不登校が選択できる進路5選|将来を輝かせる3つのサポートとは

子どもが学校に行けていないんです。将来は大丈夫なのかしら…

浅田先生

不登校の子どもには多くの選択肢があるよ。記事の中で解説するね

不登校の子どもがいると、将来は自立して生きていけるのかな…と不安になりますよね。

ただ、不登校だからといって子どもの人生が台無しになるわけではありません。

実際に不登校の中学3年生のうち約85%が高校に進学しているため、悲観的になりすぎる必要はないのです。[1]

この記事では、不登校で生じるリスク子どもが選びやすい進路について解説します。

親ができるサポートについても紹介しているので、子どもの将来を考えるときの参考にしてくださいね。

目次

不登校で将来生じるリスク

不登校で将来生じるリスクとして、以下3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

進学先が限られる

1つ目のリスクは、進学先が限られることです。

長期欠席していたりテストを受けていなかったりすると、進学に必要な成績が足りないかもしれません。

体力や集中力、コミュニケーション能力が低下して、進学先に適応しづらくなる可能性もあるでしょう。

不登校が長引くと成績や体調の問題が深まるため、進学先の選択肢が狭まってしまいます。

コミュニケーション能力が低下する

2つ目のリスクは、コミュニケーション能力の低下です。

コミュニケーション能力は、小学校高学年ごろにおける他者との関わりによって向上します。[2]

この時期を不登校で過ごすと周囲と自分の差を感じやすくなり、人付き合いの自信を失ってしまうのです。

その結果、友だちと関わるのが怖くなったり引っ込み思案になったりして、周囲とコミュニケーションを取りづらくなるリスクがあります。

学校以外の場所(フリースクールや塾など)で友達をつくるのもおすすめです

ひきこもりにつながる

3つ目のリスクは、ひきこもりにつながることです。

ひきこもりのきっかけとして、約40%の人が不登校を挙げています。[3]

不登校が必ずひきこもりになるわけではありませんが、適切な対処をしないと学校に戻るチャンスを逃し、そのまま自宅にひきこもってしまうのです。

不登校の子どもに親ができるサポートについては、こちらで紹介しています。

すぐに読みたい方はこちらから読んで、参考にしてくださいね。

【チェックリストあり】不登校でも選択できる5つの進路


不登校の進路として、以下5つが挙げられます。

チェックリストを見ながら「合っている進路どれだろう?」と考えてみてくださいね。

全日制高校

1つ目の選択肢として、全日制高校が挙げられます。

全日制高校は高校生のうち91.3%が在籍する学校です。[4]

中学校のように朝から6時間ほどの授業があり、部活動やイベントも行われています。

以下のような方におすすめです。

  • 生活リズムが整っている
  • 同年代と一緒に勉強したい
  • 志望校でしかできないことがある

不登校の中には、学校に行けていなかった負い目を克服するために「どこでもいいから普通の高校に行く」とこだわっている子どもがいます。

負い目がある状態で全日制高校に進学すると、勉強や対人関係の苦手さをカバーするために頑張りすぎてしまう可能性があるため注意が必要です。

「どうしてもこの高校に行きたい」「この高校でしかできないことがある」という前向きな動機があるのか確認しましょう。

なぜその高校を選んだのかを聞くことも大切です

通信制高校

2つ目の選択肢として、通信制高校が挙げられます。

通信制高校の特徴は、学校に通わず自分のペースで学習できることです。

学習や課題、試験などをオンラインで済ませられるため、決まった時間に登校する必要がありません。

通信制高校に向いているのは、以下のような方です。

  • 自分のペースで学びたい
  • 集団生活が苦手で登校するのが難しい
  • 苦手な勉強を個別サポートしてほしい

通信制高校は、スクーリング(月に1・2回登校する)がある学校や週の半分くらい登校する学校など、それぞれ特色が異なります。

自分に合ったスタイルで学習できる高校を選びましょう。

定時制高校

3つめの選択肢として、定時制高校が挙げられます。

毎日の登校が必要ですが、1日の授業時間が4時間程度のため、ゆとりを持った学習が可能です。

以下にあてはまる方は、定時制高校が向いているでしょう。

  • 同年代の友達と交流したい
  • 不登校に理解のある高校がよい
  • 短い授業時間でゆっくり学びたい

定時制高校に入学する約80%は中学を卒業したばかりの新高校1年生であり[5]、そのうち39.1%は不登校経験があります。[6]

さまざまな事情を持つ人が通っているため、不登校を理解してもらいやすい安心感があるでしょう。

高等専修学校

4つ目に挙げられるのは、高等専修学校です。

高等専修学校では、医療・工業・農業などの社会ですぐに役立つ専門的なスキルを学べます。

以下のような方におすすめです。

  • 国家資格を取りたい
  • 早く社会に出て働きたい
  • なりたい職業が決まっている

高等専修学校では学習意欲が重視されるため、入学試験が面接のみの学校もあります。

不登校を積極的に受け入れている高等専修学校もあり、将来の夢がある方はチャレンジしやすい学校です。

高卒認定試験

5つ目の選択肢は、高卒認定試験です。

高卒認定試験は、高校を卒業していない人が受験する試験で、合格者は高校を卒業した人と同等以上の学力があると認められます。[7]

受験資格があるのは、16歳以上の中卒や高校中退、不登校経験がある方です。

「今は何もする気が起きない…」という方はしばらく療養に専念し、心と身体の元気が戻ってから高卒認定試験を受けるのもよいでしょう。

以下のような方に向いています。

  • 大学に入学したい
  • 就職先の幅を広げたい
  • 国家試験の受験資格が欲しい

中学卒業後に療養に専念したからといって、将来の道がなくなるわけではありません。

高卒認定試験に合格すれば大学進学や就職、国家試験の受験が問題なくできると覚えておいてくださいね。

不登校経験者が後悔していること

不登校経験者が後悔していることとして、以下3つが挙げられます。[8]

