「毒親に育てられた人の特徴にはなにがある?」
「わたしの親は毒親にあてはまるのかな」
周囲からみれば仕事もプライベートも順調なのに、言葉にできない生きづらさを抱えていませんか。
その苦しみは、幼いころの家庭環境が関係している可能性があります。
原因がわからないままあなた自身を責め続けても、不安や苦しみが解消されにくいでしょう。
まずはあなたにあてはまる特徴を知り適切な対処法を実践することで、現状を変えるきっかけがつかめます。
この記事では、毒親に育てられた人の特徴や生きづらさから回復する方法を解説します。あなたらしい人生を取り戻すために役立てれば幸いです。
毒親に育てられた人の特徴7つ
毒親に育てられた人の特徴には、次の7つがあります。
あなたにあてはまるものがないか、確認していきましょう。
毒親の特徴については下記の記事をご覧ください。
自己肯定感が低い
毒親に育てられた人は、自己肯定感が低い傾向があります。
親から不当な扱いを受けたり否定され続けたりした子どもは、自己肯定感が低下しやすいと報告されています。[1]
幼いころから親に否定され続けると、ありのままの自分を認めてもらう経験が不足してしまうのです。
テストでよい点を取っても「もっと頑張れ」と言われたり、人格を否定するような言葉を浴びせられたりすると、子どもは「わたしには価値がない」と思い込んでしまいます。
その結果、大人になってからも自信が持てず、他人の評価を気にして生きるようになるのです。
自分で決められない
毒親に育てられると、自分の意思で物事を決められなくなります。
子どもが自分で決めるべき場面で、親が先回りして決めてしまったことが原因です。
たとえば、着る服をすべて親に選ばれたり、進学先や就職先を親の意向だけで決められたりします。[2]
自分で選択し、失敗から学ぶ機会を奪われたまま大人になると「わたしの選択は合っているのか」という不安がつきまといます。その結果、些細な決断でも誰かの許可を得なければ行動できなくなってしまうのです。

自分で決めた経験のなさが関係しています
感情を抑えがちになる
毒親に育てられた人は、感情を抑え込むことがあります。
家庭内で親の機嫌が悪かったり両親の仲が悪かったりすると、子どもが仲介役を担うことで家族の崩壊を防ごうとするためです。[1]
たとえば、子どもが母親の不機嫌をすぐに察知して、慰めたり場をなごませたりします。
他人の感情に焦点を合わせているため、自分の気持ちが後回しになってしまいます。「つらい」「悲しい」などの感情を出すことよりも、その場を平穏に保つことを優先して生きてきたため、感情を抑えがちになるのです。
楽しむことに罪悪感がある
毒親に育てられた人は自分が楽しむことに対して、罪悪感を抱くケースがあります。[1]
子どもが楽しそうにしていると、親が不機嫌になったり嫉妬して邪魔したりする環境で育ったことが関係しています。
友人と遊んで帰ってくると親から「あなただけ楽しんでいいご身分だね」と嫌味を言われたり、子どもが笑顔を見せると親が急に不機嫌になったりするケースがあります。
このような経験を繰り返すと「わたしだけ楽しんではいけない」という考えになってしまうのです。
対人関係が不安定になりやすい
毒親に育てられた人の特徴には、対人関係が不安定になりやすいことが挙げられます。
親との間で信頼関係を築けなかったため、他人との適切な距離感や接し方がわからなくなるからです。
たとえば、相手の言動で「嫌われたかもしれない」と不安になったり、本音を知られるのが怖くて深い付き合いを避けたりします。[3]
その結果、こころを許せる友人ができなかったり、職場で孤立したりします。仲良くなりたいと思いながらも、近づきすぎると傷つくのではないかと恐れてしまうのです。
他人の顔色や物音に敏感になる
他人の顔色や物音に敏感なことは、毒親に育てられた人の特徴です。
親が突然怒鳴り出したり暴力を振るったりする環境にいると、子どもは親の気配を察知しようとします。
足音が荒いときは部屋にこもったり、ドアを閉める音が大きいときは話しかけなかったりするなどの対策をとるのです。
そのため、上司のため息や同僚の足音にも敏感になりやすく、家に帰る頃にはぐったりと疲れてしまいます。

