「スマホに親の名前が表示されるだけで胃が痛くなる」
「弱ってきた親に優しくできない自分を責めてしまう」
年老いた親との関係に悩み、距離を置きたいと願うことに罪悪感を抱いていませんか。
親とかかわることで嫌な気持ちになるのは、あなたが冷たい人間だからではありません。長年の我慢が積み重なり、こころが限界を迎えているからです。
ムリして親の期待に応えようとし続けると、あなたの心身が疲れてしまいます。
年老いた親とうまく付き合う方法を知って、つらい気持ちをやわらげることが大切です。
この記事では、年老いた毒親との付き合い方や注意点を解説します。罪悪感を手放し、親とうまく付き合うために役立てれば幸いです。
年老いた毒親との付き合い方
年老いた毒親との付き合い方には、次の3つがあります。
親の機嫌をうかがうのではなく、あなたのペースを守ることを大切にしていきましょう。
連絡を制限する
まずは、親との連絡を制限しましょう。[1]
年老いた毒親と付き合うときは、相手の支配が届かない「安全な空間」を確保する必要があります。常に親とつながっている状態ではこころが休まる暇がなく、いつまでも支配関係から抜け出せません。
具体的には、電話がかかってきてもすぐには出ないようにしてください。LINEの通知もオフにし、あなたが確認したいタイミングで見るようにしましょう。
連絡の頻度が少なくなれば、親も「以前のようにすぐにはつながらない」と考えるようになります。

最初は緊張すると思いますが、少しずつ頻度を減らしてみてください。
要望は冷静に伝える
年老いた毒親と付き合うときは、要望は冷静に伝えましょう。
あなたが感情的になった状態で伝えると、親は「攻撃された」と受け取る可能性があります。
要望を伝えるときは、お互いを尊重しながら意見を伝える「アサーション」が有効です。[2]
たとえば、頻繁な電話をやめてほしいときは、次のような流れで伝えてみてください。
- 事実:「毎日10回電話がかかってきているけど」
- 気持ち:「仕事中に鳴るとわたしが困ってしまうの」
- 提案:「緊急時以外は夜8時以降にかけてほしい」
- 結果:「その時間なら出られるよ。昼間にかけても出られないからね」
「あなたが迷惑」と相手を責めるのではなく「わたしが困る」というように伝えてください。
つまらなそうな反応をする
親が嫌味や自慢話を始めたら、つまらなそうに反応してください。
毒親はわざと嫌なことを言ってあなたのこころを揺さぶり、自分の方を向かせようとしています。あなたが怒ったり悲しんだりして感情的に反応すると、親は「かまってもらえた」と考えてしまうのです。
親が「寂しい」「体調が悪い」と訴えてきても、心配する素振りを見せず「そう、病院に行けば?」と返しましょう。嫌味を言われても受け流してください。
「この子になにを言っても面白くない」と親が感じれば、干渉が減る可能性があります。
こころのシャッターを下ろし、感情を無にして接しましょう。
年老いた毒親と付き合うときの注意点
年老いた毒親と付き合うときの注意点には、次の3つがあります。
あなたの健康と生活を優先しながら、親と付き合っていきましょう。
毒親に育てられた人の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ひとりで抱え込まない
精神的な負担が大きいときはひとりで抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談してください。
毒親のもとで育つと、家庭内の理不尽なルールを「あたり前」と思い込んでしまいます。そのため、あなただけで解決しようとすると「親の言うことを聞けない自分が悪い」という考えになりやすいのです。
具体的には、カウンセラーによるカウンセリングを受けましょう。あなたの苦しみを理解し、対処法を一緒に考えてくれます。また、配偶者や友人に話すだけでも、気持ちが楽になります。
あなたの苦しみを誰かに話すことは、こころを守ることにつながります。
親との間に境界線を引く
年老いた毒親と付き合うときに、境界線を引くことを意識してください。
とくに母娘関係では、娘が母親の介護や精神的なケアを期待され、依存関係が強くなりやすい傾向があります。[3]しかし、親とあなたは別の人間であるので、親の人生や不幸を背負う必要はありません。
たとえば、親が「寂しいから来てほしい」と言っても、あなたの体調が悪かったり仕事が忙しかったりするなら断りましょう。
親の感情に振り回されずに、あなたを守るための境界線を引いてください。
あなたの感情を優先させる
親とかかわりたくないと感じるなら、その感情を優先させてください。
過去のトラウマや現在の苦痛を無視してまで、親に尽くす必要はありません。
「親だから大切にしなければならない」という常識よりも「一緒にいると苦しい」という感覚を大切にしてください。
あなたの感情を優先し、それを基準にして行動を選択しましょう。[4]
年老いた毒親が急に優しくなるのは支配下に置くため
毒親が急に優しくなったり弱音を吐いたりするのは、あなたを再び支配下に置くためである可能性があります。
退職や配偶者の死などで自尊心を満たす相手を失い、孤独を埋めるターゲットを子どもに向けているのです。
「寂しい」と罪悪感を刺激して態度を変えたりするのは、愛情ではなく自分本位な考えに過ぎません。[3]
「親も変わったのかもしれない」と期待してこころを許すと、再び干渉が始まり、傷つけられる恐れがあります。
優しさの裏にある意図を冷静に見極め、こころの距離を保ち続けてください。
毒親の老後を見捨てるのはアリか
金銭的・精神的な余裕がなければ、ムリに親を援助する必要はありません。
法律的にみても、子どもが親に対して負う義務はあくまで「自分の生活に余裕がある範囲で助ければよい」というものです。
「わたしの生活で手一杯です」と断ることは、法律的にも認められています。[5]
もし、同居や介護を拒否しても罰せられることはありません。あなたの生活を守ることを優先し「できないことはできない」と考え、親のために動くのをやめてください。
まとめ
年老いた毒親との関係に悩んだら、優先すべきはあなたの生活や健康です。親のためにあなたの人生を削る必要はありません。
連絡する頻度を減らし事務的な対応を心がけるだけで、こころの負担は軽くなります。
これからは親の機嫌ではなく、あなたの幸せのための選択をしてください。
おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療も実施しています。
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【参考文献】
[1]From family estrangement to empowered exits: new emotional developments|PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12504279
[2]ストレスをためないコミュニケーション|筑波大学学生相談室
https://soudan.sec.tsukuba.ac.jp/content/uploads/sites/5/2020/07/f006dea0128b1afc87c4863fb7e6ab06.pdf
[3]青年期の母娘関係における距離と精神的自立についての一考察―精神的健康との関連から―高橋文子,生島博之
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokusimabunriu/94/0/94_39/_pdf/-char/en
[4]毒親概念の倫理:自らをアダルトチルドレンと「認める」ことの困難性に着目して,高倉久有,小西真理子
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/86374/cpnl_4_126.pdf
[5]扶養義務の準拠法に関する法律|e-Gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/361AC0000000084









