不登校で勉強が遅れても大丈夫|子どもが穏やかに学べる方法を紹介

文部科学省の調査で、令和4年度の小中学校の不登校児童数は約29万9,000人[5]という結果が出ています。

不登校で長く学校を休んでいると、勉強の遅れや不登校そのものが今後の進路に影響を及ぼすのではと心配ですよね。

不登校でも学校の勉強に追いつけますし、進学も可能です。

この記事では、不登校の子どもが勉強の遅れを取り戻すためのポイントや、ご家庭での過ごし方についてまとめています。

子どもの勉強を進める方法がわかるので、最後まで読んでみてください。

目次

不登校による勉強の遅れを取り戻す方法

不登校児の約半数が、年間90日以上の長期欠席をしています[1]

休みが長引くと「家で勉強していても、学校の勉強に追いつけなくなるのでは……」と不安を感じるかもしれません。

しかし、勉強に遅れていたとしても巻き返せます。以下の方法を試してみてください。

1つずつみていきましょう。

家庭教師に依頼する

家庭教師をつけて勉強する方法があります。

慣れた環境でリラックスして勉強に取り組めるのがメリットです。

不登校の子どもは引きこもりと違い、人との関わりを避けているわけではありません。

そのため、家庭教師との相性が良ければ勉強がスムーズに進むでしょう。

仮に生活が不規則な状態であっても、時間の融通がききやすいため、不登校の子どもには向いている勉強法です。

一人ひとりに合った個別的な指導をしてもらえるので、ペースを乱さず学べます。

安心できる環境で、自分のペースで勉強できるのは助かりますね!

学習アプリを利用する

今はアプリでも勉強できる時代です。スマホで手軽に学べます。

学習アプリは、子どものペースで取り組める学習法です。初回の無料期間が設けられているアプリもあるので、まずどんな授業が配信されているのかを確認しましょう。

自宅学習でも学校の出席扱いとなるオンライン教材もあります。

出席と認められるかは、学校や教育委員会の判断によるため、利用するなら確認しておきましょう。

アプリの入手は無料ですが、月額がかかるものや課金が必要なものがあります。

たとえば、「オンライン教材すらら」の利用料は以下の通りです。

  • 入会金:7,000円(小中・中高5教科)
  • 月額:9,980円(中学生・高校生5教科)

子どもの学習の進み具合によっては無料アプリでも十分なケースもあります。

普段の勉強の様子を見て検討するのがおすすめです。

フリースクールに行く

フリースクールは、不登校の子どもについて学習活動・体験活動などをおこなう民間施設です。[2]

個人やNPO法人、ボランティア団体などが運営しています。

フリースクールに通うと、学校の出席とみなされるケースがあるので、問い合わせてみましょう。

費用や教育方針などは施設によってさまざまですが、子どもの自主性を大切に考えている点はどの施設にも共通しています。

オンライン授業を受ける

教室に入れない子どもへの支援として、校内教育支援センターを設置している学校があります。[1]

オンラインで教室とつながり、授業を受けられる制度です。

定期テストも受けられ、成績に反映されます。

また、令和3年以降、自宅でのICT活用による学習が出席扱いとなる学校が急増しています。学校に行けなくとも、勉強する機会はたくさんあるのです。

子どもの通っている学校にオンライン授業があるか確認してみましょう。

教育支援センターに相談する

教育支援センターは教育委員会が運営しています。[3][4]

