群発頭痛の原因はストレス?慢性頭痛の特徴や二次性頭痛の危険性についても解説







ふだんから慢性的な頭痛に悩まされている方は多いのではないでしょうか。

一般的な頭痛であれば、市販の鎮痛剤を服用することで痛みはやわらぎ、時間の経過とともに治まっていきます。

しかし、頭痛の種類によっては薬では痛みがおさまらず、今までに経験したことがないほどの激痛になることもあるのです。

この記事では、群発頭痛という1,000人に1人発症するとされている頭痛について解説します。

群発頭痛は脳自体に異常があるわけではなく、命の心配をする必要はありません。

ただ、いざ痛みを経験すると「本当に大丈夫なのかな……」と、身体的にも精神的にも負担の大きな頭痛です。

記事の中では群発頭痛を誘発する行動や慢性頭痛との違いなどについて解説しているので、最後まで読んで参考にしてみてください。

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群発頭痛とは【世界三大激痛】

群発頭痛とは【世界三大激痛】

群発頭痛とは、世界三大激痛のうちの一つであり、激しい痛みが群発的(群発期)におこる病気のことです。

群発頭痛は国際頭痛分類第3版(ICHD-3)において三叉神経・自律神経頭痛(TACs)の一つに分類されています。

頭の左右どちらか側の眼窩の奥から側頭部にかけて、のたうち回るほどの痛み突然あらわれるのが特徴です。

「目の奥をえぐられる感じ」「火のついた箸で目を刺される感じ」

実際に群発頭痛を持っている方は、このように痛みを表現しています。

片頭痛と群発頭痛

片頭痛は女性に多いといわれていますが、群発頭痛は男性に多い疾患です。

群発頭痛の発症率は1,000人に1人の割合とされており、男性は20~40代、女性は10~30代および50代が発症のピークとされています。

そもそも頭痛は、一次性頭痛二次性頭痛に分類されています。

一次性頭痛とは、脳自体に異常がなく命に問題がない頭痛のことです。

群発頭痛も一次性頭痛に分けられ、他には片頭痛や緊張型頭痛があり、国内に4,000万人の患者がいるとされています。

痛みは徐々に治まり、数ヶ月から数年は痛みが起きない(寛解期)状態が続き、ある日突然の発作に襲われます。

この頭痛を初めて経験する方は鎮痛剤で痛みを抑えようとしますが、群発頭痛には効果がありません。

痛みを和らげるためには、医療機関での治療が必要になるのです。

群発頭痛の原因【ストレス以外の4つの要因】

群発頭痛の原因【ストレス以外の4つの要因】

現在、群発頭痛の発作がおこる根本的な原因は明確にされていません。

そのため、疲れやストレスから発作がおきると考えられることが多いものの、違う視点から考える必要性があるとされています。

発作のきっかけとなる原因はさまざまであるものの、根本的な原因が見つかっていないため、群発頭痛と診断が付くまでかなりの時間がかかっているのが現状です。

現在、群発頭痛がおこる原因として以下の4つが有力とされています。

1. 視床下部の変化

人間の体内は体温や血圧、ホルモン分泌などによって、25時間の周期を「24時間にリセットする」リズムができています。

このリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれ、群発頭痛はこの中枢にある視床下部に変化が起こっていると考えられています。

また、群発頭痛が発症しているときに視床下部が活性化していることはPETを活用した研究でも明らかになっています。

2. ニューロペプチドの変化

神経系物質として中枢神経に広く分泌している神経ペプチドが増加することで、三叉神経を活性化させ痛みを生じさせる説があります。

神経ペプチドには、副交感神経に存在するVIP(血管作動性腸管ペプチド)やCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の変化が挙げられています。

