仕事にいくと怒られることばかり…周りの人たちも、わたしを迷惑そうに見るんです。わたしが発達障害グレーゾーンだから?もうつらい!どうしたらいいの?
お仕事がんばっているのに、つらいですね。発達障害グレーゾーンで悩む人は多いのです。今回は働きやすくなる工夫についてお話していきましょうね。
「何度言ったら分かるんだ」
「もう少し空気を読んでくれ」
と仕事で責められたり、周りから嫌な顔をされてつらい思いをしていませんか?
発達障害とは診断されず、グレーゾーンで悩んでいる方は多くいます。発達障害グレーゾーンで過ごしやすい環境で仕事をするには、自分の苦手を知ることが大切です。[1]
「発達障害ではないから…」と、無理して頑張り続けるとうつ病や適応障害など心の病気になる可能性があります。[2]
今回は、発達障害グレーゾーンの方が仕事で感じる生きづらさや、どんな仕事が適職なのか、仕事がつらいときの対処法などについて解説していきます。
発達障害グレーゾーンの人が仕事で感じる生きづらさ
「発達障害ではないから…」と軽く考えられることや、公的支援を受けにくい場合があるグレーゾーン。だからといって、発達障害の特性が軽い訳ではありません。[3]
ただ、発達障害の診断基準を満たしていないだけで、仕事で生きづらく感じることは多くあるのです。[4]
ここでは、発達障害グレーゾーンの方が仕事で感じる生きづらさについて紹介します。
どんな生きづらさがあるのか見ていきましょう
人間関係での生きづらさ
- 相手の言動から感情を読みとることが苦手で無神経と思われる
- 集中してしまうと周りが見えなくなる
- 1つのことにこだわって、意見が衝突してしまう
- 次から次へと頼まれると、最初に頼まれたことを忘れてしまう
- 自分の想いを上手く伝えられず意見のすれ違いが生じる
業務内容で感じる生きづらさ
- 仕事の予定を忘れる
- 同じミスを繰り返す
- 大切な書類を無くす
- 突然の変更に対応できない
- メモすることに集中してしまい会議や話の内容が分からない
このように、発達障害グレーゾーンの方が仕事で感じる生きづらさは多くあります。
では、生きづらさを抱えながらどのような仕事が向いているのか、次で紹介していきます。
発達障害グレーゾーン~苦手な場面別の適職~
どんな仕事でも「あなたの生きづらさを理解し寄りそえる環境がある仕事」が適職と言えるでしょう。[4][5]ここでは、下記の5つの苦手な特性を持った方の適職を紹介していきます。[3][8]
これはあくまでも一例です。
自分の特性を考えながら適職を見つけていきましょう。
苦手を裏返せば得意なこともあります。
自分に合った仕事をさがしましょう。
イレギュラーが苦手で慌ててしまう
イレギュラーな対応が苦手な場合は、いつも一定の業務内容でイレギュラーが発生しにくい仕事を選ぶとよいでしょう。また、この特性をもっている方は、同じ作業をコツコツと積み上げていくことが得意なことが多くあります。[8]
- ライン作業(同じ作業を繰り返す流れ作業)
- 清掃業務
- データ入力
こだわりが強く、柔軟に行動できない
こだわりが強く柔軟に行動できないならば、その特性を生かせる仕事を選ぶといいでしょう。例えば、決められたルールを正確に守ることが大切な仕事では特性が生かせます。 [8]
- 経理
- 職人業
忘れっぽい
いろいろな事に気が散ってしまい忘れっぽさがあるなら、テキストコミュニケ―ションがメインの仕事を選ぶといいでしょう。[8]テキストでのやり取りなので、忘れた場合は見返すことができます。在宅でも仕事ができる下記の職業では忘れてしまっても自分だけで対応しやすいでしょう。
- ライター
- イラストレーター
- デザイナー
考える前に行動してしまう
考える前に行動してしまうのは発想力がある証拠です。他の人とは違う考え方でものごとを考えられるでしょう。[8]そのため、下記のようなクリエイティブな仕事や起業家などで特性が生かせるでしょう。
- デザイナー
- エンジニア
- 個人事業主
人とのコミュニケーションが苦手
コミュニケーションが苦手ならば、人とあまりコミュニケーションを取らなくていい仕事を選ぶといいでしょう。一人でコツコツと仕事をするのが好きならば、下記の仕事では自分の力を発揮できそうです。[8]
- 在宅ワーク
- 工場勤務
- 研究職
大人の発達障害グレーゾーンで仕事がつらいときの対処法
今の仕事内容や職場環境があまりにも向いていないのであれば、転職するのがもっとも手っ取り早いでしょう。とはいえ、仕事を変えることが難しいケースも多いはず。
そこで、今の仕事を変えずにできる仕事がつらいときの対処法について解説していきます。
生活があるから仕事を変えるのは大変ですよね💦
発達障害か二次障害なのか区別して考える
発達障害の特性によるつらさなのか、二次障害による生きづらさなのかを考えることは大切です。その理由は、根本の原因を解決しないと、結局同じことをくり返してしまうためです。[8]
たとえば二次障害とは、下記のようなことを言います。
- コミュニケーションが苦手で、周囲になじめず疎外感を感じてストレスになり夜眠れない。
- 夜間眠れていないため、日中仕事がきつくなる。
- 眠れるために快眠寝具にする。
