rTMS療法はどんな人が受けられる?受けられないケースや注意点










「rTMS療法はどんな人が受けられるの?」

「どんな人なら効果が出るの?」

そのような疑問や不安を感じることも多いのではないでしょうか。

rTMS療法は、おもに薬が効きにくいうつ病への効果が期待される治療法です。

ただ、すべてのうつ病が対象となるわけではなく、症状や体調によっては適応外となるケースもあります。

この記事では、rTMS療法を受けられる人受けられない人の条件についてわかりやすく解説します。

rTMS療法があなたに合った選択肢かどうかを考えるときの参考にしてください。

rTMS療法はどんな人が受けられるのか

rTMS療法は、すべてのうつ病に適応されるわけではありません。

治療の対象となるのは、抗うつ薬を十分な量や期間使っても効果が得られなかった18歳以上の方です。[1]

副作用が強く出て抗うつ薬を十分に使えない方も、rTMS療法は治療の選択肢となります。

ただ、本人の希望で抗うつ薬を使わなかった場合は対象になりません。

rTMS療法は、うつ病に薬が効きにくいときや副作用で続けられないときの選択肢となります。

受けられるかどうかは医師の診察で確認できますので、不安なときは一度ご相談ください。

おおかみこころのクリニック

rTMS療法が適していないのはどんな人か

rTMS療法が適していない人を以下のように分けて紹介します。

ひとつずつ見ていきましょう。

安全上の理由でrTMS療法を受けられない人|絶対禁忌

身体に特定の医療機器や金属がある方は、安全上の理由からrTMS療法を受けられません。

rTMS療法は磁気を用いて脳を刺激するため、刺激部位に近い場所に医療機器や金属があると、誤作動や健康被害が生じるリスクがあるためです。

このため、以下に該当する機器を使用している方はrTMS療法を実施できない(絶対禁忌)とされます。[1]

  • 人工内耳
  • 心臓ペースメーカー
  • 磁性体クリップ(過去の手術で体内に留置されたクリップ)
  • 深部脳や神経に電気刺激を与えるために体内に埋め込まれた刺激装置

これらに該当するとrTMS療法の絶対禁忌にあたるため、別の治療法が検討されます。

医学的にrTMS療法が適応外と判断される人

rTMS療法は、うつ病の症状が軽いときやうつ病以外の症状が中心のときなどは、医学的に適応外と判断されます。

例として挙げられるのは、以下に該当するケースです。[1]

  • 認知症
  • 18歳未満の若年者
  • 強い自殺願望を持つ人
  • 成人の人格・行動の障害
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動性障害(ADHD)
  • 身体の病気や薬の影響でうつ症状が出ている人
  • 薬物や特定の医薬品の影響によって感情の不安定さが残っている人
  • 現在のうつ病の症状に対してrTMS療法を1クール受けて効果がない人
  • 身体が動かない・意識がはっきりしないなどの重い症状(緊張病症状)がある人
  • 薬をきちんと服用できない状況が続いている人(副作用で薬が使えないケースを除く)

rTMS療法はすべてのうつ病や精神疾患に適応されるわけではありません。

診断や症状に応じて他の治療法が適切と判断されることがあります。

あなたの症状がrTMS療法に適しているかどうかは、診察で主治医に確認しましょう。

こころちゃん
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rTMS療法を受ける前に相談が必要な人|相対禁忌

rTMS療法は身体への負担が少ない治療法ですが、以下にあてはまる人は医師と相談が必要です。[1]

  • 妊娠中の人
  • 重篤な身体疾患を合併している人
  • アルコールや覚せい剤の乱用・離脱期にあたる人
  • 頭蓋内のチタン製品、磁力で装着する義歯・インプラントがある人
  • 刺激部位に近接しない金属(例:体内埋設型の投薬ポンプ)がある人
  • てんかん・けいれん発作の既往や発作リスクのある頭蓋内病変がある人
  • 発作リスクを高める薬を服用している人(例:メチルフェニデート、ケタミン)

このような条件に当てはまるときは、安全に治療を受けるために必ず医師に伝えましょう。

rTMS療法を受ける前に知っておきたいこと

rTMS療法を受ける前に知っておきたい基本的な情報として、以下を解説します。

ひとつずつ見ていきましょう。

通院頻度

rTMS療法は通常、週5回の治療を4〜6週間にわたって行います。

入院治療が必要と思われがちですが、通院(外来)によるrTMS治療も可能です。

おおかみこころのクリニックでは、iTBS(間欠シータバースト刺激)という方式を採用しています。

1回の治療時間はわずか3~6分程度と短く、通いやすさも特徴のひとつです。

iTBSについて知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。

また、rTMS治療の前には必ず診察が行われるため、その時間も含めて治療計画を立てておくと安心です。

仕事との両立や通院の負担を考慮し、ムリのない通院方法を医師と相談しましょう。

副作用や安全性

rTMS療法は身体への負担が少なく、副作用も軽度な安全性の高い治療法です。

一時的に軽い頭痛や刺激部位の違和感が出ることがありますが、市販の痛み止めで対応できる程度のものとされています。

治療中は医師が経過をしっかり確認しながら進めるため、あなたのペースで安全に治療を進めることが可能です。

費用や保険適用

rTMS療法はうつ病に対する保険適用が認められた治療法です。

条件を満たせば保険が適用され、自己負担を抑えて治療を受けられます。

条件に当てはまらない場合は自費診療となるため、医療機関ごとに費用が異なる点に注意が必要です。

まとめ|rTMSがどんな人に合うかを知って安心の治療選びを

rTMS療法は、抗うつ薬が効きにくい中等症以上のうつ病に対して効果が期待される治療法です。

薬が効かずほかの治療法を試したいときや、薬の副作用がつらいときにひとつの選択肢となります。

一方で、安全上の理由から受けられないケースや、医学的にrTMS療法が適していないと判断されるケースもあります。

rTMS療法があなたに合った治療法かどうか悩んでいるときは、おおかみこころのクリニックにご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考資料】
[1]日本精神神経学会 反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/Guidelines_for_appropriate_use_of_rTMS_202404ver2.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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