まわりを気にしすぎちゃうんですね💦
「わたしが悪い」と思ってしまう
毒親に育てられた人はトラブルが起きたとき、自分に非がなくても「わたしのせいだ」と思い込んでしまいます。
親に理不尽な理由で責められ続けた経験があるため「わたしはダメな人間だ」と思い込んでしまいます。
親の機嫌が悪いのは子どものせいではありません。ただし、親から「お前が悪い」と言われ続けると、子どもはそれを事実として受け入れます。
親のゆがんだ価値観を受け入れた結果、自己否定感が強まり生きづらさを覚えてしまうのです。[3]
毒親育ちはメンタル強いのか
「毒親育ちはメンタルが強い」と言われることがありますが、大きな誤解です。
実際は、自分の感情を押し殺して周囲に合わせている「過剰適応」の状態になっています。
過剰適応とはまわりの期待に応えようと必死になるあまり、自分の心身が限界を超えてしまっている状態です。[4]
理不尽な状況にも耐え弱音を吐かずに仕事をこなすため、周囲からは「メンタルが強い人」と評価されがちです。ただし、表面上は適応しているようにみえても、内面では不安や疲れが溜まっています。
周囲の評価とあなたの内面にあるギャップに悩んでいるなら、限界を迎えていると考えましょう。
毒親育ちの生きづらさから回復する方法
毒親育ちの生きづらさから回復するには、次の3つの方法があります。
あなたの人生を歩むために、できることから少しずつ始めてください。
あなた自身を許す
まずは、あなた自身を許すことから始めましょう。[5]
毒親に育てられた人は「いい子にしていないと愛されない」といった条件付きの愛情しか受け取っていません。そのため「完璧でなければ愛されない」と思い込む傾向があります。
「よく頑張ってきたね」「そのままでいいんだよ」と、幼い頃のあなたに声をかけるように自分自身をいたわってあげてください。
自分を許すことは、親を許すこととは違います。
親への怒りや憎しみがあるならムリに消そうとせず、その感情を認めるだけで十分です。
あなたの感情を否定せず受け入れることが、生きづらさからの回復につながります。

あなたらしく生きて大丈夫ですよ!
カウンセラーに相談する
専門知識を持つカウンセラーに相談し、客観的な視点を取り入れていきましょう。
長年抱えてきた悩みや考えのクセはあなただけでは気づきにくく、修正するのが難しいからです。
こころの悩みに詳しいカウンセラーであればあなたの話を否定せずに聴き、感情を整理する手助けをしてくれます。安心して話せる場を持つことで、自己肯定感を育て直せるのです。
あなたの苦しさを理解し、背中を押してくれるカウンセラーは必ずいます。ひとりで悩むのではなく、カウンセラーに相談することも検討してください。
両親以外の人間関係を築く
親以外に信頼できる人たちとのつながりを作り、新しい人間関係を築いていきましょう。
家族以外と接することで「親の価値観が全てではない」と気づき、新しい視点や安心感を得られるからです。
親から精神的に自立する過程において、パートナーや友人とのつながりがこころの回復を助けると言われています。職場以外にも、趣味のサークルやボランティアなど、外の世界とかかわってみましょう。[6]
「この人といると落ち着く」と感じる人を少しずつ増やしてください。安心できる人間関係の中で過ごすことが、こころの傷を癒やしていきます。
まとめ
毒親に育てられた人の特徴は、自己肯定感の低さや感情の抑制などさまざまです。周囲からはメンタルが強いと誤解されがちですが、実際は自分のこころを犠牲にして耐え続けています。
生きづらさから回復するためには、自分を責めるのをやめて親以外に安心できる人間関係を築くことが大切です。
ひとりで抱え込まず、カウンセラーを頼ることも有効な手段となります。
おおかみこころのクリニックでは対面診療に加えて、オンライン診療も行っています。通院にハードルを感じるときでも、自宅からリラックスした環境で話せます。「誰かに悩みを聞いてほしい」と感じたら、お気軽にお問い合わせください。
【参考文献】
[1]毒親概念の倫理:自らをアダルトチルドレンと「認める」ことの困難性に着目して,高倉久有,小西真理子
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/86374/cpnl_4_126.pdf
[2]毒親とその言動に対する子の捉え方および態度に関する検討,吉田彩花,橋本創一,板倉あい,佐藤翔子,田口禎子
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol21/21_03.pdf
[3]親の養育態度が子の社会人生活に及ぼす影響ー仕事に影響する毒親から受けた心の傷ー,金森史枝,蛭田秀一
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/2006675/files/njhpfs_46_1_33.pdf
[4]過剰適応をめぐる考察,廣川進
https://cdgakkai.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/gb202005.pdf
[5]「毒親」の正体ー精神科医の診察室からー,水島広子,新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/610756
[6]From family estrangement to empowered exits: new emotional developments|PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12504279









