HSCが不登校になる3つの理由|親子がそれぞれできる心の守り方

HSCは不登校になりやすいですか?

浅田先生

すべてのHSCが不登校になるわけではないよ。記事の中で解説するね

小中学生の不登校者数は約30万人とされ、その数は年々増えています。[1]

不登校になりやすい理由のひとつとして挙げられるのが、HSC(感覚や人の気持ちに敏感すぎて、疲れやすかったり傷づきやすかったりする子ども)です。

今回は、HSCが不登校になりやすい理由HSCの特性子どもと親がそれぞれできる対処法についてお伝えします。

この記事でHSCについて知ることで肩の力が抜け、子どもと楽に向き合えるようになるでしょう。

HSCは病気じゃなくてひとつの特性だよ

目次

HSCが不登校になりやすい3つの理由

HSCが不登校になりやすい理由として挙げられるのは、以下の3つです。[2]

詳しく解説します。

刺激が多過ぎる

学校は音やにおい、明るさなどの刺激に溢れているため、HSCにとって刺激が多すぎる環境です。

例として以下が挙げられます。

  • クラスメイトの大きな声
  • 服についた柔軟剤のにおい
  • 先生が怒ったときの雰囲気

刺激により不安になったり集中力が切れたりするため、HSCは学校で落ち着いて過ごせません。

指示や罰がたくさんある 

学校の指示や罰も、HSCが不登校になりやすい理由です。

HSCが心身ともに疲れやすい場面として、以下が挙げられます。

  • 先生の指示の出し方が怖くて不安になる
  • 怒られている友だちを見て自分までつらくなる
  • 罰として校庭を走らされている友だちを見て胸が痛くなる

HSCは相手の気持ちを考えすぎるため、指示や罰によりつらい気持ちになりやすいのです。

社会生活の難しさを実感する

社会生活を初めて体験する学校は、HSCにとって戸惑いが大きい場所です。

HSCは初めてのことや人前に出ることが苦手なため、学校生活で居心地の悪さを感じやすくなります。

例として挙げられるのは、以下のような場面です。

  • 授業中に発表する
  • 係を決める話し合いをする
  • 体育でみんなの前に出て運動する

環境の変化が苦手なHSCにとって、席替えやクラス替えなども大きなストレスとなるでしょう。

学校生活を通して社会生活の難しさを初めて実感するため、登校したくないと思うようになるのです。

学校での苦手な場面の多さが不登校の原因になるんですね💦

HSCが持つ4つの特性と学校で受けやすいストレス

HSCには、「DOES(ダズ)」といわれる以下4つの特性があります。[2]

それぞれ解説します。

深く処理する (Depth of processing) 

HSCは物事をじっくり観察し、深く考えをめぐらせます。

例として挙げられるのは、以下のような場面です。

  • 遊具が壊れるかもしれないと思って遊べない
  • 先生が怒っているかもという不安で登校できない
  • ミスがないように宿題に取り組んで疲れてしまう

さまざまな可能性を考えて完璧に取り組もうとするため、気疲れしやすい傾向があります。

刺激を強く受ける(Over Stimulation)

HSCは刺激を強く受け取るため、大きな音や肌の感覚などに敏感です。

例として、以下が挙げられます。

  • 給食のにおいが気持ち悪い
  • 体操服の肌ざわりが嫌で着たくない
  • 運動会の音楽やピストルの音が怖い

学校は音やにおいなどの刺激であふれているため、HSCにとっては心が休まる時間がありません。

感情に敏感に反応し共感する(Emotional Responsiveness & Empathy)

HSCは、その場の雰囲気を敏感に感じ取り、人や動物、物の気持ちを考えることが得意です。

例として、以下のような場面が挙げられます。

  • 泣いているクラスメイトを見て自分も泣く
  • 国語の授業で物語を読んでつらい気持ちになる
  • 飼育小屋のうさぎがケンカしているのを見て心配になる

思いがけないタイミングで感情を大きく動かされるため、人よりも疲れやすいという特徴があります。

ささいな刺激に気づく(Sensitive to Subtleties)

HSCはかすかな音やにおいなど、人が気づかないような刺激にも敏感です。

例として以下のようなものが挙げられます。

  • 廊下を歩く人の足音が気になって気が散る
  • クラスメイトの視線が気になり遊具で遊べない
  • いろいろな柔軟剤が混ざった匂いに酔ってしまう

学校でさまざまな刺激があり敏感に反応するため、どっと疲れて気力がなくなってしまうのです。

HSCがストレスから自分を守るためにできること

HSCがストレスから身を守る方法として、以下3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

いいこと日記を書く

いいこと日記とは、よかった出来事をノートに書きとめるものです。

以下のような内容を記入しましょう。

  • 楽しかったこと(Aちゃんと遊んで楽しかった)
  • がんばったこと(1時間ピアノの練習をした)
  • うれしかったこと(ペンが可愛いと褒められた)

いいこと日記には、ストレスや嫌な気持ちを軽くして前向きな気持ちにさせてくれる効果があります。[3]

「嬉しい」「感動した」などのよい刺激に気づきやすくなり、ストレスから心を守れるようになるのです。

ポジティブ日記ですね♪

身近な人と話をする

身近な人と話すことで、ストレスが軽減され心が楽になります。[4]

