「rTMSって副作用や痛みはないの?」
「脳に磁気を当てるって大丈夫?」
「怪しい治療法なんじゃない?」
うつ病の新しい治療法として注目されるrTMS(反復経頭蓋磁気刺療法)に興味を持ちつつも、このような不安を感じていませんか?
長年うつ病と向き合ってきたからこそ「今度こそ効果があるかも」と思える治療に出会えることは、大きな希望になります。
その一方で、リスクや副作用がないか、失敗したらどうしようと慎重になるのも当然のことです。
この記事では、rTMS治療の安全性や副作用、誤解されやすい点をやさしく解説します。
「気になるけど一歩が踏み出せない」というあなたが、安心して検討できるきっかけになれたら幸いです。
rTMSは安全な治療法
rTMSは磁気で脳の一部を刺激し、うつ病をはじめとした不調の改善をめざす治療法です。
磁気で脳を刺激すると聞くと「なんだか怖そう」「本当に安全なの?」と不安になるかもしれません。
rTMSは身体への負担が少なく、安全性の高い治療法として国内外で広く利用されています。
副作用は頭皮の痛みのような軽度なものが多く、重大な副作用(例:けいれん)は非常にまれです。
また、rTMSを実施できるのは一定の基準を満たした精神科の専門医に限られています。
治療時は、磁場の影響を避けるためにピアスや眼鏡、補聴器などを外すなど、安全に配慮された環境で施術が行われます。
このように、rTMSは適切な管理がされた医療機関のもとで受ける限り、リスクが最小限に抑えられた安全性の高い治療です。
「そもそもrTMSってどんな治療?」と疑問をお持ちのときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。
rTMSの副作用
rTMSの副作用を以下に分けて解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。
頻度の高い副作用
rTMSでよくみられる副作用の多くは、軽度で一時的なものです。
例として、以下のような症状が挙げられます。[1]
- 顔まわりの不快感(約30%)
- 頭皮の刺激痛やピリピリ感(約30%)
- 首や肩のこり(約10%)
- 頭痛(10%未満)
これらの症状は治療が進むにつれて自然に軽減していくことが多く、市販の鎮痛薬で対応できる範囲のものとされています。
rTMSは「副作用が出ることもあるけど、多くは強い痛みや継続的なつらさではない」という点が安心材料になるでしょう。
頻度の低い副作用
頻度の低い副作用として、以下が挙げられます。[1]
- 聴力の低下
- 耳鳴りの悪化
- めまいの悪化
- 認知機能への影響
- 刺激した部分のやけど
- 急性の精神症状の変化(例:気分が異常に高揚する「躁転」)
このような副作用に対しても、医療機関で対応策がとられています。
たとえば、治療中に頭皮の痛みが強い場合には、患者さんの感じ方に合わせて刺激の強さを一時的に調整することが可能です。
また、rTMSの治療中には「カチカチ」といったクリック音が発生するため、耳栓を使用して聴覚への負担を軽減する配慮もされています。
医師やスタッフが様子を見ながら治療を進めるため、不安なことは遠慮なく相談しましょう。

近くに医療スタッフがいるので、気になる症状があったらすぐに伝えてくださいね!
