「親は毒親じゃないけど接するのがしんどい…」
「育ててもらった恩はあるのに連絡が憂うつでたまらない」
虐待されたわけではないけれど、親とかかわるたびにモヤモヤとした苦しみを感じていませんか。
そんなあなた自身を「親不孝だ」「冷たい人間だ」と責めてはいけません。
毒親じゃないけどしんどいと感じるのは、親との関係で知らないうちにこころがすり減っているためです。
親の期待に応えようとし続けると、いつかこころが限界を迎えてしまう可能性があります。あなたのこころを守る方法を知って、気持ちを安心させましょう。
この記事では、毒親じゃないけどしんどいと感じる理由や、こころを守る方法を解説します。罪悪感を手放し、あなたの人生を歩むためのヒントとなれば幸いです。
毒親じゃないけどしんどいと感じる理由
親と一緒にいてしんどいと感じるのは、常に親の顔色をうかがい、緊張状態が解けないためです。[1]
親に対して恐怖心や圧力を感じた子どもは、本能的に親に気に入られるような行動をとるようになります。
親の機嫌を優先する習慣が身についていると、大人になっても親の前でリラックスできません。
たとえば、父親が不機嫌になると家庭内の空気が重くなり、子どもが萎縮してしまうケースが挙げられます。常に「親を怒らせないように」と気を張っているため、一緒にいるだけでエネルギーを消耗してしまうのです。
安心できない関係性が続くと、毒親じゃないけどしんどいと感じるようになります。
毒親の特徴については下記の記事をご覧ください。
隠れ毒親チェック
一見すると普通の親に見えても、実は子どもを支配しようとする「隠れ毒親」かもしれません。
下記のリストで、あてはまる項目があるかチェックしてください。[2][3]
- 人格や容姿を否定する言葉を平気で言う
- 子どもを親の所有物や寂しさ埋めに扱う
- 兄弟や他人と比較して劣等感を植えつける
- 服装や趣味、交友関係にまで干渉してくる
- 親の機嫌で態度が激変し、理不尽に振り回す
- 「親に感謝してあたり前」という態度をとる
- 「男・女らしく」という価値観を押しつける
- 進路や結婚相手に対し、執拗に口を出してくる
- 体調不良やつらい気持ちを「甘えだ」と突き放す
- 「産まなければよかった」と存在を否定するような言葉を言われた経験がある
多くの項目にあてはまるときは、隠れ毒親の可能性があります。
「育ててもらったから」とあなた自身を納得させる必要はありません。しんどいと感じる気持ちを無視せずに、あなたのこころを守っていきましょう。
毒親に育てられた人の特徴につては下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
毒親じゃないけどしんどいときにこころを守る方法
毒親じゃないけどしんどいときに、こころを守る3つの方法があります。
親を変えようとするのではなく、あなたの行動や考え方を変えてこころを守る環境をととのえましょう。
親と距離を置く
毒親じゃないけどしんどいときは、親との間に距離を置きましょう。[4]
実家を唯一の帰る場所にしてしまうと、逃げ場がなくなり精神的に追い詰められてしまいます。親と会うのがつらいときは実家に帰る頻度を減らして、あなたのこころを守ってください。
精神的に限界を感じたときに駆け込める場所をあらかじめ作っておくと、こころの余裕につながります。親に会わない時間を作るだけで、余計なエネルギーを使いません。
あなたが安心できる場を持つのは、こころを守るために有効です。
連絡する頻度を減らす
親と連絡する頻度を減らすことは、毒親じゃないけどしんどいと感じるときの対処法のひとつです。
親から電話やLINEが来るたびすぐに対応していると、親のペースに巻き込まれてしまいます。
たとえば「平日の夜は忙しいから出られない。第2日曜の18時にこちらからかけるね」と、あなたからルールを提案してみてください。
あらかじめ伝えておけば、親からの着信に応答しなくてもよいと割り切れるようになります。
あなたの生活リズムを優先し、ムリのない範囲でやり取りする方法をとっていきましょう。
親のことを考えない時間を増やすことが、しんどさをやわらげます。
親との間に境界線を引く
気持ちがしんどいときは、あなたと親の間に境界線を引くことを意識しましょう。
親が不機嫌になったり勝手に期待して「裏切られた」と嘆いたりしても、それは親自身が処理すべき問題です。
あなたが親の機嫌を取り、ケアしてあげる必要はありません。「親は今イライラしているけれど、わたしのせいではない」と境界線を引いてください。
親とあなたの感情を切り離して捉えると、必要以上に振り回されなくなります。
親の課題に踏み込まないことで、こころの平穏を取り戻せるようになります。

あなたの時間を大切にしてください
親と良好な関係を築くポイント
親と良好な関係を築くポイントには、次の3つがあります。
親と適度な距離感で付き合い続けるために、接し方を工夫しましょう。
主語を「わたし」にして伝える
親に要望を伝えるときは、主語を「わたし」にする「アイメッセージ」を活用しましょう。[5]
「あなた(親)」を主語にすると「お父さんはいつも威圧的だ」「お母さんはうるさい」など文句や悪口のように聞こえてしまい、ケンカになる可能性があります。これでは親も攻撃されたと感じ、反撃してくるかもしれません。
