眠れずつらいと感じたり、気分が落ち込んだりして悩んでいませんか。
これらの症状は、ストレスが限界に達したことを示す心や身体のサインかもしれません。ストレスが溜まると、うつ病や自律神経失調症などの病気を引き起こし、心が壊れたり身体に影響したりする恐れがあります。
この記事では、ストレスの限界サインを診断するためのチェックリストや対処法を解説しました。
ストレスによって限界だと感じているあなたの助けになれると幸いです。
ストレスの限界サインを診断|セルフチェックリスト
ここでは、ストレスの限界サインを診断できるように、チェックリストを作成しました。今のあなたの状態に当てはまるものにチェックしてみましょう。
質問内容 | 回答 | |
1 | ひどく疲れる | 1・2・3・4 |
2 | ヘトヘトである | 1・2・3・4 |
3 | 身体がだるい | 1・2・3・4 |
4 | 気が張りつめている | 1・2・3・4 |
5 | 不安な気持ちである | 1・2・3・4 |
6 | 心が落ち着かない | 1・2・3・4 |
7 | 憂うつな気分である | 1・2・3・4 |
8 | 何をしても面倒に感じる | 1・2・3・4 |
9 | 気分が晴れない | 1・2・3・4 |
10 | 食欲がわかない | 1・2・3・4 |
11 | よく眠れない・眠った感覚がない | 1・2・3・4 |
参考元:ストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票)|厚生労働省をもとに作成
(1・ほとんどなかった、2・ときどきあった、3・しばしばあった、4・ほとんどいつもあった)
このチェックリストは目安であり、うつ病や自律神経失調症などの病気を診断できるわけではありません。
ただし、点数が高い方は心の病気を発症している可能性が高いです。そのため、精神科や心療内科、神経内科などのクリニックで診察を受けてください。
一方で、点数が低い方でも気になる症状や悩み事があるときは、早めにクリニックに相談することが大切です。
ストレスの限界サインと診断されるときの症状5つ
ここでは、ストレスの限界サインと診断されるときの症状を紹介します。
それぞれの症状を詳しくみていきましょう。
心の症状が2週間以上続いている
ストレスが限界に達しているときは、以下のような心の症状があらわれます。
・焦る
・涙が出る
・イライラする
・集中できない
・気分が落ち込む
米国精神障害診断基準DSM-Ⅳでは、これらの心の症状が2週間以上続いている場合はうつ病の恐れがあるとしています。[1]
うつ病になると、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減少します。これらの物質は気分や感情の調整に重要な役割を果たしているため、減少すると涙もろくなったり集中力が低下したりします。[2]
身体に不調をきたしている
強い緊張やストレスを感じているときは、以下の身体の症状があらわれます。
・眠れない
・疲れやすい
・性欲がない
・動悸がする
・身体がだるい
・食欲がわかない
・頭痛や肩こりがある
寝つきが悪かったり何度も目覚めたりするときは、ストレスが身体に影響している可能性があります。
このときに無理を重ねると症状が悪化するため、立ち止まってゆっくり休むことが大事です。
適切に休息をすることで負担が軽減するため、身体が回復しやすいでしょう。
以下の記事も参考にしてください。
悲観的な考え方になっている
ストレスによって気分の落ち込みや憂うつな気分が強くなると、考え方が悲観的になる場合があります。具体的には、以下の思考パターンがあらわれます。
・自分が悪い
・自分は能力がない
・迷惑だと思われている
・どうせうまくいかない
ネガティブな感情が続くと、消えてなくなりたいと思ったり早く死んで楽になりたいと考えたりします。この状況が続くと、希死念慮(自殺を考えること)がみられるケースもあります。[3]
いつもと違う行動をしている
普段と違う行動をしているときも、ストレスの限界サインが出ていると言えます。
・仕事でミスが増える
・人付き合いを避ける
・タバコやお酒の量が増える
強烈なストレスを感じると、それを発散するためにタバコの本数やお酒を飲む量が増えることがあります。中には、眠れないことや不安な気分を打ち消すために、アルコールに頼る方もいるでしょう。[4]
仕事や日常生活でミスが増える
職場でのプレゼンテーションや資格試験などのプレッシャーがかかる場面では、誰でも不安や緊張を感じるものです。
ただし、その程度が強くなり、仕事や日常生活に支障をきたしているときは、精神的なダメージを受けているかもしれません。
たとえば、以下のようなミスをするでしょう。
・仕事で凡ミスが増える
・書類の提出期限を守れない
・カギや財布などの持ち物を忘れる
・家族や友人との大切な約束を忘れる
注意力や集中力の低下によって仕事や日常生活でミスが増える可能性があります。ストレスを管理できなくなったら、すぐに心の病気を専門とする医師に相談しましょう。
ストレスの限界サインに気づいたときに疑う病気・障害
ストレスの限界サインに気づいたときに疑う病気や障害は以下のとおりです。
それぞれをみていきましょう。
うつ病
うつ病とは気分障害のひとつであり精神的、または身体的なストレスが原因で脳の機能がうまく働かなくなる病気です。[5]
ある研究では、一生のうち15人に1人がうつ病を発症するとしています。つまり、うつ病は、珍しい病気ではないと言えます。[6]
うつ病の症状があらわれたときは、まずは十分な休養をとることが大切です。ただし、休養しても症状が回復しない場合は、薬物療法や精神療法など専門医による治療が必要です。
自律神経失調症
