認知行動療法とは、ストレスが発生した出来事に対して「認知」と「行動」の面から解決をする心理療法です。英語ではCognitive Behavioral Therapyと訳されるので、通称CBTとも言われています。
〜すべき思考や白黒思考など認知(物事を捉えること)が偏ってしまうと、余計にストレスを感じてしまいます。
ストレスを軽減して感情を落ち着かせるために、認知行動療法は必要です。
この記事では、認知行動療法の主なやり方、簡単に自分でできる方法について解説していきます。
認知行動療法のやり方
認知行動療法では、医師やカウンセラーと1回30分以上の面談を16〜20回実施しますが、状態によっては回数の変更も可能です。期間は約3か月間です。
認知行動療法のやり方は以下の通りです。
- どんな問題からストレスがたまるのかを整理する
- 問題が対人関係、仕事・学業、健康など、どれに当てはまるか分類する
- 問題がどんな状況で起きて、結果的にどんな感情を引き起こしたのかを調べる
- 問題が発生した時の考え方が感情や行動にどんな影響を与えたのか調べる
- 考え方のクセを発見し、現実とのずれに注目しながら現実に沿ったしなやかで柔らかい考え方を身につける練習をする
最終的な目標は問題解決の方法や人間関係を改善できるようになることです。
参考:うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料)
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認知行動療法の種類
認知行動療法には様々な種類がありますが、今回は認知行動療法の源とされる行動療法と認知療法の中から紹介していきます。
行動療法は「行動」、認知療法は「認知の歪み」に焦点を当てた精神療法です。
曝露療法
曝露療法とは、不安の原因となる刺激に徐々に触れて不安を消していく方法です。パニック障害・PTSDなどの不安対象が明らかな病気に効果的と言われています。
患者が不安や恐怖を感じる状況・場面を挙げ、SUDSを1〜100点までつけて不安階層表を作ります。SUDSは「自覚的障害単位尺度」と呼ばれ、不安や恐怖を点数化したものです。作成後は比較的点数の高いものから、想像したり実際に出向いたりしていきます。
リラクセーション法
リラクセーション法とは、心身の緊張をやわらげるために、呼吸を整えてリラックスした状態にする方法です。
人間は不安や恐怖を感じ続けると、交感神経系が優位になります。その結果、血圧の上昇・心拍数の増加などストレスに負けないように体の状態を整えます。
この状態が続くと心身が疲れてしまうので、リラクセーション法をおこなって心身をやわらげて副交感神経系を優位にすることが大切です。
ベックの認知療法
アーロン・ベックは認知療法を提唱した人物です。元々はうつ病に対する療法として開発され、現在ではうつ病以外にも不安障害・パーソナリティ障害・統合失調症にも効果的とされています。
ベックの認知療法では認知する過程を「スキーマ」・「推論の誤り」・「自動思考」の3つのレベルに分類するのが特徴です。
スキーマは安定した捉え方ですが、出来事を白か黒で判断してしまう推論の誤りを経てしまうと、「自分はだめな人間だ」と自動思考が形成されやすくなってしまいます。
認知の歪みに焦点を当てて、不適切な認知を修正して症状を改善していきます。
認知行動療法に向いてる人・向かない人
認知行動療法に向いてるのは自分を助けようとする意欲がある人です。知的好奇心旺盛でチャレンジ精神があるとモチベーションが上がって、効果もより期待できます。さらに紙に書くことが好きな人も、ワークシートを使うコラム法に向いているでしょう。
一方で認知行動療法に向かないのは、知識だけが先行してしまって実際に体験しようとしない人です。治療を通して身につけたことは、日常生活の中で試すのが大切です。また受け身の状態でいる人も、認知行動療法の効果を引き出しにくいでしょう。
認知行動療法は自分でできる?
認知行動療法の中にはコラム法(思考記録法)という自分でできるものもあります。
コラム法とは、嫌だと思った出来事・感情・適切な思考などを紙に書いて、気持ちを落ち着かせる方法です。ネットで「コラム法」と検索するとワークシートをダウンロードできるサイトがあるので、活用してみるといいでしょう。
また、アプリ「Awarefy」では認知行動療法の実践型のプログラムが11種類あります。約15分のセッションに取り組めば、悩みに応じたスキルが身につくようになっています。
認知行動療法の効果
認知行動療法の効果には以下のことが期待されています。
- 思考が偏らなくなる
- ネガティブな感情が落ち着いてくる
- 病気が再発しにくくなる
思考が偏らなくなることで物事を冷静に見れるようになります。その結果、ネガティブな感情が落ち着いて前向きに行動できるでしょう。
認知行動療法では約3か月かけて心身のバランスを整えていき、治療をしながら自分の心と向き合っていきます。さらに薬物療法に比べて副作用がほとんどないので、再発する可能性は低いと考えられています。
まとめ
今回は認知行動療法の主なやり方、簡単に自分でできる方法について解説してきました。
ストレスを軽減していく心理療法なので、うつ病だけでなく不安対象が明らかな病気に効果が期待できます。
認知行動療法には種類がいくつかありますが、自分でできる簡単なものもあるので気になった方は試してみてください。
症状が重い場合は、一人で抱え込まずに医療機関に頼ることも忘れないでください。認知行動療法をおこなっている専門クリニックに相談をしてみましょう。
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参考サイト
- この記事の編集者
- カルロス山本
診療放射線技師として臨床経験11年。医療に特化したWebライターとして、5施設のメディアで執筆・編集を担当。