ADHDとHSPは症状が似ており、「自分はどっちなんだろう」と悩むことがあるかもしれません。
結論として、それぞれの症状は似ており、どちらか判断するのは簡単ではありません。また両者は併発することもあるとされています。
この記事ではADHDとHSPが併発している方の特徴についてわかりやすくまとめました。
その中で、どんな生きづらさを感じやすく、どう対処すべきかについてもまとめているので、少しでも症状を楽にする助けになれば幸いです。
ADHDとHSPは併発する可能性
ADHDとは、おもに不注意と多動・衝動性があらわれる発達障害のことです。[1]
一方で、HSPは病気や障害ではありません。「周りから刺激を受けやすい」「物事を深く考えがち」という生まれつきもった気質や性質のことをいいます。[2]
この2つの症状や特徴について、以下の表で詳しくみていきましょう。
ADHD | HSP | |
分類 | 発達障害 | 気質や性質 |
発症する割合 | 成人の2.5% (小児では3~7%) | 日本人の15~20% |
症状や特徴 | (不注意) ・活動に集中できない ・気が散りやすい ・物をなくしやすい (多動・衝動性) ・じっとしていられない ・静かに遊べない ・待つことができない | ・深く考えやすい ・過剰に刺激を受けやすい ・感情の反応が強く共感しやすい ・ささいな刺激を察知しやすい |
参照元:e-ヘルスケアネット|厚生労働省
HSPをご存知ですか?|生駒市ホームページ
ADHDとHSP、この2つは症状が似ています。ADHDの治療を進めるなかでHSPが見つかったというケースもあるため、ADHDとHSPは併発する可能性があるといえます。
ADHDとHSPを併発した方の4つの特徴
ここでは、ADHDとHSPを併発した方の特徴を紹介します。併発したときの特徴を知り、うまく付き合っていきましょう。
見方を変えると、よいところも多いのです!
フットワークが軽くすぐに動ける
ADHDとHSPを併発すると、ADHDの衝動性や活動的などに「周りからの刺激を受けやすい」というHSPの特性が加わります。そのため、フットワークが軽く、すぐに動けるといった特徴があらわれます。
たとえば、思い立ったらすぐ行動できるように決断が早かったり、気持ちを切り替えて新しい目標に向かったりできるのです。
職場ではフットワークが軽いと重宝され、ポジティブな印象を持たれるでしょう。
細かい作業でも集中できる
ADHDとHSPを併発した方の特徴は、細かい作業でも集中できることです。
ADHDの方は、一つのことに集中したり細かい作業を続けたりすることが苦手です。なかには、細かい作業に集中できないことでストレスが溜まり、イライラしたり混乱したりするADHDの方もいます。
一方で、HSPの方は物事をじっくり考えることが得意です。
ADHDとHSPを併発している方は、ADHDとHSPの特性をあわせもつ方は途中で集中が途切れず、単調な作業も継続できることが多いでしょう。
人の感情に敏感であるため失言をしなくなる
ADHDには、発言に注意できず思ったことをそのまま言葉として伝える特徴があり、家族や友人を傷つけてしまうケースがあります。
その一方で、HSPには相手に共感しやすく感情や表情のささいな変化をとらえられる特性があります。
話す前に家族や友人の気持ちを考えられるため、失言をする機会が少なくなり、より良い人間関係を築けるでしょう。
チームに1人いると助かるでしょう!
クリエイティブな分野で活用できる
ADHDとHSP、いずれも新しいことに興味を持つ特性があります。
そのため、他のスタッフとは違った視点や感受性があるため、誰も考えつかないアイディアを生み出せます。
ADHDとHSPの特性から作家やカメラマン、エンジニアなどの職業に向いているといえるでしょう。
ADHDとHSPを併発したときの生きづらさと対処法
ADHDとHSPを併発すると、症状によって社会生活を送りにくくなるため生きづらさを感じる可能性があります。対処法が分かると日常生活が過ごしやすくなるでしょう。
興味が移るため中途半端になりやすい
ADHDとHSPを併発すると、仕事や家事などを終える前に別のことに目移りするため、中途半端になりやすいでしょう。
ADHDによくみられる興味や関心の移り変わりやすさと、HSPにある周りの状況を敏感にとらえることの特性が関わるためです。
たとえば、事務の仕事は電話や接客、会計など一度に対応しなければならないケースがあるため、ADHDとHSPを併発した方は苦手と感じます。いずれも中途半端になるため、お客さまを待たせたり取引先にスムーズに連絡できなかったりします。
さらに、日常生活では「夕食作り」や「掃除」「洗濯」が重なったときには、それぞれの家事に少しずつ手を付けて、放置してしまうこともあるでしょう。
そのため、スマホや手帳に「やることリスト」としてメモしたり付せんを貼ったりして、一つずつこなしていくことが大切です。
さまざまなことが気になり焦りを感じやすい
ADHDとHSPを併発すると、さまざまなことが気になり、焦りを感じやすくなります。
周りのことに敏感で、さまざまなことに触れようとするためです。
その結果、「まだ自分は全然できていない」「なんで自分にはできないんだ」など他の人と比べて生きづらさを感じることもあります。さらに、気になることが増えるとタスクが積み重なり、焦りが強くなるでしょう。
そのため「このような人もいる」「自分は自分」という割り切った考え方が必要です。
周りが気になっちゃうの分かる~~💦
自分の許容量を超えて活動しやすい
周りの変化によく気づきすぐに動けることは、ADHDとHSPの長所です。
ただし、一度気になると動かずにはいられないため、ADHDとHSPを併発した方は自分の許容量を超えて活動してしまうことがあります。
さらに、ADHDとHSPを併発した方が許容量を超えたまま活動を続けると、ストレスを感じたり負担になったりして、こころの病気を発症する恐れがあります。
そのため、自身の限界を知ったうえで体調やスケジュールと相談しながら活動しましょう。適度にこころとからだを休め、リラックスすることも忘れないでくださいね。
ADHDとHSPの併発に悩んだら精神科や心療内科に相談
ADHDやHSPを併発して、症状がつらくなったときや日常生活に支障をきたしたときは、精神科や心療内科に相談しましょう。
うつ病やパニック障害などこころの病気が隠れている恐れがあるためです。これらの病気に早く対処できなければ、さらに症状が悪化するかもしれません。
おおかみこころのクリニックではLINEでの相談も受けつけています。ひとりで悩まずに、まずは相談してみてくださいね。
24時間予約受付中
まとめ
ADHDとHSPは併発する可能性があり、特徴が分かるとうまく付き合えます。
ただし、自力で対処しても生きづらさを感じたり、悩んだりする場合もあるでしょう。
早めに精神科や心療内科を受診できると、あなたのつらい症状を軽くできる可能性があります。ひとりで悩まなくても大丈夫ですよ。
24時間予約受付中
参考サイト・文献
[1]HSPをご存知ですか?|生駒市ホームページ
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000028156.html
[2]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf
- この記事の編集者
- 西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。