一方「わたしはそういう言い方をされると怖いと感じる」「わたしは放っておいてもらえると助かる」のように、主語を「わたし」にして伝えると、相手を責めずにあなたの気持ちを主張できます。
また、感情と事実を伝えるだけなので、相手も反論しにくくなります。
主語を「わたし」にして伝えることは、感情的な対立を避けながらあなたの意思を伝えるのに役立つ方法です。
親と「親戚」の距離感で接する
親とストレスなく付き合うために「親戚」の距離感で接することを意識しましょう。
親だと思うからこそ「わかってほしい」と期待し、それが叶わないときに傷ついてしまいます。
たとえば、たまに会う親戚や近所の人に嫌味を言われても「まあ、こういう人もいるよね」と聞き流せるでしょう。親に対しても同じように「わたしとは違う価値観を持った人」という視点を持ってみてください。
「親なのに」という期待を捨てて、思い切って割り切ります。少し冷たく感じるかもしれませんが、あなたを守るためには他人行儀くらいが適度な距離感になるのです。

ほどよい距離感があなたのこころを守ってくれます
話すときは感謝と主張をセットにする
親と話す際は感謝の言葉で主張を挟む「サンドウィッチ・フィードバック」が有効です。[6]
サンドウィッチ・フィードバックは親の自尊心を傷つけずにメッセージを届けるのに適しています。
人間は肯定された後であれば、批判的な意見も受け入れやすくなります。
たとえば、実家から大量の荷物が届いて困るときは、下記のように伝えましょう。
- 感謝:「お母さん、野菜送ってくれてありがとう。気遣いは嬉しいよ」
- 主張:「でも、冷蔵庫に入りきらなくて腐らせちゃうから、次からは送る前に聞いてほしいんだ」
- 感謝:「いつもわたしの健康を気にかけてくれてありがとうね」
このように伝えると親も拒絶されたと感じにくく、あなたの要望を受け入れやすくなるのです。
毒親じゃないけどしんどいときに頼りたい相談先
毒親じゃないけどしんどいときに頼りたい相談先には、下記の3つがあります。
- よりそいホットライン
- 民間のカウンセリングルーム
- まもろうよこころの電話・SNS相談
「よりそいホットライン」は24時間通話無料で、相談員がさまざまな悩みに寄り添ってくれます。厚生労働省が運営する「まもろうよこころ」は、電話やSNSで悩み相談ができる場です。
民間のカウンセリングルームには、毒親や親子関係を専門に扱うカウンセラーもいます。有料ですが、じっくりと話を聞いてもらえるメリットがあります。
「親のことを考えると眠れない」「動悸がする」などの身体の不調が出ていたら、迷わず病院を頼ってください。第三者の視点が入ることで、あなただけでは気づかなかった解決法が見つかります。
まとめ
毒親じゃないけどしんどいと感じるのは、親の機嫌を損ねないように顔色をうかがい、あなたの気持ちを抑え込んでいるからです。
精神的に支配されていると感じたら、あなた自身を守るために親と距離を置くことも考えましょう。
親からの連絡を減らしたり感情的な境界線を引いたりすることは、決して悪いことではありません。
親を親戚のような距離感で捉え直し、あなたの人生を優先して生きていきましょう。
苦しいときは公的な相談窓口やカウンセリングを利用して、専門機関を頼ることも検討してください。まずは、親と離れて落ち着ける時間を確保することから始めましょう。
おおかみこころのクリニックでは対面診療に加えて、オンライン診療も実施しています。自宅にいながら受診できるので「忙しいけど相談したい」というときは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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【参考文献】
[1]子どもを健やかに育むために|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/sanokou2.pdf
[2]毒になる親の養育態度と子どもの発達――スクールカウンセラーの経験から――,野口康彦
https://center.edu.ibaraki.ac.jp/doc/kiyou/43_2024/2024-075-085.pdf
[3]毒親とその言動に対する子の捉え方および態度に関する検討,板倉あい,佐藤翔子,田口禎子
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol21/21_03.pdf
[4]From family estrangement to empowered exits: new emotional developments|PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12504279
[5]話を聞くときのポイント|こころもメンテしよう~ご家族・教職員の皆さんへ~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/ftf/ftf_02.html
[6]フィードバック 定義から近年の議論まで,木村武司,錦織宏
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mededjapan/54/3/54_255/_pdf/-char/ja









