【チェックあり】人間関係の依存とは|健康的な関係との違いや対処法










「相手に嫌われないように気を遣いすぎてしまう」

「相手の反応次第で気分が一喜一憂してしまう」

人間関係の中でこのように苦しくなった経験はありませんか?

それは、もしかすると人間関係における「依存」が関係しているかもしれません。

この記事では、健康的な依存と病的な依存の違い依存しやすい人の性格傾向ムリなく人とつながる方法についてお伝えします。

「ありのままの自分でいても大丈夫」と感じられるヒントになれば幸いです。

人間関係における依存とは

ネガティブに捉えられがちな「依存」ですが、実はわたしたちが安心して生きていくために必要な気持ちでもあります。

たとえば、以下のような「誰かに頼りたい」という思いは、多くの人が日常で感じているでしょう。[1]

  • 助けてほしい(助力を求める)
  • 安心させてほしい(保証を求める)
  • そばにいてほしい(ともにあることを求める)
  • 気持ちに寄り添ってほしい(こころの支えを求める)
  • 話を聞いてほしい(注意を向けてもらうことを求める)

こうした依存のかたちは、人間関係のなかで誰もが持つごく自然な気持ちです。

ただ、依存のバランスが崩れたり、特定の相手に気持ちを強く向けすぎたりすると、自分自身がつらくなってしまいます。

とくに以下のような関係性では、依存が深まりやすいため注意が必要です。[2]

  • 恋愛
  • 家族
  • 虐待
  • 性的なつながり
  • DV(ドメスティックバイオレンス)

これらの関係では相手に強く気持ちを向けすぎてしまい、相手のために自分を犠牲にする状態になりやすい傾向があります。

人とのかかわりに欠かせない依存ですが、そのバランスによって関係性が健やかにも苦しいものにもなりうるのです。

こころちゃん
こころちゃん

あなたにも相手にも負担のない関係を築きましょう

人間関係に依存する心理

精神的に安心できる場所を求めて人間関係に依存するのは、こころのバランスを保つための自然な反応です。

自分では抱えきれないほど強い不安や孤独を感じると、人は気持ちを落ち着かせるために「誰か」や「何か」に頼ろうとします。[3]

それはつらい状況を乗り越えようとするこころの働きのひとつであり、決して弱さではありません。

アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)によると、依存は「困ったことが起きているのに、その原因となる行動を減らしたりやめたりできない状態」と定義されています。

たとえば「このままだとつらいし、距離を置いた方がいいかも」と頭ではわかっていても、相手から離れられないような状態です。

このように、不安や寂しさを埋めたくて、ひとりの人や関係に執着してしまうことが、人間関係に依存する心理といえます。

人間関係における健康的な依存

健康的な依存とは、相手を信頼し支え合っている状態です。[4]

一方的にすがるのではなく、お互いの自立を保ちながらつながっている状態ともいえます。

例として、以下のような状態が挙げられるでしょう。

  • 相手を尊重しながら自分の気持ちも伝えられる
  • 相手に頼りながらも自分のことは自分で決められる
  • 相手に対して「こうあるべき」と強く期待しすぎない

このように、健康的な依存とは「ひとりでも立っていられるけど、相手と一緒ならもっと安心できる」という関係性です。

【セルフチェックあり】人間関係における病的な依存

病的な依存とは、本人や家族が苦痛を感じていたり、生活に困りごとが生じていたりする状態です。[5]

以下にあてはまるときは、病的な依存の状態になっていると考えられます。

▢ 相手を優先しすぎて家族とケンカになる

▢ 相手に会うためにムリしてお金や時間を使う

▢ 睡眠・食事がとれず生活リズムや体調がくずれる

問題が起きているのにやめられないときは、専門的なサポートを検討することも大切です。

依存しやすい人の性格傾向

依存は誰にでも起こりうるこころの問題です。

ただ、次のような性格傾向があると、特定の人や対象に強く依存しやすいといわれています。[2]

  • 気持ちの切り替えが苦手でカッとなりやすい
  • 人との距離感がつかめず付き合いに疲れやすい
  • 人に誘われると断るのが申し訳なく感じてしまう
  • 自信がなく「どうせ私なんて…」が口癖になっている
  • ひとりで物事を決めるのが苦手でつい人任せにしてしまう
  • 見捨てられたくない思いが強く安心できる存在を求めている