このように、まず眠れる環境を整えることも大切です。一方で、睡眠環境を整えても根本の原因は解決されていません。そのため、原因は何なのかを探す必要があるのです。
この場合の根本の原因は、職場の人との関係性です。原因が分かったら、次のように対処していきましょう。
自分の苦手と向き合い工夫する
まずは、自分が苦手なことについて考え工夫することで仕事でのつらさを変えていきましょう。[6]具体的には下記のような工夫があげられます。 [1][5]
苦手なこと | 工夫 |
メモを取ること | ボイスレコーダーを使用する。 |
物事を順序だてて考えること | TODOリストを使いタスク管理をする。 |
忘れっぽい | ・すぐにメモをして対応する。 ・Googleカレンダーなどを利用してリマインドする。 ・メモを忘れるので、いつも同じ決めた場所でメモを管理する。 |
急な仕事に対応すること | あわててしまう場合には、深呼吸をするクセをつける。 |
人付き合い | 伝えるべきことを書き出して、整理して伝える。 |
これはあくまでも一例です。自分の仕事状況と職場環境に合わせた工夫をすることが大切です。
職場でのストレスを相談する
職場の悩みを職場の人に話すことはキケンです。
その人が他の人にうっかり話してしまう恐れがあるためです。
これを防ぐためには、職場とは違う専門家に相談するといいでしょう。専門家があなたの悩みを誰かに勝手に話すことは絶対にありません。[7]
専門家に相談に行くのに抵抗がある場合は、下記の厚生労働省が出している相談窓口を利用するのもいいでしょう。
ひとりで抱え込みストレスで体調が悪くなる前に、誰かに話を聞いてもらいましょう。おおかみこころのクリニックも、あなたのご相談をお待ちしております。お気軽にお越しください。
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まとめ
発達障害グレーゾーンの適職は、あなたの苦手を理解し寄りそえる環境がある仕事です。
仕事内容での向き不向きもありますが、最終的には職場環境が自分に合っているかが大切になります。
今、仕事でつらい思いをしているなら、今回紹介した対処法を参考に工夫をしてみましょう。
職場での人間関係が上手くいかなくても、仕事上のミスを減らすことで人間関係がいい方向へ変わることがあります。それでも改善が難しい場合は、自分に合った仕事への転職を考えてみましょう。
ひとりで悩むよりも誰かに相談することで、自分のちがった一面を見つけることができるかもしれません。おおかみこころのクリニックは、下記のような悩みでも相談できます。
LINEから24時間予約ができます。お気軽にご相談ください。
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参考文献
[1]大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!|NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1071.html
[2]成人の精神医学的諸問題の背景にある発達障害特性|澤原光彦,村上伸治,青木省三https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/57/1/57_51/_pdf
[3]第4章 発達障害の行動特性|広島県
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/486248.pdf
[4]【特集】発達障害アバター大集合(4) グレーゾーンの人が生きやすくなるには|NHK
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/279/
[5]軽度発達障害が背景にある適応障害への対応|神奈川産業保健総合支援センターhttps://www.kanagawas.johas.go.jp/publics/index/202/detail=1/b_id=764/r_id=50/
[6]就職した自閉スペクトラム症者が困難に対処しながら働き続ける過程|The Japanese Journal of Autistic Spectrum 2019, Vol.17-1, 43-51
https://www.jstage.jst.go.jp/article/japanacademyofas/17/1/17_43/_pdf/-char/ja
[7]大人になって気づく発達障害 ひとりで悩まず専門相談窓口に相談を!|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202302/1.html
[8]発達障害の理解|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf
参考図書
発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法 (SB新書)|岡田尊司
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。