発達障害で不登校になった3つの例|チェックリストと親にできること

発達障害と不登校は関係ありますか?

浅田先生

発達障害の子どもが不登校になりやすいのは事実だよ。記事の中で解説するね!

幼稚園児から高校生において、発達障害を持つ多くの子どもが不登校になっています。[1]

とくに小学校以上ではルールや周囲の動きに合わせた行動が求められるため、発達障害の子どもは息苦しさを感じやすいでしょう。

そこで今回は、発達障害の子どもが不登校になりやすい理由実際に不登校となった事例を紹介します。

記事内の発達障害チェックリストで子どもの傾向を知り、親にできるサポート方法を考えましょう。

この記事を読んで、子どもが自分らしく学校に通える方法を見つけられたら幸いです。

目次

発達障害が不登校になりやすい理由

発達障害を持つ子どもが不登校になりやすい理由として、以下3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

時間割に沿った行動が苦手

発達障害の子どもは、時間割に沿った行動が苦手です。

幼稚園から小学校に上がると時間割が決まり「朝は15分読書する」「2時間目はグラウンドで体育をする」などの日課に沿った行動が求められます。

発達障害の子どもは気持ちや行動の切り替えが難しいため「まだこの活動をしたい」「今はやりたくない」とパニックになりやすいでしょう。

とくに小学校以降はルールに沿った行動が求められるため、発達障害の子どもは居心地の悪さを感じやすくなるのです。

集団行動が求められることが多いですよね💦

急な予定変更が苦手

発達障害の子どもは、急な予定変更を苦手とします。

例として挙げられるのは、以下のような場面です。

  • 天気が悪くてプールが中止になる
  • 先生の急用で授業内容が変更になる
  • 食材が入荷できず給食のメニューが変わる

クラスメイトが「そういうときもあるよね」と対応できることも、発達障害の子どもは心がついていかず苦痛を感じてしまいます。

特別な行事が苦手

発達障害の子どもは、発表会や遠足などの特別な行事が苦手です。

大きな音や見慣れない景色など刺激が多いため、いつもと違う状況に不安を感じやすくなります。

発表会や遠足などは集団で行動する力が求められるため、ときには「○○のせいで…」と責められることもあるでしょう。

発達障害の子どもは「みんなと同じようにできない自分」を感じ、学校に行く自信を失ってしまうのです。

発達障害で不登校となった子どもの事例

発達障害で不登校となった子どもの事例として、以下3つを紹介します。[2]

それぞれ解説します。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDは対人関係やコミュニケーションに苦手さがあり、自分なりの手順や行動に強いこだわりを持つ発達障害です。

ASDのAくんは急に予定が変わったり初めての場所に行ったりすると、とても不安になり動けなくなってしまいます。
周りの友人や先生が声をかけるとパニックになり、大きな声を出したり暴力を振るったりすることも珍しくありません。
先生から叱られたり友だちから怖がられたりするため、Aくんは学校に行くのがつらくなり自宅で過ごすようになりました。

ADHD(注意欠如多動症)

ADHDとは、じっとしていたりひとつのことに集中したりするのが苦手で、衝動性(考える前に動いてしまうこと)が高い発達障害です。

ADHDのBくんは、じっとしているのが苦手で授業中に教室から出て行ってしまいます。
友だちが読んでいる本や使っているボールを勝手に取るため、友だちとのトラブルも日常茶飯事です。
先生から怒られることも多く、Bくんは学校に行くと嫌な気持ちを感じるようになりました。
友だちと遊ぶのは楽しかったのですが「Bくんは物を取るから嫌」と友だちから避けられるようになり、Bくんは学校に行けなくなってしまいました。

LD(学習障害)

LDとは、知能に遅れがないのに書くことや読むことなど特定の能力だけ低くなり、生活に支障をきたす発達障害です。

LDのCくんは、ノートに文字を書くことが苦手です。
授業中に黒板の文字をノートに書いたり先生が言ったことをメモしたりしますが、どうしてもうまく書けません。
ある日「Cくん、ぜんぜんノート書けてない!めちゃくちゃ下手!」と友だちにからかわれ、Cくんは文字を書くのが怖くなってしまいました。
先生からは「もっと練習しましょう」とみんなより多く書き取りの宿題を出され、学校に行くのが苦痛になってしまいました。

発達障害のチェックリスト

以下3つの発達障害に当てはまるかチェックしてみましょう。

これらのチェックリストは、いくつ以上当てはまったら発達障害というものではありません。

チェックリストに挙げる症状により学校生活に問題があるときは発達障害の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。

発達障害の検査について知りたい方は「こころちゃんの心理検査教室」をご覧ください。

「発達障害なのかな?」と考えるきっかけにしてくださいね。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDの子どもには以下のような特徴があります。[1]