自律神経失調症はストレスを溜め込んだり、生活習慣が乱れたりすることで自律神経のバランスが崩れる病気です。[7]以下のような症状があらわれます。
・動悸
・疲労感
・息切れ
・めまい
・食欲不振
・手足のしびれ
これらの症状は、日常生活に支障をきたす可能性があります。
とはいえ、自律神経失調症は適切に対処すると、完治を目指せる病気です。[7]ストレスをうまくコントロールすると、これらの不快な症状は軽くなりますよ。
以下の記事で自律神経失調症について詳しく解説しています。
適応障害
適応障害は、特定のストレスに過剰に反応して心身のバランスが崩れて社会生活に支障をきたす状態です。[8]
適応障害になると仕事を続けることが難しく、結果として退職するケースもあります。
ただし、ほかの心の病気とは異なり、適応障害になるストレスの原因は明らかです。
そのため、まずはカウンセリングで、その原因を主治医と一緒に探すことが大切です。ストレスの原因がはっきりすると、つらい状況を避けられるでしょう。
アルコール依存症
アルコール依存症は、長期間にわたる過度の飲酒によって引き起こされる心の病気です。[9]
ストレスが高まると、飲酒する量やその頻度がコントロールできなくなります。次第に、心や身体の状態は悪化します。
アルコール依存症になると日常生活だけではなく、家族や友人との関係にも影響する可能性があります。
ストレスの限界サインに気づいたときの対処法
次に、ストレスの限界サインに気づいたときの対処法を解説します。
それぞれの対処法を知って、ストレスを克服しましょう。
上司や人事課に相談して仕事を休む
まずは、上司や人事課に自分の症状や悩みを相談して、仕事を休んでみましょう。
ストレスの原因が仕事である場合は、一時的な休暇により症状が軽減できるからです。
ただし、心の状況が変わらなかったり身体の不調が治らなかったりするときは、部署の異動や退職を考えることも一手です。
新たな職場環境での再スタートが心身の健康に良い影響を与えるでしょう。
ひとりで悩まず家族や友人に相談する
自分の症状や日常生活で悩んでいることなどを家族や友人に相談すると、安心感を得られて症状が軽くなるケースもあります。
さらに、悩みを打ち明けておくと、彼らがあなたのいつもと違う様子に気づき、病気を早く発見できる可能性があります。
ひとりで悩まず、まずは信頼する人に相談して心の負担を軽減しましょう。
公的な相談窓口を活用する
ストレスにうまく対応できずつらいときは、公的な相談窓口を活用してみてください。
たとえば、お住まいの自治体の精神保健に関する窓口に問い合わせると、専門のスタッフが対応してくれます。
「こころの健康相談統一ダイヤル」「いのち支える相談窓口」「こころの耳相談」などを活用すると、電話相談のほかにSNSやメールであなたの悩みを相談できますよ。[2][10]
精神科や心療内科があるクリニックを受診する
症状が改善しないときは精神科や心療内科、または神経内科などの診療科目があるクリニックを受診しましょう。
これらのクリニックでは、薬物療法や認知行動療法などの治療をおこなっています。早めに治療すると、病気の重症化や慢性化を防げるでしょう。[5]
自分の症状を正しく伝えられないと不安を感じている方は、クリニックに行く前に症状を紙にまとめておくと役立ちますよ。
認知行動療法については、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
心の症状が2週間以上続いていたり、身体に不調をきたしたりしている場合、それはストレスが限界に達しているサインかもしれません。
放置すると、心の病気が見逃され症状が悪化する可能性があります。
一度、おおかみこころのクリニックで相談してみませんか。大学病院や精神科病院などで経歴のある医師が数多く在籍しています。「なにかおかしいな」と感じた際には、お気軽に起こしください。
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参考サイト・文献
[1]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf
[2]うつ病|こころをメンテしよう 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
[3]希死念慮|こころの耳 厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1534/
[4]アルコールとうつ、自殺|e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-006.html
[5]うつ病|こころの情報サイト 厚生労働省
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL
[6]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf P12
[7]自律神経失調症|日本内科学会
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf P7
[8]適応障害|e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-041.html
[9]アルコール依存症|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-016.html
[10]こころの耳|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/window_03.html
- この記事の編集者
- 西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。