モヤモヤを言葉にすることでカタルシス効果(「スッキリした」「まぁいいか」と気持ちが落ち着くこと[5])が得られるためです。

積極的に子どもと話し、学校であった楽しかったことや嫌なことなど、どんな話でも聞いてあげましょう。

家族と話しづらそうにしているときは、医療機関や相談ダイヤル(24時間子供SOSダイヤル)を利用するのもひとつの方法です。

おおかみこころのクリニックでは、24時間ご予約を受け付けております。保護者のみの相談も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

SOSの練習をする

困ったときに周りを頼るために、SOSを出す練習をしましょう。

ストレスが多い環境では、自分から周囲に助けを求めることが大切です。

例として、以下のような方法が挙げられます。

  • 教室の騒がしさがつらいとき→先生に「別室に行くカード」を見せる
  • 学校でひとりになりたいとき→事前に先生と一緒に避難部屋を決めておく
  • 家でひとりになりたいとき →自室に「休憩中」の札を貼っておく

SOSのサインは子どもと親・先生の両者が意味を理解し「これならできる」と思えることが大切です。

お互いが無理なくできる方法を子どもと一緒に考えましょう。

不登校のHSCに親ができること

HSCの子どもに親ができることとして、以下3つが挙げられます。[6]

それぞれ解説します。

自己肯定感を高める

子どもの自己肯定感(「自分は自分のままでよい」とありのままを認める感覚)を高め、ストレスから身を守れるようにしましょう。

HSCは周囲の刺激に影響されやすいため、自分は自分でよいと思えることが大切です。

以下の方法を試してください。

  • がんばった過程をほめる
  • 子どもの趣味や遊びに付き合う
  • 敏感さはあなたの長所であると伝える

根気よく続けて自己肯定感を高め、ストレスに負けないこころの土台を作りましょう。

敏感さを長所としてとらえる

HSCの敏感さを長所としてとらえ、積極的に子どもに伝えましょう。

以下の伝え方を参考にしてください。

  • 人の気持ちを大切にできるあなたは素敵だよ
  • 優しい子に育ってくれてお母さんは嬉しいよ
  • 細かいところまで気づいてくれてありがとう

HSCの繊細さは、細かな気遣いや優しさとなって周囲の人を助ける長所です。

短所のように感じることも長所に変換して(例:臆病→慎重、引っ込み思案→周りを観察するのが得意)、子どもが自分の良い部分に気づけるようにサポートしましょう。

自己否定感をなくす

「どうせ自分なんて…」と子どもが思わないように関わることが大切です。。

自分を否定する気持ちが強いと新しいことに挑戦できなくなったり、すべてを自分のせいだと感じるようになります。

以下の関わりを意識してください。

  • きょうだいや他人と比較しない
  • たとえ失敗しても挑戦した勇気をほめる
  • 何があってもあなたは大切な存在だと伝える

ありのままの姿に親が注目することで「このままの自分も悪くないかもしれない」と子どもが自信を持てるようになります。

Q:HSCと発達障害は同じですか?

HSCと発達障害は別のものです。

両者は症状が似ているため同じものと思われがちですが、以下のような違いがあります。

HSC(HSP)

周囲の些細な刺激を感じやすい、繊細な気質をもった子ども

発達障害

生まれつき脳の機能に障害があり、日常生活に支障が出ている状態

ただし、HSCと発達障害を持ち合わせている人も多いため、両者を区別するのは難しいとされています。[7]

Q:HSCは親のせいですか?

HSCや不登校は親のせいではありません。

HSCは感受性が高く周囲の刺激にも敏感に反応すると聞くと「育て方が悪かったのかも」と思ってしまいますが、HSCは生まれ持った気質です。

親の育て方や関わりが悪かったわけではないため安心してください。

くわしく知りたい方はこちらの記事を参考にしてくださいね。

まとめ

敏感な気質を持つHSCにとって、学校は刺激が多くストレスが大きい環境です。

HSCが不登校になりやすいのは事実ですが、ネガティブに捉える必要はありません。

いいこと日記で繊細な感性を楽しんだり、身近な人と話をしたりすることで、繊細な自分の気質を長所としてとらえられるようになります。

また、親が子どものよいところを認める関わりをすることも大切です。

親がひとりで頑張りすぎると、敏感なHSCは「自分のせいで親がつらそうにしている」とこころを傷めるため、周囲に相談しながらサポートしましょう。

おおかみこころのクリニックでは、いつでも相談をお待ちしております。お気軽にご連絡ください。

【参考資料】
[1]文部科学省 令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

[2]HSC の視点による特別活動の学習内容と指導方法についての一考察

[3]「いいこと日記」による 小学生の自己感情の成長と発達
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmh/7/0/7_85/_pdf/-char/ja

[4]厚生労働省:派遣労働者のためのこころの健康気づきのヒント集(4)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-6_0004.pdf

[5]こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/linecare_listen/ls002

[6]敏感性の高い子どもの育ちへの支援
http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/handle/123456789/2240/hs-v17n2-p215-226-yam.pdf?sequence=1

[7]HSPと発達障害は区別可能なのか?

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