発達障害の高校生が不登校になったら?親がすべき対応や考え方を紹介

「発達障害のこどもが不登校になった」

「単位や出席日数が気になる」

「こどもが進級や卒業できるか不安」

発達障害のお子さんが不登校になり、悩んでいませんか?高校は義務教育ではないため、留年や退学を避けるために、どうにかしたいと考えている方もいるでしょう。しかし、発達障害のこどもが不登校になった原因対応を知らないと、適切なサポートはできません。

この記事では、発達障害のこどもが不登校になる原因や対応、不登校中の過ごし方進路や将来について解説します。親としてどう対応すべきかヒントを得るために、ぜひご覧ください。

発達障害の方との接し方については、下記の記事も合せてご覧ください。

発達障害の高校生が不登校になる原因

発達障害のこどもは、勉強や集団行動、人間関係などの難しさから不登校になることがあります。[1]「勉強が理解できない」「教師や友人とのコミュニケーションがうまくいかない」といった失敗体験が、不登校を招くのです。

また、大勢の人がいる場所への不安家庭内のトラブルから学校に行けなくなることも。[2]いくつかの原因が重なって、不登校になるケースも存在します。[3]

大人が介入して原因を解決したとしても、必ず学校に行けるわけではありません。思春期を迎えたこどもの場合、周囲の特別な支援が自尊心を傷つけたり、友人との距離を生んだりすることもあるのです。[1]

良かれと思って行った支援でお子さんを追い込まないように、対応は慎重に行う必要があります。

こころちゃん
こころちゃん

お子さんのことで両親が悩み、ストレスを抱えないためにも、両親のストレス発散もしましょう。

発達障害のこどもが不登校になった時の5つの対応

発達障害のあるこどもが不登校になった時は、以下のような対応が必要です。

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

学校に行くことを目標にしない

お子さんが不登校になった場合、学校に行くことを目標にしてはいけません。学校に行けない状況が続くと、親も子もストレスを感じてしまいます。

また、学校に行くように促すことで「不登校は悪いこと」「不登校の自分はダメな人」と感じるお子さんもいます。高校生の場合、親の指示に反発する可能性も。

学校に行くかどうか決めるのは、親ではなくお子さんです。不登校はお子さんの課題と認識し、目に見える結果を求めないように注意しましょう。

休んでも大丈夫と伝える

不登校になったお子さんには「休んでも大丈夫だよ」と伝えましょう。親による肯定的なメッセージが、心の安定につながるからです。

とくに不登校になったばかりのこどもは、心身ともに疲れて消耗しています。気力も体力もない状態で、無理やり登校するのは得策とは言えません。

「このまま外に出られなくなるのではないか」といった不安を押し付けるのではなく、お子さんに寄り添った対応を心がけましょう。

こころちゃん
こころちゃん

不安になることも多いですが、ドンッと受け止めてあげましょう

本人が困っていることを洗い出す

お子さんが落ち着いて過ごせるようになったら、学校生活での困りごとを聞きましょう。周囲に協力を求める上で、必要な情報を得るために行います。

どんな時に辛いと感じるのか、困っていることはなにかを聞くことは、お子さんが気持ちを吐き出す助けにもなります。本人に負担がかからない範囲で、無理なく対話をくり返しましょう。

学校と連携して支援体制を整える

お子さんが高校への復帰を希望する場合は、学校と連携して支援体制を整えましょう。どの程度サポートしてもらえるかを明確にしておくと、学校に復帰後の生活を具体的にイメージできます。

また、最低限登校しなければならない日数や別室登校の可否を話し合っておくと、お子さんが安心できるでしょう。「学級担任」や「教科担任」「スクールカウンセラー」「特別支援教育コーディネーター」など、さまざまな人と連携し、お子さんが戻りやすい環境を整えていきます。

公的機関や専門家に相談する

こどもの不登校について、公的機関や専門家に相談するのも手です。学校関係者とは違う立場から、よりフラットなアドバイスをもらえる可能性があります。

高校生の不登校の相談先は、以下のとおりです。[4]

児童相談所・児童相談センター・児童家庭支援センター
18歳未満のこどもとその家族が対象。子育ての悩みや発達障害など、こどもに関するあらゆる相談ができる

教育センター
高校生相当の年齢までのこどもとその家族、学校関係者が対象。不登校やいじめ、発達障害など、教育場面での悩みを中心に相談できる

発達障害者支援センター
発達障害に関する相談ができる。必要に応じて関係機関と連携した支援が受けられる

体調不良を伴う場合は、メンタルクリニックやカウンセラーへの相談も検討します。不登校の悩みは親子で抱え込まず、さまざまな専門機関に相談しましょう。

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発達障害で不登校の高校生におすすめの過ごし方

発達障害で不登校の高校生には、以下の過ごし方を提案します。

こころちゃん
こころちゃん

順を追って、見ていきましょう

自分にあった方法で勉強する

学校への復帰や進学を考える場合は、自分にあった方法で勉強する必要があります。「家庭教師」「学習塾」「予備校」「勉強アプリ」などを活用すると、お子さんの特性に合った学習ができるでしょう。

また、学校のように決められた時間割がないと集中できない場合は、フリースクールを利用するのも手です。学校以外でも勉強は続けられるため、お子さんの特性や学力を踏まえ、適切な方法で学び続けましょう。

好きなことに没頭する

不登校のこどもにとって、好きなことに没頭する時間はとても大切です。学校が行けないことによるストレスをやわらげ、充実感が得られます。また趣味がきっかけで友達ができる可能性も。

