「実家に帰るのが憂うつでたまらない」
「母親と話しているとしんどいと感じてしまう」
育ててくれた感謝はあるものの、母親との関係に息苦しさを感じていませんか。
母親と一緒にいて「しんどい」と感じるのは、母親が毒親の可能性があります。
違和感を抱えたままムリして付き合い続けると、心身に不調をきたす恐れがあります。母親への接し方を知り、しんどい気持ちをやわらげることが大切です。
この記事では、毒親の母がしんどいと感じる理由や対処法を解説します。あなたらしい人生を取り戻すために役立てれば幸いです。
毒親の母がしんどい理由
「毒親の母がしんどい」と感じる理由には、次の3つがあります。
思いあたるものがないか、確認しながら見ていきましょう。
いちいち口出しをする
毒親の母がいちいち口出しをしてくると、しんどいと感じるようになります。
母親が細かいことにまで口出しをする過干渉は、子どもの自尊心を傷つけてしまいます。
行動や選択を否定されることで「わたしには決定権がない」と感じるようになるのです。
具体的には、下記のような項目に口出しされる傾向があります。[1]
- 趣味
- 服装
- 髪型
- 生活習慣
- 交友関係
たとえば、大人になっても着る服を細かく指定されたり、友人の悪口を言われて付き合いを制限されたりするケースがあります。
あなたの意思を無視したコントロールが続くと、母親と一緒にいるだけでしんどいと感じるようになるのです。

いろいろ言われるのはしんどいですね💦
母親に依存されている
毒親の母がしんどい理由には、母からの依存が挙げられます。
母親からの依存には、父親の悪口を聞かされたり「あなただけが頼り」と重い感情をぶつけられたりするケースが挙げられます。
母親が精神的に自立しておらず子どもに依存していると、子どもは親をケアする役割をさせられてしまうからです。
また、母親が父親と良好な関係を築けていない家庭では、娘を「理解者」と位置づけ、夫婦関係の埋め合わせをする傾向があります。[2]
親は子どもに精神的な安定を求め続けるため、子どもは「母親を見捨ててはいけない」というプレッシャーから逃れられなくなるのです。
「あなたのため」を理由にしてくる
「あなたのため」という言葉を使うことは、気持ちがしんどい理由のひとつです。
反論すると「せっかくアドバイスしたのに」と被害者のように振る舞われるため、子どもは罪悪感を抱きやすくなります。
親が子どもの気持ちよりも世間体や見栄を優先するのは、毒親の特徴です。[3][4]
「あなたのため」と言いつつ、実際は親の安心や評価のために行動しているのです。
たとえば「よい会社に入らないとあなたが恥をかく」と言いながら、実際は近所の人に自慢したいという親の本音が隠れています。
「あなたのため」と言われると拒否しにくくなりますが、その裏にある親の見栄に気づくことが大切です。
毒親と呼ばれる母親の特徴
毒親である母親の特徴には、下記のものが挙げられます。[1][2]
- 過干渉になる
- 母親の愚痴や不満の聞き役をさせられる
- 子どもを自分の一部や所有物のように扱う
- 子どもの幸せよりも世間体や見栄を優先する
- 「あなたのためにやっている」と恩を着せる
- 言葉や態度で子どもの存在や人格を否定する
- 「お兄ちゃんはできるのに」と兄弟や他人と比較する
- 進学や結婚など重要な決断において子どもに決めさせない
多くの特徴にあてはまるときは、毒親の母がしんどいと感じるでしょう。
また、母親自身も毒親に育てられた過去があると、子どもにも同じことをしてしまう可能性があります。[5]
下記の記事では毒親の特徴を詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
大人になったあなたができる毒親の母親への対処法
毒親の母親への対処法には、次の3つがあります。
母親を変えることは困難ですが、あなたの行動やかかわり方を変えることで関係の悪化を防げます。
連絡する頻度を減らす
まずは、連絡の頻度を意識的に減らしましょう。
連絡する頻度を減らすことは、家族からの自立に有効な手段とされているからです。[6]
物理的な距離を置いたりコミュニケーションを制限したりすることで、あなたを守れます。
具体的には、下記のように行動しましょう。
- 実家に帰省する回数を減らす
- LINEやメールの返信をすぐにしない
- 電話に出る頻度を「3回に1回」と決める
連絡を減らすことに罪悪感を覚えるかもしれませんが、あなたの心身を守るためには必要な対応だと考えてください。
母親の機嫌をとらない
母親が不機嫌になったり泣いたりしても、ムリに機嫌をとろうとするのは控えましょう。