それぞれ解説します。

不登校経験による自信の低下

不登校の後悔として、自信の低下が挙げられます。

達成が難しそうなことに直面したときに「不登校だったからどうせムリだ…」と自信をなくしてしまうのです。

不登校経験者は以下のように語っています。

「自分の限界を決める理由に使ってる。一回ダメだった経験があるから。
今は関係ないのに、すべてを不登校につなげちゃう」

登校していた人と自分を比較する癖がつくと「不登校だったから…」と感じる気持ちが強くなってしまうのです。

人付き合いの力や学力の不足

不登校により、人付き合いの力や学力を十分に身につけられなかったことが挙げられます。

不登校期間が長くなると、コミュニケーションに苦手意識を持ったり勉強が遅れたりしてしまうのです。

不登校経験者の声を見てみましょう。

「学校に行くと人との関わり方を自然と覚えると思うんですけど、私の中で欠落してるところがあるなって思ったりする。勉強の面もそうですけど」

不登校の期間にコミュニケーションや勉強に対する苦手意識が強まり「学校に行けば身についたかもしれない」と考えやすくなるのです。

学校へ行かなかったことへの罪悪感

不登校では、学校に行かなかったことへの罪悪感を感じやすくなります。

周囲に迷惑をかけたという思いから、不登校経験を後悔してしまうのです。

経験者は以下のように語っています。

「家族とかクラスの人、担任とかに迷惑をかけたのがあって、罪悪感というか。
お金の面もだし、しなくてもいい苦労とか、つらい経験をさせたのがあるからときどき後悔する」

周囲への罪悪感は不登校の問題が解決しても続きやすく、後悔につながる大きな原因となるのです。

不登校の将来を輝かせる親のサポート3選


不登校の子どもに親ができることとして、以下3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

心の準備を手伝う

不登校から新たな一歩を踏み出すために、子どもの心の準備を手伝いましょう。

親ができることは「学校への行きにくさを減らして、行きやすさを増やすこと」です。[2]

学校に行きたくない理由を子どもに聞いても答えが返ってこない場合は、親や先生から見た原因を遠ざけるのがよいでしょう。

たとえば友人関係のトラブルで学校に行けない場合は、以下の方法で再登校を提案してみてください。

  • 部活だけ参加する
  • 放課後に登校の練習をする
  • 保健室登校や別室登校をする

登校をうながすタイミングは、子どもが学校や進路に関する話を始めたときです。

子どもから学校の話題が出ないときはまだ心と身体の元気が戻っていないため、休むことに専念させましょう。

進みやすい道を用意する

不登校の子どもが進みやすい進路を用意しましょう。[2]

親にとって望ましい進路でも、子どもにとってハードルが高すぎると前に進めなくなってしまいます。

子どもが現在も学校に行けておらず、勉強や人付き合いに苦手さを感じているようであれば、全日制高校はハードルが高いかもしれません。

全日制高校にこだわらず、不登校に理解がありゆっくりと適応していける通信制高校や定時制高校などを検討するのがよいでしょう。

子どもが相談できる場所を見つける

不登校の子どもが相談できる場所を見つけることが大切です。

文部科学省の調査では、不登校に悩む小学生の約36%、中学生の42%が「誰にも相談しなかった」と答えています。[9]

恥ずかしさや誰に相談すればよいかわからないという思いから、子どもは不安をひとりで抱え込みがちです。

子どもが相談を嫌がったときは、まずは親だけで医療機関や教育支援センター(適応指導教室)などを利用しましょう。

親が相談機関とつながることで子どもと社会をつなぐきっかけ作りができ、問題が少しずつ解決に近づいていきます。

おおかみこころのクリニックでは、子どもの気持ちを聞くお手伝いをしています。

子どもの現状を客観的にとらえ、負担なく選択できる進路を一緒に考えていきましょう。

まとめ

子どもが不登校だからといって、将来の希望がなくなるわけではありません。

全日制高校への進学が難しいときでも、通信制高校や定時制高校など多くの選択肢が用意されています。

不登校経験者が勉強や対人関係の苦手さ、学校を休んだことへの罪悪感を持ち、後悔を感じやすいのは事実です。

ただ、新たな環境に踏み出すことで「不登校を乗り越えられた」という自信がつき、明るい将来が広がっていきます。

親は子どもが進みやすい進路を調べたり相談できる場所を探したりしながら、子どもをサポートしていきましょう。

おおかみこころのクリニックでは、不登校で将来に悩む親子をサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。

【参考資料】
[1]「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm

[2]不登校に陥る子どもたち 成重竜一郎 合同出版株式会社

[3]厚生労働省 ひきこもりVOICE STATION
https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp

[4]文部科学省 高等学校教育の現状について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/20210315-mxt_kouhou02-1.pdf

[5]文部科学省 定時制課程・通信制過程高等学校の現状
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/07/12/1336336_2.pdf

[6]文部科学省 定時制課程・通信制家庭の現状について
https://www.mext.go.jp/content/20200522-mxt_koukou02-000007159_32.pdf

[7]文部科学省 高等学校卒業程度認定試験 概要・パンフレット等
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/mext_01319.html

[8]不登校経験者の不登校経験に対する意味づけ過程の検討

[9]文部科学省 【概要】不登校児童生徒の実態調査結果 
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf

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