「寝つきが悪い」「途中で目覚めてしまう」と悩む不眠症の人々の間で、オンライン診療が注目されています。
オンライン診療を利用すれば、自宅にいながら不眠症の治療を受けられます。病院が遠かったり、通院する時間がなかったりする人におすすめです。
一方、処方薬や保険適用などオンライン診療について知っておくべきポイントもあります。メリット・デメリットの両方を理解したうえで、オンライン診療を検討してみましょう。
この記事では、オンライン診療における不眠症の治療法や不眠症でオンライン診療を受けるメリット・デメリットを解説します。
質の高い睡眠を取り戻し、心身ともに健康な生活を送りましょう。
この記事の内容
不眠症の種類
不眠症には4つのタイプがあり、それぞれ症状や特徴が異なります。[1]
不眠症の種類 | 特徴 |
入眠困難 | 寝床に入っても30分以上眠れない状態が続く症状。不安やストレス、生活リズムの乱れなどが原因。 |
中途覚醒 | いったん眠りについても夜中に目が覚めてしまう状態。加齢とともに起こりやすく、おもに就寝中の尿意によって引き起こされる。 |
早朝覚醒 | 朝早く目が覚めてしまいその後眠れなくなる症状。日本では成人の約5.2%が経験していると報告されており、体内時計の乱れや加齢が原因。 |
熟睡障害 | 眠りが浅く十分な睡眠時間があっても熟睡感が得られない状態。眠っているときに呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」や、手足がガクッと動く「周期性四肢運動障害」などが原因。 |
あなたが不眠症のどのタイプにあてはまるか、確認してみてくださいね。
オンライン診療における不眠症の治療法
不眠症のオンライン診療では、症状や生活習慣に応じておもに次の3つの治療法を行います。
それぞれ見ていきましょう。
薬物療法
薬物療法では睡眠薬を服用し、不眠症の症状を改善します。代表的な睡眠薬には、次の3つがあります。
薬の名前 | 特徴 |
デエビゴ | 依存性が低く、脳の覚醒システムに働きかけ自然な眠りを促す[2] |
マイスリー | 寝つきを改善するが、依存性のリスクがある薬[3] |
ベルソムラ | 睡眠の質を改善し、熟睡を促す効果が期待できる[4] |
オンライン診療において、初診では睡眠薬が処方されない可能性が高いため注意してください。事前に病院に確認しておくと安心できるでしょう。
また薬を服用する際は、医師の指導に従いましょう。
認知行動療法
認知行動療法は、不眠症の根本的な原因に働きかける治療法です。[1]
まず、睡眠に関する考え方や行動を振り返ることから始めます。
たとえば「8時間眠らなければいけない」という思い込みがあると、かえって睡眠への不安が高まり眠れなくなるのです。
次に、不眠を改善するための新しい考え方や行動パターンを見つけていきます。
「8時間眠れなくても気にしない」という考え方に切り替える、眠れないときは寝床を離れるなどの工夫を取り入れます。
そしてよく眠れたと感じる方法を繰り返し実践し、健康的な睡眠の習慣を身につけていきます。
リラクゼーション法
不眠症では、不安やストレスによる身体の緊張も原因となります。リラクゼーション法は、身体の緊張をやわらげることで自然な眠りを誘う方法です。[1]
たとえば、次の2つが挙げられます。
・自律訓練法
・漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)
自律訓練法では「手足が重たい」「体が温かい」といった自己暗示をかけて、心身のリラックスを促す方法です。緊張や不安を軽くし、疲労を回復する効果があるとされています。[5]
漸進的筋弛緩法は、体の各部位に力を入れたら緩め、筋肉の緊張をほぐす方法です。10秒間力を入れた後、20秒かけてゆっくりと力を抜くと、深いリラックス状態が得られるとされています。
不眠症でオンライン診療を受けるメリット・デメリット
不眠症のオンライン診療には、対面診療と比べてメリットとデメリットがあります。診療を受ける前に、これらの特徴をよく理解しておくことが大切です。
メリット
不眠症のオンライン診療では、患者さんの負担を減らす3つのメリットがあります。
・自宅で受けられる
・病院が遠くても受診できる
・感染リスクをおさえられる
自宅で診療を受けられるので、不眠で体調が悪くても通院する必要がありません。
病院が遠方でも、オンライン診療なら距離は問題になりません。近くに不眠症の専門医がいない人にとっては、通院の手間と費用を節約できます。
また、医療機関での感染リスクをおさえられることもメリットのひとつ。インフルエンザや新型コロナウイルスなどが流行っている時期でも、他の患者さんとの接触を避けながら受診できます。
おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療もおこなっています。詳しくは下記のページからご覧ください。
おおかみこころのクリニック
デメリット
オンライン診療には、注意が必要な点が2つあります。
・クリニックによっては保険適用外となる
・初診だと睡眠薬は処方されない可能性が高い
医療機関によっては、不眠症が保険適用外となるケースがあります。保険が適用されず診療費が自己負担となるため、通常よりも支払う金額が高額になるのです。
診療を受ける前に、保険適用の有無と自己負担額についてクリニックに確認しておきましょう。
また、初診では睡眠薬が処方されない可能性が高いのもデメリットのひとつ。[6]
睡眠薬を希望する方はまずは対面診療を受けて、医師との信頼関係を築いてからオンライン診療に移行するとよいでしょう。
オンライン診療で不眠症治療をする際の注意点
オンライン診療で不眠症の治療を受ける際には、2つの注意点があります。
保険証やネットワーク環境を準備する
診療を受ける前に、保険証とネットワーク環境の準備をしておきましょう。
保険証はカメラに映す、アプリや予約サイトにアップロードするなど、病院によって提示する方法が異なります。
また、通信トラブルで診療が中断すると適切な治療を受けられない可能性があります。
症状がいつから出ているのかをメモしておく
不眠の症状がいつから出ているのかをメモしておくことも大切です。
いつ頃から眠れなくなったのか、どんな症状があるのかなど具体的な情報を伝えると診療がスムーズに進みます。
オンラインでの会話に慣れていなかったり、緊張しそうだと感じたりするときは試してみるとよいでしょう。
対面診療でもメモはおすすめですよ。
不眠症でオンライン診療を受けられるクリニックの選び方
不眠症でオンライン診療を受けるときは、3つのポイントに注目してクリニックを選びましょう。
治療の続けやすさ
長期的に治療を続けやすい環境があるクリニックを選ぶことが大切です。
たとえば「予約システムが使いやすい」「医師が患者の話をよく聞いてくれる」といった点を重視するとよいでしょう。
医師の専門性の高さ
また、不眠症や睡眠障害に関する専門的な知識を持つ医師がいることも大切なポイントです。
専門医の診療は、より的確な治療方針と高い治療効果が期待できます。
かかりつけの病院によるオンライン診療
とくに理想的なのは、かかりつけの病院がオンライン診療を提供していることです。
既に病歴や体質を把握している医師に診てもらえるため、安心して治療を受けられます。
自分のかかりつけ病院がオンライン診療を実施しているかを一度確認してみましょう。
まとめ
オンライン診療は、自宅で手軽に病院の診察を受けられる便利なサービスです。
不眠症の診察も対応可能ですが、処方薬や保険適用に関する注意点があるため、事前に確認が必要です。
また、効果的な治療を受けるためには適切な病院を選び準備を整えることが大切。
この記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。
適切な治療を受けて質のよい睡眠を取り戻し、心身ともに健康的に過ごしていきましょう。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]不眠 睡眠負債・睡眠時無呼吸 不眠治療の名医が教える最高の治し方大全 聞きたくても聞けなかった132問に専門医が本音で回答!,平田幸一,文響社
https://amzn.asia/d/7yQebY7
[2]デエビゴ錠2.5mg, 同錠5mg 及び同錠10mg|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 p86
https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200203001/170033000_30200AMX00017_G103_1.pdf
[3]医療用医薬品 : マイスリー
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00046478
[4]ベルソムラ錠15mg|くすりのしおり
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=51952
[5]自律訓練法とは|日本自律訓練学会
https://www.jsoat.jp/contents/aboutat
[6]オンライン診療の初診に関する提⾔|⽇本医学会連合
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000840247.pdf