ただ、このような性格傾向があるからといって、必ず依存状態になるわけではありません。

より具体的な行動パターンを知りたいときは、こちらの記事もご覧ください。

人間関係で依存しすぎない方法

依存しすぎない関係を築くためには「なによりも自分自身を大切にできる人間性が必要」とされています。[3]

ここでは、日常生活の中で実践できる以下3つの方法を紹介します。

ひとつずつ見ていきましょう。

自分の気持ちに気づく

依存しない人間関係を作るために、まずはあなた自身の感情に気付き否定せずに受け止めましょう。

「本当の自分を出したら嫌われるかも」と思うのはごく自然なことです。

ただ、自分の気持ちを後回しにしてばかりだと、こころの中にモヤモヤがたまり相手に依存しやすくなります。

たとえば、LINEの返信が来なくて不安になったときは、以下のように主語を「わたし」に言い換えてみましょう。

「なんで返信くれないの?もしかして嫌われた?」
→「わたしは返信がなくて寂しいと思ってるんだな」

自分の感情を理解することで、相手に気持ちをぶつける前に冷静になれる余裕が生まれます。

不安な気持ちが出てきたときこそ「今のわたしはこう感じているんだな」と認めることで、自分を守り人との関係を健やかに保つことができます。

自分の時間や楽しみを持つ 

自分の時間や楽しみを持つことで、人に依存しすぎずにこころのバランスを保ちやすくなります。

誰かにとって特別な存在でいたいと思うのは自然なことです。

ただ、その思いが強すぎると相手の行動や反応に一喜一憂してしまいます。

そのようなときこそ、自分がリラックスできることや好きなことを、日常に取り入れてみましょう。

例として、以下のような過ごし方が挙げられます。

  • 日記を書く
  • ひとりで映画を見に行く
  • カフェで好きな飲み物を飲む

「これをしているとこころが落ち着くな」と感じることを日常に取り入れましょう。

誰かに気持ちを埋めてもらわなくても、自分で気持ちを整える力が少しずつ育っていきます。

ちょうどよい距離感を探る

ムリのない距離感で人とかかわることが、安心できる関係を築く土台になります。

親しくなるほど「嫌われたくない」「相手に合わせなきゃ」という気持ちが強くなるかもしれません。

ただ、自分の気持ちを隠した関係の中では、本当の安心感や信頼は育たないものです。

そこで「自分がムリをしていない」と感じられる状態で相手とかかわることを目指しましょう。

ちょうどよい距離感の例として、以下が挙げられます。

  • 自分の気持ちを伝えても関係が壊れる不安がない
  • 相手の問題を「自分が解決しなきゃ」と思わなくていい
  • LINEの返信が遅くても「忙しいのかも」と落ち着いていられる

はじめは「本当にこれで大丈夫かな?」と不安になるかもしれません。

ただ「このくらいの距離感なら、自分らしくいられるな」と思えるかかわり方を少しずつ試すことで、こころが軽くなっていくのを感じられるはずです。

ムリをしない関係こそが、長く続く安心できるつながりを育ててくれます。

こころちゃん
こころちゃん

少しずつで大丈夫です♪

まとめ

人に頼ることは、決して悪いことではありません。

ただ、自分の気持ちを我慢してまで関係を続けると、こころが疲れてしまいます。

自分の感情に気づき「わたしはこう思ってる」「これは大切にしたい」と、自分の声を尊重できるようになれば、相手との関係もぐっとラクになります。

おおかみこころのクリニックでは、あなたの気持ちをお聞きしながら、今の状態に合ったサポートをご提案しています。

一歩踏み出したいと思ったときは、どうぞ気軽にご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考資料】

[1]藤川 由佳理|大学生における友人依存について――適応と主観的幸福との関連から――2. 先行研究の概観2- 1.対人依存について
https://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/bdyview.do?bodyid=TD32014473&elmid=Body&fname=rd-bn-ky_038_022.pdf&loginflg=on&once=true

[2]榎本稔|よくわかる依存症 主婦の友社

[3]柿澤 暁|共依存症問題についての考察
https://mu.repo.nii.ac.jp/record/1257/files/humanstudies9_05.pdf

[4]森 祐子|大学生の同性友人関係における健康的依存に関する研究
https://www.obirin.ac.jp/academics/postgraduate/psychology/course_clinical/papers_masters/r11i8i000000imwd-att/7fl296000007kfv1.pdf

[5]厚生労働省|依存症についてもっと知りたい方へ |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html

この記事の執筆者
とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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