あなたが機嫌をとろうとすると、母親は「不機嫌になれば構ってもらえる」と考え、わがままや要求が激しくなってしまうからです。
母親がわざとらしくため息をついても「どうしたの?」と顔色をうかがわないようにしてください。
「親とわたしは違う」と割り切ることが、あなたのこころを守る方法です。
あたり障りのない話をする
どうしても母親との会話が必要な場面では、プライベートに踏み込ませない「あたり障りのない話」をしましょう。
個人的な悩みや目標を話すと否定されたり、干渉されたりするリスクがあるためです。会話の内容は、下記のような話に限定してください。
- スポーツの話
- 天気や季節の話
- テレビ番組の感想
あなたの生活にかかわる情報を与えないことで、プライベートへの侵入を防げます。
「会話は成立しているがこころは開いていない」という状態を保つのが、身を守るポイントです。
毒親の母がしんどいときに相談できる場所
毒親の母がしんどいと感じるときはひとりで抱え込まず、専門機関や同じ悩みを持つ人たちのコミュニティに相談するのもひとつの方法です。
具体的には、下記のような公的な窓口や自助グループが利用できます。
精神保健福祉センターは、各都道府県や政令指定都市に設置されており、精神保健福祉士や保健師などの専門家が対応してくれます。
よりそいホットラインは、電話やSNSでさまざまな悩みの相談を受け付けている窓口です。生活の悩みからこころの悩みまで幅広く対応しており、通話料無料で利用できます。
アダルト・チルドレン・アノニマスは毒親のもとで育った人々が集まる自助グループです。同じ悩みを持つ仲間と話をすることで孤立感をやわらげ、回復へのヒントを得られます。
まとめ
毒親の母親がしんどいと感じるのは、過干渉や依存によってあなたの自尊心や自由が奪われているからです。
「あなたのため」という言葉に縛られず、適切な手段であなた自身を守ることが大切です。
まずは連絡頻度を減らして物理的な距離をとりましょう。そして、会話が必要なときは事務的な内容にとどめ、プライベートな領域を守ることも有効です。
母親との関係に苦しむことは、あなたが弱いからではありません。まずは「電話に1回出ない」といった小さな行動から始めてみてください。
おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療を実施しております。自宅にいながら受診できるので、リラックスしながら話せます。毒親である母との関係に悩み、気持ちがしんどいと感じたときはお気軽にお問い合わせください。
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【参考文献】
[1]毒親とその言動に対する子の捉え方および態度に関する検討,吉田彩花,橋本創一,板倉あい,佐藤翔子,田口禎子
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol21/21_03.pdf
[2]青年期の母娘関係における距離と精神的自立についての一考察ー精神的健康との関連からー,高橋文子,生島博
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokusimabunriu/94/0/94_39/_pdf/-char/en
[3]親の養育態度が子の社会人生活に及ぼす影響ー仕事に影響する毒親から受けた心の傷ー,金森史枝,蛭田秀一
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/2006675/files/njhpfs_46_1_33.pdf
[4]毒になる親の養育態度と子どもの発達――スクールカウンセラーの経験から――
https://center.edu.ibaraki.ac.jp/doc/kiyou/43_2024/2024-075-085.pdf
[5]「毒親」の正体ー精神科医の診察室からー,水島広子,新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/610756
[6]From family estrangement to empowered exits: new emotional developments|PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12504279
[7]過剰適応をめぐる考察,廣川進
https://cdgakkai.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/gb202005.pdf