3. 内頚動脈の拡張

頭蓋底部のちょうど中心に位置する海面静脈洞の浮腫により、心臓から脳へ流れてきた内頚動脈の拡張がおこります。

これにより、三叉神経や周辺組織に変化が生じ、群発頭痛をおこすとも考えられています。

4. 三叉神経の興奮/副交感神経の活性化

顔や頭への感覚を末梢神経を通して脳に伝える三叉神経に興奮がおこり痛みが出る説です。

三叉神経の興奮が頭蓋内の血管や涙腺、鼻粘膜にいたる副交感神経を刺激し、一連の自律神経障害をおこすのが原因になります。

このように、いくつかの説が群発頭痛の原因として考えられています。

日常生活の疲労やストレス、行動パターンや嗜好品などは発症の原因ではなく、あくまでもきっかけに過ぎないと言えるでしょう。

日常生活における群発頭痛のきっかけとなる原因

日常生活における群発頭痛のきっかけとなる原因

ここでは、日常生活から群発頭痛を誘発させる原因を解説しています。

アルコール摂取

アルコールは血管を拡張させる作用があり、血管拡張が痛みを誘発させると考えられているからです。

明らかに症状が出ている期間では、禁酒をおすすめします。

定期的な服薬

ふだんから、ヒスタミンやニトログリセリンを服用している方は注意が必要です。

ヒスタミンはくしゃみや鼻水、かゆみなどの症状を抑える効果があります。

また、ニトログリセリンは狭心症の方などが服薬することで血管拡張を促す薬です。

これらの薬剤は、群発頭痛を誘発させる可能性があるため、服薬の是非に関してかかりつけ医に相談してください。

不規則な生活

就寝時間が不規則であったり、寝不足で休みの日に寝だめをするといった行為は、群発頭痛を引き起こすおそれがあります。

それらの行動は、自律神経のバランスを崩すきっかけになるからです。

規則正しい生活は自律神経を整えることになり、群発頭痛の予防にもつながるでしょう。

精神的ストレス

精神的なストレスは三叉神経を活性化させ、炎症物質を放出します。

その結果、脳内の血管が拡張され、痛みを誘発してしまうのです。

ストレスと頭痛には密接な関係があり、恐怖や不安を抱える状態がうつ病やパニック障害、不安障害などの病気を併発させてしまう可能性があります。

気圧の変化

天候状態により気圧が下がり、自律神経の乱れから群発頭痛がおこる可能性があります。

気圧の変化が三叉神経を活性化させたり、血管を拡張させて痛みの原因となるのです。

慢性頭痛と群発頭痛の違い

慢性頭痛と群発頭痛の違い

激しい頭痛がおきたときに、すぐに群発頭痛と判断するのは難しいでしょう。

しかし、慢性頭痛といわれる「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の症状や特徴を知ることで、ご自身でも見分けやすくなることもあります。

