日本人の約15〜20%が指摘されているHSP(Highly Sensitive Person)。[1]
「繊細さん」と呼ばれることもあり、生まれつきもった気質や性質に悩むHSPの方は多いでしょう。
この記事では、HSPの症状に自力で対処する方法や病院に行くか迷うときの限界サインを紹介します。
HSPの症状に心配したり不安を感じたりしているあなたが、悩みを解決する助けになれば幸いです。
下記の記事では、HSPは病院で診断がつくのか詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
HSPに自力で対処する方法5選
HSPは病気ではないため、病院で診断・治療することはできません。HSPについて知り、うまく対処しながら付き合っていくことが大切です。
1.HSPを正しく理解する
HSPに正しく対処するためには、HSPの特性である「DOES(ダズ)」を知っておくことが重要です。
DOESは具体的に以下のとおりです。[1]
- Depth of processing:深く考えやすい
- Overstimulation:過剰に刺激を受けやすい
- Emotional & Empathy responsiveness:感情の反応が強く共感しやすい
- Sensitivity to subtlety:些細な刺激を察知しやすい
このHSPの特性を知らないと「こころが弱い」「頑張りが足らないから友達に認められない」とHSPの方が自身を責める恐れがあります。
深く考えやすく刺激を過剰に受けやすいといったHSPの特性や行動の傾向が分かると、HSPの症状で生きづらさを感じにくくなるでしょう。
2.「人のこころは読めない」と気づく
Mind Reading(マインド・リーディング)に気づくことも欠かせません。[2]
Mind Readingとは、自分は人のこころを読めると思い込む「認知のゆがみ」のことです。実際は、ほかの人のこころや考えていること、感情などは読めません。
ですが、HSPの方は人のこころが読めると勘違いするため、ささいな言動でも深く考え込みます。
たとえば、普段と表情や声のトーンが違うだけで「怒っている」「さっきの私の発言のせいで不機嫌だ」などと感じ傷つきます。
人のこころは読めないと考えられると、友人や会社の同僚の気持ちを考えて悩む機会が減るため、HSPの方はストレスを溜めにくくなるでしょう。
人の言動を敏感に感じとることができるからこそ、考え込んでしまうのでしょう。
3.苦手な人との付き合いを減らす
苦手な人との付き合いを減らすことも必要です。
HSPの特性のひとつに共感力が高いことがあるためです。
たとえば、友人の話を聞いて負担に感じたり、友人が望んでいることを敏感に受け止めたりすると疲れやすい特徴があります。
苦手な人と無理に付き合う必要はありません。HSPのイベントやSNSに参加して仲間を見つけられると「自分のことを理解してくれる」と感じ、悩みや不安を解消できるきっかけになるでしょう。
4.ひとつずつタスクをこなす
HSPの方はマルチタスクをこなすことが苦手であるため、一つひとつこなしていくことが大切です。[2]
たとえば、メモやスマホに「やることリスト」を作成したり、付せんを貼ったりしてひとつずつこなしてください。
家事や仕事がたくさんあるときにリストで振り返ると、自分のことを客観的に見れるため慌てずに対処できるでしょう。
5.ノートに感情や気づきを書く
HSPの方は、周りの人のネガティブな感情を敏感に察知して傷ついたり落ち込んだりしがちです。
そのときは、自分を優しくいたわることが大切です。具体的には、声に出して自分のことをほめたり、良かったことや頑張ったことなどをノートに書いたりしてください。
自分を認める機会が増えると、気持ちが前向きになり過ごしやすくなるでしょう。
人に優しく接することが得意なHSPさん。自分自身も周りの人のように大切にいたわってあげるイメージをするとよいでしょう♪
6.刺激を減らしてゆっくりする
刺激を減らして、ゆっくりする時間が必要です。
HSPの方は、過剰に周りの刺激を受けやすい特性があるためです。[2]たとえば、音にビックリしたり、ニオイに吐き気を感じたりすることがあります。以下のように対処すると刺激を減らせるでしょう。
五感 | 対処法 |
視覚 | ・サングラスをかける ・メガネの度数を下げる ・寝るときにアイマスクをする |
聴覚 | ・耳栓をする ・イヤホンで好きな音楽を聞く |
触覚 | ・肌触りの良い服を着る ・締めつけない物を身につける |
嗅覚 | ・マスクをする ・お気に入りの香りをがく |
味覚 | ・味付けを薄くする ・舌触りが良い食べ物を使う |
ストレスや疲れの原因になる刺激を減らせると、こころとからだを休めることができるでしょう。
HSPの限界のサイン
ここでは、HSPの限界のサインを紹介します。限界のサインを超えたら何らかの対処が必要になるためチェックしてくださいね。
眠れなくなる
HSPの方は周りの刺激に敏感で疲れやすく、一般的にHSPの方は睡眠時間が長くなるためです。
そのため、眠れなくなることはHSPの限界サインと考えてください。
普段の生活や仕事に影響し始める前に、早めに病院に行って相談しましょう。
HSPさんにとって眠ることはとても大切です。
食欲がなくなる・食べ過ぎる
食欲がなくなる、もしくは食べ過ぎることはHSPの限界のサインです。
というのも、HSPの方はストレスや疲れがたまると、食欲が変化しやすいためです。具体的には、食欲がなくなったり食事を楽しめなかったりする一方で、食欲がわいたり、ストレス発散のために食べ過ぎたりするケースがあります。
さらに、胃の調子が悪い、吐き気があるなどの不調もHSPの限界のサインである恐れがあります。
仕事を休んだり人との付き合いを減らしたりして、ストレスを溜めないようにしましょう。
理由もなく涙が流れる
理由もなく涙が流れることは、HSPの限界のサインである可能性があります。
HSPの方は、刺激を受けるためストレスを溜めたり、共感性が高く感情移入したりするためです。
HSPを理解してくれる人に相談したり、刺激を減らしたりしてゆっくりしても涙があふれるときは病院に相談しましょう。
HSPの症状が悪くなったら精神科・心療内科に相談
HSPの症状がひどくなったら精神科や心療内科などクリニックを受診しましょう。
HSPには以下のようなこころの病気や発達障害などが隠れている可能性があるためです。[3]
- 不安神経症
- うつ病
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
早く対処できると適切な治療を受けられます。症状がつらく、不安を感じているHSPの方は精神科、もしくは心療内科に相談に行きましょう。
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下記の記事では、病院でできる治療法について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
まとめ
HSPは、病気ではなく生まれもった気質や性格です。
深く考えやすく、過剰に刺激を受けやすいというHSPの特性により悩んでいるHSPの方も多いでしょう。HSPの症状が重くならないように、刺激を避けたり、苦手な人とは付き合わなかったりなど疲れない生活をこころがけることが大切です。
ただし、自力で対処できない場合もあります。早めに精神科や心療内科を受診すると、あなたが悩んでいる症状が軽くなる可能性があるため、ひとりで悩まずに相談してみてくださいね。
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参考サイト・文献
[1]HSPをご存知ですか?|生駒市ホームページ
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000028156.html
[2]HSP(とても繊細な人)とは? ストレス・お悩み解決術|NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1419.html
[3]大人の発達障害ナビ|武田薬品工業株式会社
https://www.otona-hattatsu-navi.jp/know/hsp/
- この記事の編集者
- 西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。