安定した生活を送れるようになるということです。この段階までくる期間は、一人ひとり異なります。体力が人によって違うように、心のエネルギー量も人によって違います。

ここまで来るために、親子でさまざまな努力をくり返しています。学校に安定して行けるようになったことよりも、今までの努力の過程を褒めましょう。

特徴
  • 安定して学校に通える
  • 不登校の時期を振り返る
  • 今後の進路について考える
親のかかわり方
  • 子どもを信じる
  • これまでの努力の過程を褒める

不登校の回復はまっすぐ進むわけではない

不登校になった理由も、子ども自身のエネルギー量も一人ひとり違います。そのため、5ヶ月で不登校から復帰する子どももいれば、3年かかる子どももいます。そして、全員がまっすぐ回復していくわけではありません。

子ども自身が「がんばれそう!」と思っても「やっぱり無理かも…」と逆戻りすることもあります。そんな時は「あなたのペースでいいんだよ」と子どもの気持ちに寄り添いましょう。

保護者の気分転換が大切|仕事は辞めるべきか

不登校は長期化するため、保護者の気分転換が大切です。

子どもが不登校になったのを自分のせいだと考える母親が多いとされています。ですが、「子どもが外で困って家に逃げ込むのは、家が安全な場所と思えているから」と考えてください。[2]

今、共働き世帯は1997年の949万世帯から2020年には1,240万世帯と増えています。[3]

忙しい毎日の中で子どもとの時間や、気持ちに寄り添う余裕が少なくなることもあります。 

このような背景から「子どもが不登校になったから、仕事は辞めたほうがいいのかな…」と悩むこともあるでしょう。子どもが一人で留守番ができるなら、仕事を辞めるかは慎重に考えなければなりません。

金銭的な問題や仕事が気分転換になるのなら、家庭から離れる時間として仕事を続けるのも一つの手です。

仕事が忙しく体調を崩しそうな時は、転職や時短勤務など考え直す必要があります。まずは、仕事が気分転換になっているのかを客観的に見てみましょう。

不登校7段階|まとめ

不登校7段階の回復過程を参考にして、子どもとのかかわり方を考えてみましょう。

不登校になった理由は一人ひとり違うため、全く同じ過程をたどるわけではありません。

ですが「今、子どもはどの段階かな?どうしたら良いのだろう」と参考にはできます。

不登校の回復過程を知ることで、先の見えない漠然とした不安が少しは解消されるでしょう。

また、不登校は長期化しやすいです。一人で悩まずに、おおかみこころのクリニックに悩みを吐き出しにきてください。あなたの息抜きが大切です。

【参考文献】
[1]不登校の7段階とは|NPO法人コミュニティ総合カウンセリング協会
https://www.aacc.jp/index.php?%E4%B8%8D%E7%99%BB%E6%A0%A1%E3%81%AE%EF%BC%97%E6%AE%B5%E9%9A%8E

[2]不登校相談の見立てと親面接の基本| 大河原 美以
https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/21442/files/09184317_23_03.pdf

[3]共働き等世帯の状況 ―労働力調査(詳細集計)結果から―||労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/04/c_01.html

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