恋人に尽くしすぎて重荷になったり、相手の顔色ばかりうかがって意見が言えなくなったりすることはありませんか。
あなたらしさを見失うと、幸せなはずの恋愛をつらく感じるでしょう。
その苦しさは、もしかすると恋愛に依存しているサインかもしれません。
依存する原因を理解すれば、苦しい状況から抜け出すことは可能です。
適切な対処法を知ることで、あなた自身を大切にしながら恋人と心地よい関係を築けるようになるでしょう。
この記事では、恋愛に依存する理由や抜け出すヒントを解説します。恋愛依存を克服して、恋人との恋愛を楽しめるようになれば幸いです。
恋愛におけるよい依存と悪い依存の違い
恋愛には、よい依存と悪い依存の2つがあります。
よい依存とは、お互いが精神的・経済的に自立している状態です。
恋人を自分とは違う人間として尊重し、相手の価値観や時間を大切にできます。強い信頼で結ばれているため、会えない時間があっても不安を感じません。
一方で、悪い依存では「恋人がいない自分は無価値だ」と感じ、自分の存在価値を恋人に委ねてしまう状態です。
その結果、恋人に嫌われたくない一心で、自分の意見や感情を抑えてでも尽くします。
たとえば、本当は疲れていて家で休みたいのに、恋人が望むからと外出に付き合うこともあるでしょう。
さらに、見捨てられることへの不安から、恋人をコントロールする行動にもつながります。
恋人の返信が少し遅いだけで「なにしてるの?」と何度も催促したり、「誰とどこへ行くのか」を細かく聞き出して束縛したりするケースがあるでしょう。
あなた自身と恋人のどちらも大切にできる関係を目指してください。

お互いに尊重し合える関係が理想的ですね
恋愛に依存する理由
恋愛に依存する理由には、親との関係と自己評価の2つがあります。
恋人への依存性と親子関係との関連を調べた研究では、親に依存している人ほど恋人に対しても依存的な傾向が高まるとされています。[1]
親の顔色をうかがったり、親の期待に応えるのが当たり前の環境で育ったりすると、同じような関係性を恋人にも求めてしまい、恋愛への依存に発展する可能性があるのです。
また、他人からの称賛や注目によって自己評価を維持しようとすると、恋愛依存になりやすいとされています。[2]自分を肯定してくれる存在として恋人を独占したいという気持ちが、相手の嫌な部分を責めたり過度に干渉したりする行動につながります。
恋愛に依存しやすい人の特徴
恋愛に依存しやすい人の特徴には、次の3つがあります。
もし、あなたが恋愛をいつも苦しいと感じるなら、これから解説する特徴にあてはまる部分がないか振り返ってみましょう。
相手を束縛する
恋愛に依存しやすい人は、相手を束縛する傾向があります。
恋人が自分から離れてしまうのではないかという見捨てられ不安があり、不安を解消するために相手のすべてを把握しないと気が済まないのです。
たとえば、「今どこで誰と何をしているのか」を常に知りたがったり、異性がいる集まりに参加するのを制限したりします。恋愛への依存傾向が高い人ほど、恋人を束縛すると報告されています。[2]
束縛は愛情表現ではなく、不安を相手に押しつけている状態です。はじめは「心配してくれている」と受け取っていた恋人も、次第に息苦しさを感じ、関係に亀裂が入る原因となるでしょう。
自分を犠牲にする
自分を犠牲にすることは、恋愛依存にみられる特徴のひとつです。
恋人からの関心が失われる不安から、相手の要求にムリに応えようとします。
たとえば、自分の趣味や友人との予定を後回しにして、常に恋人とのスケジュールを最優先する生活を送るのです。
恋人中心の生活は恋愛関係における過度な依存につながりやすいと報告されています。[3]
また、嫌われたくない一心から自分の意見を言わずに恋人に合わせてしまうのも、自己犠牲の例です。
一見すると恋人を想う献身的な行動ですが、愛情ではなく「嫌われたくない」という考えからきているのです。
恋愛で自分を犠牲にすることは、健全な愛情表現ではありません。
むしろ、あなた自身を苦しめ、2人の関係を損なう可能性があるのです。