片頭痛

片頭痛の症状は、ズキズキと脈を打つような拍動性の痛みが頭の左右どちらか、または両側で起こる頭痛のことです。

光や音、臭いなどに敏感になるともいわれ、症状がひどいときには吐き気を伴うこともあります。

日本人の約8%が片頭痛をもっており、男性より女性のほうが3~4倍多く発症しているのが特徴です。

緊張型頭痛

緊張型頭痛の症状は、非拍動性による圧迫感や締めつけられるような鈍痛を頭全体で感じる頭痛です。

頭痛の罹患率が40%といわれる中で、緊張型頭痛は約22%と半分を締めています。

痛みのせいで寝込んだり動けなくなったりすることはなく、日常生活に大きな支障がでないのが特徴です。

群発頭痛

何らかの原因から脳内の血管が拡張し、頭の左右どちら側の目の奥から前頭部や側頭部にかけて激痛が走ります。

一度群発頭痛がおこると、数ヶ月から数年ごとに発作があり、1日に数回1~3時間の発作が続くのが特徴です(群発期)。

三叉神経の異常により、痛みが起きている側の目には充血や流涙、鼻水、発汗、眼瞼が重くなるような症状が現れます。

ひどい発作が起こった場合、頭を叩いたり壁に打ち付けたりするほどの痛みです。

群発頭痛と二次性頭痛の危険性

群発頭痛と二次性頭痛の危険性

群発頭痛は脳に異常があるわけではないため、これが原因で命を奪われるということはありません。

しかし、二次性頭痛は何かしらの原因が背後に隠れている頭痛であり、最悪の場合は死に至ることもあります。

群発頭痛のように、いつもの頭痛と違う痛みと感じたときは早めに医療機関へ受診するのをおすすめします。

ここでは、二次性頭痛の代表的な疾患を紹介します。

クモ膜下出血

クモ膜下出血は、脳血管障害(脳卒中)といわれる病気の1つです。

脳内の血管の一部分、とくに二股に分かれる部分に動脈瘤ができ、それが大きくなり破裂することでクモ膜下出血が起こります。

脳の血管はクモ膜という透明の薄い膜の下に流れていて、破裂した血管が脳とクモ膜の間に広がってしまう状態を指します。

脳血管障害を罹患している約10万人に対して、約10%の割合を占め、その内の約50%の方が死亡している病気です。

脳出血

脳出血は何かしらが原因となり、脳の細い血管が破れてしまい脳内に出血した状態のことです。

出血した血液が時間の経過とともに血腫となり、脳細胞を圧迫することで、吐き気や麻痺などの障害を起こす可能性があります。

脳血管が破れた際の血量や部位により、症状や後遺症となる脳障害が異なります。

原因は高血圧あるいは動脈硬化が約80%を占めてるものの、現在は治療薬や生活環境の変化により死亡率は低下傾向です。

脳腫瘍

脳腫瘍とは、脳内の血管から脳を覆っているクモ膜や硬膜、脳自体の大脳や小脳、ホルモンを分泌する下垂体や脳神経など、さまざまな部分に発生する「できもの」の総称です。

脳腫瘍は毎年1万人に1人の割合で発症していて、原発性腫瘍と転移性腫瘍の2つに分けられています。

原発性腫瘍の発生頻度としては、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫などが高く、これらで約80%を占める四大腫瘍といえるでしょう。

髄膜炎

髄膜炎とは、脳全体を覆っている髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)があり、その間にある脳脊髄液に細菌やウイルスが入り込んでしまい、髄膜や髄液が炎症を起こす状態のことです。

初期症状は、頭痛や発熱、嘔吐といった一般的な風邪と似ているため、髄膜炎と判断するのが難しいとされています。

そのため、髄膜炎を患いながらも1~2日治療を行わなかった場合、致死率が50%と高く非常に危険な病気です。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫とは、脳部外傷により脳を覆う髄膜の1つ硬膜とクモ膜の間に、少しずつ血液が溜まり血種ができる状態のことです。

溜まった血腫が徐々に大きくなると、脳が圧迫されることで頭痛や吐き気、しびれ、歩行障害、認知機能障害などが生じます。

高齢者に多く見られる病気で、男女の割合は7:3とされ、発症も10万人あたり年間1~2人程度の発症率が低いのが特徴です。

群発頭痛の診断

群発頭痛では数ヶ月~数年かけて群発期が発症するため、診断までにおよそ10年かかるといわれています。

診断基準は国際頭痛学会の「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」になり、診断をつけるのが難しいため、早めに頭痛専門医に相談しましょう。

頭痛専門医については、日本頭痛学会のサイトから認定頭痛専門医がいる医療機関を調べられるので、参考にしてみてください。

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群発頭痛の治療法と対処法

発作がおこっているときには、脳血管を収縮させる効果のあるスマホトリプタン皮下注射3㎎(1日6㎎)、スマトリプタン点鼻薬20㎎/dose、ゾルミトリプタン5~10㎎の経口投与が用いられます。(日本は保険適用外)

その他にも、純酸素吸入15分の治療にも効果があり(フェイスマスク7L/分)、皮下注射は医療機関から指導を受けることで自宅でも行えます。

群発頭痛はある程度決まった時間帯で痛みが生じると考えられており、あらかじめ痛みをやわらげるための対策が取れるのです。

発作の痛みをやわらげるためには、ステロイド薬、カルシウム拮抗薬(ベラパルミ)、バルプロ酸ナトリウム、アミトリプチリン併用薬などが効果的でしょう。

医師の判断や患者の症状、発作状態によって予防薬は異なるものの、毎日起こる症状なので痛みがピークになる前に予防するのが重要です。

まとめ

現在、群発頭痛の原因ははっきりわかっていません。

日常生活の行動による精神的ストレスや疲労などは直接の原因ではないものの、群発頭痛を誘発するような不規則な生活は控えましょう。

一度、群発頭痛を発症すると、1~2ヶ月ほど毎日痛みが続くため不安な気持ちになるでしょう。

ただし、群発頭痛が原因で死に至ることはないため、適切に対処することが大切です。

一方、注意すべきなのは、二次性頭痛と群発頭痛を間違えてしまうことです。

普段の痛みと明らかに違うと感じたら、早めにかかりつけ医に相談してください。

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執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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