ASD特徴
  • 触られることに苦痛を感じる
  • 自分の好きな話題を話し続ける
  • 自分の好きな活動をやめられない
  • 急な予定変更があるとパニックになる
  • 偏食が強く特定のものしか食べられない
  • 決まった手順でやらないと気が済まない
  • 大きな音やザワザワした場所に苦痛を感じる

ASDはこだわりが強く、人とコミュニケーションをとったり環境になじんだりするのが苦手です。

親は「育てにくい」「こだわりが強くて対応に困る」と感じることも多いでしょう。

ADHD(注意欠如多動症)

ADHDを持つ子どもの特徴は以下のとおりです。[3]

ADHD特徴
  • 忘れ物が多い
  • 順番を待てない
  • 授業中に席を立つ
  • 授業中に居眠りする
  • 友だちにちょっかいを出す
  • 授業中に先生に野次を入れる
  • 友だちが話している間に発言する

ADHDは学校で不適切な行動があり、先生からの叱責や友だちとのトラブルが目立ちます。

親は学校からの呼び出しや注意の連絡に悩むことも多いでしょう。

LD(学習障害)

LDの子どもたちには、以下のような特徴がみられます。[4]

LD特徴
  • 文章を読むのが極端に遅い
  • 文字をひとつひとつ拾って読む
  • 音読の途中で行を間違えてしまう
  • 音読みまたは訓読みしかできない
  • マス目に合わせて文字を書けない
  • 「私は」を「私わ」と書いてしまう
  • 似ている字(例:め・ぬ)を書き間違える

LDは症状を理解してもらえず「勉強不足」「努力不足」と思われやすい発達障害です。

先生に叱られたりペナルティとして宿題を増やされたりすることがあり、親子ともに勉強面への不安が大きくなりやすいでしょう。

発達障害を持つ不登校の子どもに親ができること

発達障害を持つ不登校の子どもに親ができることとして、以下の3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

子どもが適応しやすい環境をつくる

子どもの特性に合わせ、適応しやすい環境を作りましょう。

発達障害は子どもが生まれ持った特性のため、完全に消すことはできません。

ただ、特別支援学級や通級(一部の授業を別室で受けること)など本人の特性に合った環境を見つけることで、心地よく過ごせるようになります。

「苦手な部分は先生に助けてもらっていいんだよ」と子どもに伝え、周囲に助けてもらう練習をすることも大切です。

「みんなと同じように」「普通に」過ごすことにこだわらず、本人がストレスなく過ごせる環境をつくりましょう。

こだわりの裏にある不安を理解する

子どもにこだわりが見られるときは、こだわりの裏に隠れている不安への注目が大切です。

たとえば、同じ色の洋服しか着ない子どもは「いつもと違うと悪いことが起きるかもしれない」という不安があるのかもしれません。

子どもがこだわる理由を知り、心配している状況にはならないことを説明しましょう。

子どもの気持ちを知ったうえで周囲が付き合える範囲のこだわりに変えていく(例:必ず赤色の洋服を着る→体操服を着るときは靴下が赤色ならOKとする)ことが大切です。[5]

専門機関や医療機関に相談する

発達障害による不登校で困っているときは、専門機関や医療機関に相談しましょう。

お住まいの市区町村や発達障害者支援センターでは、発達障害に関する相談を受け付けています。

発達障害者支援センターとは、日常生活についての相談支援や医療、教育などとの連携を通して発達障害者をサポートする場所です。[6]

おおかみこころのクリニックでは、不登校に悩む発達障害の子どもたちの相談をお待ちしております。お気軽にご相談ください。

まとめ

発達障害の子どもは自分のこだわりや急な予定変更の苦手さから、不登校になりやすいとされています。

とくに小学校に上がると時間割やルールなどが決められているため、発達障害の子どもは適応の難しさが目立ちやすくなるでしょう。

ただ、すべての発達障害の子どもが不登校になるわけではありません。

特別支援学級や通級など自分に合った環境を見つけたり、こだわりの裏にある不安に共感してもらったりすることで、学校でも自分らしく過ごせるようになります。

医療機関や専門機関に相談し、アドバイスを受けながら子どもが学校に通いやすい方法を考えることも大切です。

おおかみこころのクリニックでは、発達障害による不登校の相談をお待ちしております。

子どもが受診を嫌がった場合は、まずは親だけの相談も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

【参考文献】
[1]発達障害と不登校―社会からの支援がない子どもたち:2E の観点から―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/6/56_56.455/_pdf

[2]政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?
https://www.gov-online.go.jp/featured/201104

[3]発達障害(神経発達症)|こころの情報サイト 
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MbkmLbVbTEhSpxyE

[4]学習障害(限局性学習症) | e-ヘルスネット(厚生労働省)

[5]自閉症のある子どもの指導・支援 – 発達障害教育推進センター
https://cpedd.nise.go.jp/shido_shien/jiheisho

[6]国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター
http://www.rehab.go.jp/ddis/action/about/

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