「読書」や「音楽」「スポーツ」「映画」など、お子さんが楽しめるものならなんでも構いません。好きなことに没頭し、楽しいと思える時間を増やしていきましょう。

こころちゃん
こころちゃん

楽しい時間が増えると、他のことへのモチベーションもあがります

生活リズムをととのえる

不登校中は、生活リズムを整えることも必要です。昼夜逆転により生活リズムが崩れると、体調不良になる可能性があります。また、学校への復帰や進学を考えている場合、生活リズムを元に戻すのに苦労するかもしれません。

一日のスケジュールをルーティン化したり、外での活動時間を増やしたりすることで、生活リズムが整いやすくなります。お子さんの様子を見ながら、ぜひお試しください。

サードプレイスの利用を検討する

サードプレイスとは、家や学校以外の居場所のこと。つまり、こどもが安心して過ごせる空間を意味します。[5]不登校のこどもがサードプレイスを利用すると、生活習慣や学習習慣が整い、他者とコミュニケーションをとる機会が得られます。[5]

サードプレイスの具体例として、フリースクールや習いごと、アルバイト、ボランティアなどが挙げられます。お子さんが興味を持てるものがあれば、体調に合わせて利用を勧めてみましょう。

疲れたときは休息を優先する

疲れている様子がみられたら、休息するように声をかけましょう。無理に勉強や外での活動を続けると、疲れ果てて回復に時間がかかる可能性があります。

また真面目なお子さんほど「勉強の遅れを取り戻さなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と考え、自分で自分を追い込むことも必要以上に頑張るお子さんには、歯止めをかけることも必要です。お子さんの様子に合わせて、適宜声をかけましょう。

発達障害で不登校のお子さんの進路や将来

発達障害で不登校のお子さんには、学校への復帰以外に以下のような進路があります。

  • 別の高校へ編入する
  • 後任試験に合格して進学を目指す
  • 終了を視野に入れる

お子さんの将来にもつながる内容です。詳しく見ていきましょう。

別の高校に編入する

現在の高校ではなく、別の高校に編入する方法です。全日制高校だけでなく、定時制高校や通信制高校などの選択肢から、自分に合った高校が選べます。また、数は限られていますが「不登校特例校」という選択肢もあります。

いずれの場合も、サポート体制や学習カリキュラムなどを比較して、じっくり見極めることが大切です。また、別の高校に編入しても再び不登校になる可能性はあります。親の期待を押し付けるのではなく、お子さんの話に耳を傾け、納得できる選択をしましょう。

高認試験に合格して進学を目指す

高認試験(=高等学校卒業程度認定試験)とは文部科学省が行っている試験です。合格すると「高校卒業と同等の学力がある」と認められ、大学や専門学校への進学が可能になります。[6]

試験は年に2回実施されており、各都道府県にある試験会場で受けることが可能です。進学だけで無く、高卒という肩書を得るために受験する方もいます。

こころちゃん
こころちゃん

高校は合わなくても、大学は合うこともあるでしょう

就職を視野に入れる

進路が決まらない状態が続いているのであれば、就職を視野に入れるのも手です。働くことにやりがいを感じ、前に進むきっかけが得られる可能性があります。

不登校から就職を目指す場合、以下の専門機関に相談すると良いでしょう。

地域若者サポートステーション[7]:
15〜49歳を対象とした厚生労働省委託の支援機関。就職サポートだけでなく、ビジネスマナーやコミュニケーション講座なども受けられる

わかものハローワーク[8]:
正社員雇用を目指す35歳未満を対象としたハローワーク運営の就職支援窓口。職業相談や紹介、応募書類の作成支援、セミナー参加などのサービスが受けられる

就労移行支援[9]:
障害のある方を対象とした就職支援サービス。職業訓練や実習などを通して、社会復帰が目指せる

進路に迷う場合は即決せず、公的機関に相談すべきです。お子さんの将来を見据えた選択をするために、専門家の意見を聞いた上で判断しましょう。

まとめ 

発達障害のある高校生が不登校になった場合、お子さんに寄り添ったサポートが求められます。不登校になったばかりの時は休息を優先し、お子さんの困りごとに合わせた支援方法を考えましょう。

また、不登校の支援は学校や専門機関と連携して行うことが大切です。留年や退学への心配から結論を急ぐのではなく、お子さんに合わせて勉強や生活のサポートをしていきましょう。

お子さんの不登校で悩んだ時は、ご自分の心のケアを優先させることも必要です。悩んだときは私たち心の専門家にご相談ください。

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【参考文献】

[1]発達障害と生徒指導|文部科学省校区立教育政策研究
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf03S.pdf

[2]不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討|脳と発達
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/49/4/49_255/_pdf/-char/ja

[3]不登校 / 登校拒否 | e-ヘルスネット

[4]不登校やいじめ、ひきこもりなどの相談窓口|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/window_02.html

[5]子ども第三の居場所 | 日本財団
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child-third-place

[6]高等学校卒業程度認定試験 概要・パンフレット等|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/mext_01319.html

[7]サポステ|厚生労働省
https://saposute-net.mhlw.go.jp/

[8]わかものハローワーク|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000181329.html

[9]就労移行支援(発達障害支援室) | 国立障害者リハビリテーションセンター
http://www.rehab.go.jp/TrainingCenter/General/training1/621/

この記事の編集者
小林おすし
正看護師。大学病院やクリニック、小学校などで勤務。小児科勤務や子育ての経験を活かし、看護師ライターとして執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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