エスゾピクロン:ルネスタ【マイスリーやアモバンとの効果の違いも】

今回の記事では、非ベンゾジアゼピン系で超短時間作用型の「ルネスタ(エスゾピクロン)」について、特徴や副作用、依存性をわかりやすく解説します。

ルネスタや睡眠薬に関する不安をお持ちの方は、最後まで読んで参考にしてください。

ルネスタ(エスゾピクロン)とは【アモバンやマイスリーとの違いも】

ルネスタ1

ルネスタ(エスゾピクロン)は非ベンゾジアゼピン系の不眠症治療薬として知られています。

半減期は、5〜6時間で「超短時間作用型」に分類されており、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のマイスリーやアモバンと同じ分類です。

作用時間が超短時間型のものは、一般的には寝つきが悪い「入眠障害」に使用されています。

ルネスタは非ベンゾジアゼピン系の不眠症治療薬

ルネスタは非ベンゾジアゼピン系の不眠症治療薬で、マイスリーやアモバンと同じです。

非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系(ハルシオン・レンドルミン・サイレース・ベンザリン・ドラールなど)では薬の効果には差はないものの、非ベンゾジアゼピン系の方が副作用が少ないといわれています。

2つの比較を表にまとめました。

非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン系
長期投与の効果の持続(耐性不形成)ありなし
高齢者の原発性不眠症に対して推奨する推奨しない
非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系の違い(睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成)

非ベンゾジアゼピン系は長期に使用しても効果が弱くなりにくく、高齢者の不眠症の方にも推奨されている薬剤です。

実際にルネスタを6ヶ月、12ヶ月と服用し続けても、眠りにつくまでの時間はほとんど変わらないと報告されています。

ルネスタ・マイスリー・アモバン超短時間作用型の効果の違いは

非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、ルネスタの他にマイスリー、アモバンがあります。

3つの薬はいずれも超短時間作用型に分類されており、各薬剤の概要は以下表の通りです。

商品名ルネスタアモバンマイスリー
一般名エスゾピクロンゾピクロンゾルピデム
作用時間超短時間作用型
半減期(hr)5~642
用量(mg)1~37.5~105~10
効能・効果不眠症不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)不眠症麻酔前投薬
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成

超短時間作用型に分類されるルネスタの半減期は5〜6時間であり、マイスリーの2時間と比べると2〜3倍の差があります。

この2つの薬の効果にどんな違いがあるのか、深掘りして解説します。

ルネスタとマイスリーの効果比較

ルネスタとマイスリーを比較する研究は、日本と海外で行われており、日本での結果を以下の表にまとめました。

薬剤用量例数眠りにつくまでの時間(分)
プラセボ(偽薬)7122.8
ルネスタ1mg7017.9
2mg6911.3
3mg6810.4
マイスリー10mg707.0
ルネスタ審査報告書より作成

※眠りにつくまでの時間は、PSG(睡眠ポリグラフ検査)を用いた客観的睡眠潜時の中央値

服用してから眠りにつくまでの時間は、マイスリーが7.0分であり、ルネスタよりも短い傾向です。

また、ルネスタ1mgの眠りにつくまでの時間はプラセボと変わらず、2mg/3mgはプラセボよりも短い結果でした。

つまり、入眠障害に対しては、ルネスタよりもマイスリー10mgの効き目が強い可能性が示唆されています。

ルネスタとアモバンの違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

気になるかたは、参考にしてみてください。

ルネスタの用量別の効果の違いは

ルネスタ錠には、1mg錠・2mg錠・3mg錠と3つの規格があり、用量・用量は以下の通りです。

通常、成人にはエスゾピクロンとして1回2mgを、高齢者には1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えないこととする。

先述のルネスタとマイスリーの比較でも紹介した通り、ルネスタは用量が増えるほど眠りにつくまでの時間が短くなる傾向が認められており、海外の研究でも同じ傾向です。

また、総睡眠時間の結果は、以下表の通りで、ルネスタはプラセボよりも改善が認められています。

薬剤用量例数総睡眠時間(分)
プラセボ71414.0
ルネスタ1mg70438.3
2mg69452.5
3mg68453.4
マイスリー10mg70448.6
ルネスタ審査報告書より作成