個別の学習支援や、社会体験やカウンセリングなどをおこなう機関で、市役所など地方自治体が窓口です。

出席扱いになるかは学校によるため、確認してみましょう。

個別指導に対応した塾に通う

個別指導してくれる塾もあります。

子どもの習熟度や性格を考慮して、その子だけの指導をしてくれるのが特徴です。

不登校専門の集団塾もありますが、ほかの子どもと一緒にいること自体がストレスになる可能性があります。

子どもの性格や人との関わり方などを考え、適切な場所を見つけることが必要です。

不登校で勉強の遅れを取り戻す5ステップ

勉強の遅れを取り戻すためには、勉強の習慣をつけることが大切です。そのためには、次のステップで勉強に取り組んでいくとよいでしょう。

実際に遅れが出ていなくても、家庭内で勉強を続けるためには小さなステップを着実に踏むことが大切です。

①目標とスケジュールを決める

まず、短期的な目標でいいので達成可能なものを決めます。

簡単なゴールを積み重ねていくことで、自信がつくからです。

「午前中は○ページまで解く」「○分で読解問題を解く」など、子どもの得意分野や集中力に合わせた目標にしましょう。

目標をクリアできたら、少しレベルアップして中長期的な目標を立てるのがおすすめです。

②1日10分からスタートする

勉強は短時間から始めましょう。

1日5分からでも大丈夫です。子どもが苦にならない学習習慣を身につけることが大切です。

もし勉強そのものが苦手で不登校になっているとしたら、長時間の勉強はストレスになります。

始めは「机に向かうだけでも進歩」と考えてみてください。

少しずつ時間を長くしたら大丈夫ですよ

③得意科目に取り組みモチベーションを上げる

得意な科目から取り組むのがおすすめです。

勉強の楽しさを感じられるのでモチベーションアップにつながるからです。

簡単な問題から始めることで、勉強への抵抗感が薄まります。

子どもに「好きな科目からやってみたら?」と声掛けをして、見守る姿勢をもちましょう。

④苦手科目に取り組む

得意科目をこなした後に、苦手科目にもチャレンジします。

全ての科目をカバーしておくと、遅れを取り戻しやすくなるためです。

気乗りしない態度を見せることもありますが、勉強は反復が大切です。

「何度間違えてもかまわない」と伝えてあげると、安心して勉強に取り組めます。

⑤定期テストを受けて学力をチェックする

中間テストや期末テストを受けて、現在の学力を知りましょう。

テストは校内の別室や、学校と連携しているフリースクールでも受けられます。

学校と話し合い、別日に設定してもらえるケースもあるので確認してみましょう。

中学校は、定期テストを受けなくとも学校長の裁量で卒業は可能です。

しかし、定期テストは頑張った成果を確認する良い機会になります。内申点にも影響するので、子どもの意見も聞き、検討してみてください。

不登校でも勉強に遅れないを続けるための過ごし方3選

いきなり勉強を始めるのではなく、まず日々の暮らしから見直しましょう。

押さえるポイントは以下の通りです。

順番に解説します。

体力を維持する

不登校になると、学校に通ったり体育の授業で身体を動かしたりする時間がありません。

そのため、どうしても体力は低下します。

体力がなくなると、いざ勉強しようとしても疲労感が強く、継続できない可能性があります。そうならないためにも、日光を浴びたり家でできる運動を取り入れたりするのがおすすめです。

子どもの興味をひくためにゲームを活用するのもよいでしょう。

スポーツ要素の強いゲームなら、楽しみながら運動できます。

生活のリズムを整える

学校に行かなくても、規則正しい生活を送るよう子どもにはたらきかけましょう。

不登校になると、学校の時間を気にしないため、決まった時間に起きることが減ります。

夜もスマホを触ったりゲームをしたりして、夜更かしが増えるでしょう。

規則正しい生活は、健康を保つうえで重要なポイントです。

決まった時間に眠り、適度な睡眠をとることで体内時計が整い、一日が過ごしやすくなります。

部屋を片付けて快適な空間をつくる

勉強する空間は、すっきりと片付いているのが理想です。

余計なものがあると集中が途切れがちになります。

スマホやゲーム、漫画など、すぐ手に取れる場所にあると、誘惑に負けて勉強しなくなるかもしれません。

片付いた部屋で勉強すると他のことに意識が向きにくいため、効率的な学習が期待できます。

勉強の遅れを取り戻すために親が心がける4つのこと

勉強の遅れを取り戻すためには、以下の4つを心がけてみてください。

1つずつ見ていきましょう。

子どもに共感する

子どもの声にしっかり耳を傾けましょう。

子どももひとりの人間です。感情があり思考があります。子どもの心に寄り添う姿勢が大切です。

「自分の話を聞いて受け入れてくれる」と感じると、子どもは安心感を得られ穏やかな気持ちで過ごすことができます。

安心できる環境を整えることが大切です

子どもが自分から勉強するのを待つ

「勉強しなさい」と言われて喜んで勉強する子どもはいません。自分から進んで机に向かうまで待ちましょう。

主体性を大切にしてあげることで、子どもの自己肯定感が上がり、前向きになります。

つい口を出しそうになるかもしれませんが、ぐっとこらえて見守ることが大切です。

子どもが居心地よくいられる家にする

家の中で子どもが安心して過ごせる家にしましょう。

不登校の子どもに過剰に気をつかったり、逆に口うるさく干渉するとストレスを与えてしまいます。

子どもが肩の力を抜いて、自然体でいられる家庭を保つよう心がけてみてください。

自分のことも子どもと同じくらい労わる

子どもの不登校について、あなたも悩んでいるでしょう。

しかし、そういった親の姿に子どもは敏感です。

「自分のせいで悩んでいる」と考えるかもしれません。

そうすると、子どもの心は不安定になります。親であるあなたにも、癒される時間が必要です。

まずは一日の中で数分でもいいので、自分だけの時間をつくったり、子どもと共通の話題で会話を楽しんだりしてみましょう。

まとめ

不登校でも、自宅学習を習慣づければ遅れを取り戻すことは十分可能です。

子どもに合った学習法を選んだり、居心地の良い環境を整えたりすることで効率も上がります。

また、小さな目標をクリアして成功体験を積むと、子どものモチベーションアップにつながり勉強が進みやすくなります。

毎日の積み重ねが、勉強の遅れを取り戻すカギです。

焦らず子どもに寄り添いながら、学ぶ習慣をつけていきましょう。

【参考文献】
[1]文部科学省 COCOLOプラン
https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf

[2]文部科学省 フリースクール・不登校に対する取組
https://www.mext.go.jp/march_lion/torikumi_futoukou.htm

[3]文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf

[4]文部科学省「不登校の対応について」

[5]文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf#page=8

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