片方が犠牲になる関係では、のちのち歪みが生じるでしょう
ひとりを怖いと感じる
恋愛に依存しやすい人の特徴は、ひとりを怖いと感じることです。[4]
自分の価値を「誰かに必要とされているかどうか」で測る傾向があります。
そのため、特定の恋人がいない状態は、自分の存在価値が失われたように感じてしまうのです。
依存傾向が強いとひとりでいる状況に耐えられず、恋人との関係が終わっても、すぐに次の恋愛相手を探し始めます。
恋愛を繰り返すのは、孤独への恐怖から逃れるための行動といえます。
しかし、自分と向き合う時間を避けていては、なぜ依存的な恋愛を繰り返すのかという根本的な問題に気づけません。
あなたが恋愛に依存しているか知りたいときは、下記の記事もあわせてご覧ください。
恋愛依存の落とし穴
恋愛に依存すると、次の3つのデメリットがあります。
- 自分の軸がなくなる
- 成長する機会を失う
- 友人や家族との関係が薄くなる
恋人から嫌われたくない一心で自分の意見や感情を抑え込むと、恋人の趣味や価値観に染まっていきます。
その結果「自分は何が好きで、何がしたいのか」が分からなくなるのです。
また、恋愛だけにすべての時間とエネルギーを費やすと、自己成長につながる貴重な機会を失います。
仕事のスキルアップや新しい趣味に使えた時間がすべて恋愛に注がれ、関係が終わったときに何も残っていないという虚無感にとらわれるでしょう。
さらに、恋人との時間を確保するために友人との約束を何度もキャンセルしたり、心配してくれる家族からの連絡を無視したりする行動が続くと、周囲は次第に離れていきます。
社会的に孤立すると頼れる存在が恋人しかいなくなり、ますます依存を深める悪循環を生み出すのです。
恋愛依存から抜け出すヒント
恋愛への依存はつらいものですが、乗り越えることはできます。
ここでは、恋愛依存から抜け出すヒントを3つ紹介します。
それぞれについて見ていきましょう。
自分の長所に目を向ける
まずは、あなたの長所や過去の成功体験に意識を向けましょう。
恋愛に依存する背景には、自分に自信がなく「誰かに認められないと価値がない」という思い込みが隠れているケースがあります。思い込みを解消するために、あなたの長所を積極的に探してみてください。
「困っている人がいると助けたくなる」「一度決めたことは最後までやり遂げる」といった些細なことでかまいません。
紙に書き出すと、思っている以上に長所が見つかるはずです。
長所を探し続けると、他人の評価に頼らなくてもあなたの価値を認められるようになります。自信がつけば、恋愛においても精神的な自立を保ちやすくなるでしょう。
興味のある活動に打ち込む
恋愛依存から抜け出すためには、興味のある活動に打ち込みましょう。
生活のすべてが恋愛中心になると恋人のささいな言動に一喜一憂し、こころが休まりません。
意識的に恋愛から距離を置き、あなたのために時間を使う活動を始めてください。
たとえば、次のような活動に取り組んでみましょう。
- 読書
- スポーツ
- 楽器の演奏
- 語学の勉強
- ボランティア活動
新たなスキルが身についたり新しい仲間ができたり、あなたの世界を広げるきっかけにもなります。
恋愛が人生のすべてではなく、人生を豊かにする一部であると考えましょう。

趣味があると自分の時間を
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恋人との境界線を設定する
依存しない関係を築くためには、あなたと恋人との間に境界線を設定しましょう。
境界線を引くとは「恋人と自分の感情や問題を明確に区別する」という意識です。
たとえば、恋人の機嫌が悪いのは仕事で何かあったのかもしれず、必ずしもあなたのせいではないと考えてください。
恋人の要求をすべて受け入れるのではなく、ムリな頼みには「ごめん、それはできない」と断る勇気も必要です。
また、週に1度はひとりで過ごす日をつくるといった、距離を保つ時間を作ることも有効です。
お互いを縛り合うのではなく、それぞれがひとりの人間として尊重し合える関係が良好なパートナーシップの土台となります。
まとめ
恋愛に依存する理由には、親子関係や自己評価が関係しており、恋人への束縛や自己犠牲などの特徴としてあらわれます。
恋愛への依存は、友人関係が途絶えたり自分らしさを見失ったりする落とし穴につながる可能性があります。
まずはあなたの長所に目を向けて自信を取り戻し、恋愛以外の活動に打ち込んで視野を広げましょう。
そして、パートナーとの間に適切な境界線を設定し、お互いが自立した個人として尊重し合える関係を目指してください。
自分自身と向き合う一歩が、より健全で幸せな恋愛への道を開きます。
おおかみこころのクリニックでは、経験豊富なカウンセラーが丁寧なカウンセリングを行っています。恋愛に悩みがあり日常生活に支障をきたしているときは、お気軽にご相談ください。
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【参考文献】
[1]恋人への依存性と親子関係との関連性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/71/10/71_673/_pdf
[2]青年期女性の恋愛における自己愛と恋人への依存との関係ー「自己愛的な依存」と「相手のことを優先させる依存」の視点からー|瀨戸加菜恵・丸山 仁美
[3]大学生の恋愛観と愛着スタイルの関連ー恋人に対する依存のしやすさと一般他者を想定した愛着スタイルー
https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/record/1675/files/%E7%94%B0%E6%B2%A2%E6%99%B6%E5%AD%90.pdf
[4]恋愛依存傾向尺度作成の試みー男女間における恋愛依存傾向の比較ー
https://kurume.repo.nii.ac.jp/record/572/files/shinri5_157-162.pdf