※総睡眠時間は、PSGを用いた客観的評価の中央値

ルネスタのジェネリック(後発品)の薬価

ルネスタの後発品の薬価は以下の通りです。

先発品錠 1mg / 2mg / 3mg(36.2円 / 58.3円 / 71.1円)
後発品・錠1mg(10.6〜11.3円)
・錠2mg(17.0〜18.2円)
・錠3mg(20.6〜23.0円)

※ここで紹介する薬剤名および薬価は一例です。同じ有効成分の後発薬でも、メーカーによって価格は異なります。

ルネスタの注意すべき副作用【苦味や精神症状・依存性は】

ルネスタ3

ルネスタの副作用について、以下2点を紹介します。

  • 口の中の苦味
  • ルネスタの精神症状・依存性

口の中の苦味【アモバンとの違いは】

ルネスタの1%以上の副作用は以下の通りです。

味覚以上( 3%以上 )傾眠( 3%以上 )口渇( 1〜3%未満 )頭痛、浮動性めまい( 1〜3%未満 )

ルネスタ発売後の4,000例を超える調査においても、味覚以上は3.5%で認められており、アモバンの改良版であるルネスタにも苦味の副作用があることは注意が必要です。

ルネスタの精神症状や依存性

ルネスタの重大な副作用は、以下の通りです。

ショック、アナフィラキシー(頻度不明)依存性(頻度不明)呼吸抑制(頻度不明)肝機能障害AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害(1%未満)黄疸(頻度不明)精神症状、意識障害悪夢(異常な夢)、意識レベルの低下(各0.3%)、興奮(激越)、錯乱(錯乱状態)、幻覚、攻撃性、せん妄、異常行動(いずれも頻度不明)一過性前向性健忘、もうろう状態、睡眠時随伴症状(夢遊症状)(いずれも頻度不明)

ルネスタの発売後の4,000例を超える調査においては、以下の通り報告されています。

  • 退薬症候関連:0.1%( 1 / 757例 )
  • 乱用:0.02%( 1 / 4,298例 )アルコールと併用であり、社会的問題となる乱用ではない
  • 依存性:明らかな精神依存や身体依存は示唆されていない

ルネスタの重大な副作用に、精神症状や依存性は報告されており、服用や減量、休薬などについては、主治医の指導を守り服用しましょう。

しかし、薬の副作用や精神症状などが辛くて、悩んでいる方はお気軽に当院にご相談ください。あなたと共にあなたに合った薬を探していくお手伝いをさせてください。土日診療もあり、下記のLINEから24時間いつでも予約を受け付けております。

ルネスタの実際の使い方

ルネスタ4

開始用量

ルネスタは成人の方は2mg、高齢の方は1mgから効果と安全性を確認しながら用量を調整します。

服用後10〜20分程度で眠りにつく可能性があるため、寝る準備ができたタイミングで服用するとよいでしょう。

効果がいまいちのとき

ルネスタを服用したが、効果がいまいちな時には、ルネスタの用量を増やしたり、他の薬剤に変更したりすることがあります。

効果がいまいちと言っても「なかなか眠りにつけない」「途中で目がさめる」「早朝に目が覚める」などによって、ルネスタを増量するか、治療薬を変更するか、どの治療薬に変更するかが変わってきます。

どんな症状で困っているかを医師に伝えられるようにしておきましょう。

減量のしかた

具体的には、以下のようなスケジュールで減量することが、「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」に記載されています。

症状が治っている状態で、服用量の4分の1量を減らす1〜2週間様子をみる薬を減らして不快な症状がなければ、さらに4分の1量を減らす

ルネスタの減量や休薬は自己判断すると、より不眠症が悪化する可能性もあるため、必ず医師に相談しましょう。おおかみこころのクリニックは、あなたに合った薬を一緒に探していくお手伝いをさせていただきます。お気軽にお越しください。

この記事の執筆者
牧野泰尚
薬剤師ライターとして記事執筆・編集・監修に従事。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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