重篤な副作用
重篤な副作用として、けいれん発作が挙げられます。
ただ、けいれん発作の発現率は1セッションあたり0.003%、患者ひとりあたり0.07%と非常にまれです。[1]
これは、抗うつ薬によるけいれんリスク(0.1〜0.6%)や、一般の人にけいれんが起こる確率(0.07〜0.09%)よりも低いとされています。[2]
睡眠不足や飲酒はrTMSによるけいれんを引き起こしやすくなる可能性があるため、治療前の生活習慣には注意が必要です。[1]
ただ、うつ病の症状としての不眠があるときは、医師が治療による効果と安全性を踏まえたうえで実施の可否を判断します。
rTMSのけいれんリスクは非常に低く、過度に心配する必要はありません。
不安な点は事前に医師へ相談し、体調をととのえたうえで治療にのぞむことが大切です。
rTMSが怪しいと言われる理由
rTMSが怪しいと言われる理由として、以下が挙げられます。
ひとつずつ解説します。
高い治療効果をアピールしすぎる
rTMSについて調べていると「どんな病気にも効く」「高確率で治る」「副作用ゼロ」のような言葉を目にしますが、このような表現には注意が必要です。
rTMSはうつ病や強迫性障害などに対して症状の改善が期待できる治療法ですが、効果には個人差がありすべての人に必ず効くわけではありません。
実際のデータでは、rTMSによってうつ病になる前のレベルまで回復した人の割合は15〜25%とされています。[1]
また「副作用が一切ない」と断言するケースもありますが、実際には軽度の頭痛や刺激部位の違和感などが起こる可能性があります。
rTMSを検討する際は、効果だけでなくリスクについても説明してくれる医療機関かどうかをひとつの判断材料にしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、rTMSを含めた治療の選択肢をわかりやすくご説明し、納得したうえで治療を選んでいただけるようサポートします。
どんな小さな不安でも、安心してご相談ください。
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対応できる症状を広く見せすぎている
rTMSがおもに用いられるのは、うつ病や強迫性障害などです。
一方で、現時点では十分な根拠がそろっていないにもかかわらず、以下のような疾患についても「rTMSで改善します」と強くすすめる医療機関も一部見られます。
- ASD(自閉スペクトラム症)
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- HSP(Highly Sensitive Person)
たとえば、HSPは医学的な病名ではなく、生まれつき感受性が高い「気質」のひとつとされています。
医師から「この治療で改善します」と強く勧められると、つらい状況にいるときほど希望を抱きやすいものです。
だからこそ、自分の症状がrTMSの適応なのか、どのような実績や根拠がある治療なのかを説明してくれる医療機関を選ぶことが、納得のいく治療につながります。
高額な治療費を請求されることがある
rTMSは2019年に日本でも保険適用となりましたが、対象となるのは「うつ病」で一定の条件を満たした場合に限られます。
そのため自由診療として提供されているケースも多く、医療機関ごとに価格設定が異なるのが現状です。
まれに十分な根拠がない症状に対してrTMSを勧めたり、劇的な効果をアピールして高額な治療費を請求したりする悪質な医療機関も存在します。
安心して治療を受けるために、料金や保険適用について事前に確認しましょう。
rTMSの料金や保険適用について知りたいときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。
rTMSは痛いのでは?と不安なあなたへ
rTMS治療を受けるか迷っているときに「痛そう」「脳を刺激するなんて怖い」と不安を覚えるかもしれません。
実際に頭皮のピリピリとした刺激を覚えたり(約30%)、治療後に軽い頭痛が出たりする(10%未満)のは事実です。
ただ、いずれも一時的かつ軽度な症状であることが多く、市販の鎮痛薬で対処できる範囲とされています。[2]
治療中に痛みが強いと感じたときは医師が刺激の強さを調整してくれるため、安心して治療を続けることができます。
不安があれば事前に医師に相談し、心配ごとをひとつずつ解消しながらムリなく治療を進めていきましょう。
まとめ
rTMSは、抗うつ薬で十分な効果を感じられなかったときに、新たな選択肢となりうる治療法です。
「磁気を使うなんて危ないのでは?」と心配になるかもしれませんが、副作用のリスクが比較的少なく、安全性の高い治療であることがわかっています。
新しい治療を始めるときに、不安や疑問を抱えるのは当然のことです。
だからこそ、あなたの気持ちに寄り添いながら、効果やリスクを丁寧に説明してくれる医療機関を選びましょう。
おおかみこころのクリニックでは、一人ひとりの不安に丁寧にお答えし、不安に寄り添ったrTMS治療を大切にしています。
「まずは話だけでも聞いてみたい」というときも、ぜひお気軽にご相談ください。
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【参考資料】
[1]日本精神神経学会 反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針 令和6年4月(改訂)ver2
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/Guidelines_for_appropriate_use_of_rTMS_202404ver2.pdf
[2]野田賀大 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適性使用指針について―うつ病に対するrTMS治療に関する世界のガイドラインの観点から―
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1210050376.pdf