日本人の約5人に1人が当てはまるHSP(Highly Sensitive Person)。[1]
HSPは病気や障害ではなく、生まれつきもった気質や性質です。生まれつき敏感で周囲からの刺激に過敏であり、一般的には「繊細さん」と呼ばれることもあります。
家族や友人の気分や感情のささいな変化に気づき、自身の感情や体調が変化することに悩んでいませんか?
HSPの病院でできる治療法や症状が楽になる方法について解説します。この記事を読み、HSPの症状に苦しむあなたの悩みを解消できるきっかけになれば幸いです。
下記の記事では、HSPの症状に自力で対処する方法を紹介しています。あわせてご覧ください。
HSPを病院で治療する方法3つ
HSPを病院で治療する方法が3つあります。ここでは、その方法を詳しく紹介します。
そもそもHSPの診断は病院でつくのかについては、下記の記事をご覧ください。
1.カウンセリング
HSPで精神科や心療内科を受診すると、こころの病気がないか診察します。
HSPの方は友人や同僚に気を遣い過ぎたり深く考えたりするため、ストレスを溜めやすくうつ病やパニック障害などのこころの病気になりやすいためです。
病気がないと診断された場合は、HSPの方が自身の特性を知ったり、強みを見つけたりするためにカウンセリングをおこなうケースがあります。
カウンセリングは自身のことを見つめ直すきっかけとなるため、HSPに向き合いやすくなるでしょう。
自分自身と向き合い、どうすると心が軽くなるのかを一緒に考えていきましょう。
2.薬物療法
HSPはその人の特性であるため、本来、薬物療法の対象ではありません。
ただ、うつ病やパニック障害などのこころの病気があると、薬物療法で効果が見られることがあります。[2」たとえば、過度な緊張や不安、不眠などの症状があらわれている場合は、睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬などを使用します。
それぞれの症状に合った薬を使えるため、つらい症状がなくなり過ごしやすくなるでしょう。
今困っている症状に対してお薬が処方されることもあります。
3.rTMS治療
HSPの症状によっては、rTMS治療(反復経頭蓋磁気刺激法:repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)をおこなうこともあります。[3]
rTMS治療とは、抑うつ気分や意欲の低下などに関わる脳に磁気刺激を与え、症状を軽くする治療法のことです。
とくにHSPで、不眠や気分の低下などの症状があらわれている方に効果が期待できます。
HSPの症状が楽になる7つの方法
ここでは、HSPの症状が楽になる方法を紹介します。それぞれの方法を知って、HSPの症状とうまく付き合いましょう。
HSPの気質や性質を理解する
HSPの気質や性質などを正しく理解することが、症状が楽になる第一歩です。HSPの特性である「DOES(ダズ)」を知っておきましょう。[4]DOESはHSPの特徴を示すフレーズの頭文字をとったもので、以下の通りです。
- 深く考えやすい(Depth of processing)
- 過剰に刺激を受けやすい(Overstimulation)
- 感情の反応が強く共感しやすい(Emotional & Empathy responsiveness)
- ささいな刺激を察知しやすい(Sensitivity to subtlety)
この特性を理解しておかなければ「自分は弱い」「自分のせいで友だちとうまくいかない」とHSPの方が自身を責める恐れがあります。
HSPの特性や行動の傾向が分かると、HSPの症状に対処できるきっかけになるでしょう。
HSPの特性を長所として考える
HSPの特性の一つは共感力の高さです。
共感力の高さは「友達の気持ちが分かる」「周りの人の痛みがわかり手を差し伸べられる」などと言い換えられます。
ほかにも、ささいな刺激を察知しやすい特性は「気配り上手」「空気が読めて会社の同僚から感謝される」などと言い換えられるでしょう。
HSPの特性をプラスに考えられると、生きづらさやストレスを感じにくくなります。
よいところに目を向けると、たくさんありますね!
一歩引いて人と付き合う
HSPの方は、共感力が高かったり深く考えやすかったりすることから、人との付き合いが苦手でありストレスを感じやすいです。
たとえば、友人や同僚の顔色をうかがい、「怒らせてないか」「悲しませてはないか」などといつも心配したり不安になったりします。
人間関係でストレスを感じると、HSPの方は疲れやすいです。そのため、一歩引いてひとりになる時間を作るとストレスを軽くできるでしょう。
HSPに関わるSNSやイベントで仲間を作る
HSPの症状に悩む仲間を作れると、こころが楽になるでしょう。
HSPの悩みや不安な気持ち、ストレスなどはHSPの方にしかわからないためです。
HSPの方が仲間を作るためには、HSPに関わるSNSやイベントに参加するほかに、コミュニティに入ったり、アプリを使ったりする方法があります。
同じ悩みをもつ仲間探しですね!
たとえば「muute」というアプリを使ってみてはいかがでしょうか。muuteは思いついたことを無心に書き出すことで、AIが分析して思考の癖や自分が気づいていないストレスを発見してくれます。
感情や思考を整理したい方は活用しましょう。下記の記事でくわしく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
アイテムを使って刺激を予防する
HSPの方は五感で刺激を受けやすく、その刺激によりストレスを感じたり疲れたりします。
学校や職場に行くだけで、ぐったりすることもあるでしょう。アイテムを使って刺激を予防できると、楽に過ごせます。具体的な方法は以下のとおりです。
- 耳栓やイヤホンを使う
- サングラスやメガネをかける
- マスクをする
- 味付けを薄くする
- 肌触りの良い服を着る
HSPの方がストレスを感じやすい刺激をアイテムで防げると、気持ちが落ちつき疲れにくくなるでしょう。
HSPの特性に合った仕事を選ぶ
HSPの方は生活環境や仕事、人間関係がストレスでつらさを感じている可能性があります。たとえば、仕事でストレスを感じている場合は、以下のことを試してみてください。
- リモートワークを願い出る
- 異動を申し出る
- 転職する
HSPの方が無理に自身を変えようとすると、症状が悪くなる恐れがあります。症状を軽くするためには、ストレスの原因である環境を変えてみてください。
「理解してもらいたい」と期待しない
HSPではない人が、必ずしもHSPの悩みや不安などを理解してくれるとは限りません。
「理解してもらいたい」との思いが強いと、理解してもらえなかったときの悲しみや怒り、失望感などが大きくなります。ショックが大きければ、立ち直るのに時間がかかるでしょう。
理解してもらうことを期待せずに「こういう人もいる」と思えると、考え方が違う人ともうまく付き合えるようになりますよ。
「人は人」「わたしはわたし」と割り切って考えることも大切です。
HSPの症状が悪化したときの対応
HSPの症状が楽になる方法を取り入れても症状が悪化するケースがあります。
そのため、症状がつらいときは早めに精神科や心療内科に相談してください。あなたの状況に合った専門的なアドバイスを受けられたり、こころの病気がある場合は適切な治療を受けられます。
おおかみこころのクリニックでは、LINEでの相談を受け付けています。いつでもご相談くださいね。
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まとめ
HSPは、病気や障害ではなく生まれもった気質や性格のことです。
こころの病気があったり症状があらわれていたりする場合は、治療を受けられる可能性があります。
HSPの症状が楽になる方法を取り入れても症状に悩んだり、症状が悪化したりしたときは受診して大丈夫です。日常生活を楽しく送れるようにサポートしてくれますよ。
24時間予約受付中
参考サイト・文献
[1]HSPをご存知ですか?|生駒市ホームページ
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000028156.html
[2]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf
[3]反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針|日本精神神経学会https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/Guidelines_for_appropriate_use_of_rTMS_202309.pdf
- この記事の編集者
- 西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。