「統合失調症の有名人って誰だろう」
ときどき有名人がこころの病気を公表して話題になります。
今やこころの病気は、約30人に1人の割合でかかる身近な病気です。[1]
今回は、その中でも統合失調症を公表している有名人は誰なのか、なぜ芸術家が多いのかについて紹介していきます。
この記事の内容
統合失調症とは
統合失調症は、約100人に1人くらいかかると言われています。
「あれ?意外と多いな…」と思った方も多いのではないでしょうか。
ここでは、統合失調症はどんな病気なのかについて解説していきます。
主な症状
統合失調症には、健康なときにはなかった症状が現れる「陽性症状」と、今まであったものが無くなってしまう「陰性症状」があります。[2]
陽性症状:幻覚、妄想 など
陰性症状:意欲の低下、感情が表に出にくくなる など
上記のような、さまざまな症状で日常生活を送ることが難しくなるでしょう。
一方で、統合失調症は幻覚や妄想などの症状があっても、うまく症状と付き合えたら普通に日常生活を送ることもできます。そのため、周りの人が見てもわからないこともあるのです。
原因
統合失調症の発症原因は明確には分かっていません。
人間関係や仕事などで、なにかしらのストレスを抱え、こころが耐えられなくなると発症するのではないかと考えられています。[3]
治療法
統合失調症は、薬物療法や認知行動療法などの精神療法、リハビリテーションで治療を行います。
こころの病気は目に見えないので、患者さんと治療者の信頼関係が大切です。
「この人なら大丈夫。安心できる。」と、治療者との信頼関係を築いて治療をしていきましょう。
統合失調症を公表している有名人
ここでは、統合失調症をカミングアウト、または統合失調症だったのではないかと言われている有名人6名を紹介していきます。(以下、敬称略)
それぞれの有名人について詳しくみていきましょう!
他の疾患の有名人については、下記の記事もご覧ください。
フィンセント・ファン・ゴッホ
フィンセント・ファン・ゴッホは、19世紀後半のオランダの画家で、ポスト印象派の代表的な芸術家の一人です。とくに有名な作品は「星月夜」「ひまわり」などがあります。
フィンセント・ファン・ゴッホの「ファン」は、ミドルネームではなく姓の一部になります。[4]
ほぉ~!知らなかった!
ファン・ゴッホは双極性障害、てんかん、統合失調症など多くの精神疾患を患っていたのではないかと言われています。
彼の絵には「うねり」や「ゆがみ」が多く表現され、ファン・ゴッホの内なるイメージを表現したものではないかと言われています。[5]
エドヴァルド・ムンク
ムンクは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したノルウェーの画家で、象徴主義や表現主義の先駆者として知られています。[6]彼の作品の中で最も有名なのは、1893年に描かれた「叫び」です。「叫び」はホーム・アローンで少年が叫ぶイメージにも使われました。
「叫び」について、ムンクは自分の経験をもとに書いたと説明をしています。
「叫び」のゆがみや独特な色使いは、ムンクには世界がそのように見えていたことを表しているのかもしれません。そして、その世界観が画家として愛され続けているのでしょう。
夏目漱石
日本の小説家であり、近代日本文学の文豪の一人です。
代表作品には、「こゝろ」「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「三四郎」などがあります。
夏目漱石といえば千円札ですね!
夏目漱石は死後、内因性のうつ病だったと言われていましたが、統合失調症であったのではないかという意見もあります。
草間彌生
草間彌生は、日本の現代美術家で幼少期より幻覚や幻聴があり、それらを絵に表現しているそうです。[7]水玉模様や網模様のモチーフがくり返されるデザインの作品が多いのが特徴的です。
香川県の直島にある黄色いカボチャ『南瓜』や、鹿児島県の霧島アートの森にある『シャングリラの華』など、多くのアートを生み出しています。
カラフルな色合いと独特なデザインがオシャレですよね✨
ハウス加賀谷
お笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷は、「タモリのボキャブラ天国」などの人気番組で活躍していました。ところが、1999年に加賀谷の統合失調症悪化により活動を休止。10年の療養を経て2009年に復帰しました。
復帰後は、統合失調症を取り入れたネタや講演活動も行っています。
2013年には「統合失調症がやってきた」を発売。「かなり興味深い内容だった」「統合失調症に興味がある人は読んでほしい」「統合失調症の方が読まれると、とても参考になると思います」など、多くのレビューが寄せられています。
玉置浩二
玉置浩二は、1980年代にロック・バンド安全地帯のボーカリストとしてデビュー。[8]その歌唱力と個性的な声で多くの人々に愛され、その後ソロデビューもしています。また、玉置浩二は音楽活動だけでなく、ドラマや舞台などでも活躍し、多くのファンを魅了しています。
3度の離婚歴や精神科病棟への入院歴など、歌唱力以外でも話題の多い方です。2006年に出版した「玉置浩二★幸せになるために生まれてきたんだから」では、これまでの苦悩と喜びなどをノンフィクションで書かれているそうです。
統合失調症の方に芸術家が多い理由
統合失調症の方は、幻覚や妄想などにより、自分の中に独特な世界をもっているケースが多いです。周りの人には見えない、聞こえない世界を周囲の人に話すのは勇気がいります。
そのため、自分の中でため込む人が多いのです。ところが、自分の中でため込むには負担が大きすぎる。その解決策として「絵画」「音楽」「文章」に、自分の中の世界を表現しているのでしょう。
そして、その内なる世界が世間に評価され、統合失調症を公表している有名人に芸術家が多いのではないかと考えられます。
統合失調症の有名人|まとめ
統合失調症の有名人には芸術家が多くいました。
約100人に1人の発症率なので、たまたま統合失調症だったパターンもあるでしょう。
今回紹介した有名人を見て「自分だけじゃない」「この人も同じ病気だったんだな」などの感想があるかと思います。
人はそれぞれ想い描く世界があり、統合失調症の方に芸術家が多く感じたのは、自分の内なる世界を表現したからなのではないでしょうか。
みんなそれぞれの生き方があります。
あなたにあった素敵な人生が見つかりますように。
【参考文献】
[1]こころの病気について理解を深めよう|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/health_understanding.php
[2]統合失調症|厚生労働省 こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_03.html
[3]統合失調症|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=tQtLd1xVUp1wHJMQ
[4]フィンセント・ファン・ゴッホ|Wikipedia
[5]【復刻連載】病?実験?ゴッホの画面はなぜ歪み、渦巻いているのか|西日本新聞https://www.nishinippon.co.jp/item/n/848704/
[6]エドヴァルド・ムンク|Wikipedia
[7]草間彌生|Wikipedia
[8]玉置浩二|Wikipedia
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。