真ん中っ子として「しっかりしている」「手がかからない」と言われ続けたあなた。
本音を言えず、人間関係で悩みを抱えていませんか?
「人に頼りたいのに頼れない」という性格は、真ん中っ子特有の「真ん中っ子症候群」や「愛着障害」と関係している可能性があります。
この記事では、真ん中っ子が抱える心の問題と改善方法を紹介します。
心のモヤモヤに気づき、自分を大切にするきっかけになれば幸いです。
真ん中っ子と愛着障害の関係
真ん中っ子として育った経験が、なぜ愛着障害と結びつくのかをみていきましょう。
愛着障害は、親からの適切な愛情が十分に与えられなかったために生じる心の問題です。[1]
幼少期に愛されていると感じられないと自己肯定感が低くなり、他者との関係にも影響を及ぼします。
真ん中っ子の場合、両親が上の子や下の子に目を向けることが多く、心理的に孤独を感じることがあります。[2]
これが「愛着障害を引き起こしやすい環境」になっているのはたしかです。
愛着障害については、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
真ん中っ子の特徴
真ん中っ子はどのような特徴があるのかみていきましょう。
「真ん中っ子症候群」とは
「真ん中っ子症候群」とは、兄や妹に挟まれて育った中間子が、注目を集めづらい環境で成長するために感じる孤独感や劣等感を指します。
正式な医学用語ではありません。
「アドラー心理学」で知られる心理学者のアルフレッド・アドラーも生まれた順番による性格の違いについて言及しています。[3]
「生まれた順番は、子どもの性格や心理に影響を与える」と述べており、真ん中っ子は家族内で孤立感を感じることが多いと考えられています。
抱えやすい心の問題
真ん中っ子として育つ中で、いくつかの心理的な問題を抱えることがあります。[4]
・「居場所がない」と感じる
・「親を困らせてはいけない」と自分を抑える
・「誰も私のことをわかってくれない」という寂しさを抱える
このような感情を持つことが多く、これらは後に自己肯定感の低さや対人関係の困難さにつながることがあります。
真ん中っ子は色々と苦労しているんですね。
真ん中っ子が大人になってからの特徴
真ん中っ子が大人になると、どのような特徴を持つのでしょうか。
例えば、以下のようなものがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
「真ん中っ子は親が嫌い?」
真ん中っ子は独立したいという気持ちが強く、親からの過度な干渉が苦手。
これが「親が嫌い」と勘違いされる思われる原因ですが、実際には自立しようとする意識が強いだけで、親への感謝や愛情がないわけではありません。[4]
幼いころから「親を困らせないように」という親への想いが強いために、自立願望を持ちやすいともいえるのです。
中間管理職のような調整役が得意
真ん中っ子は兄や姉・妹や弟に挟まれて育つため、周りに気を遣いながらきょうだいをまとめる役割を担うことがあります。
大人になってからも、職場で上司と部下に挟まれる中間管理職のような調整役を果たすことが得意です。
複数の人の意見や感情をバランスよくまとめ、トラブルを未然に防ぐ能力に優れています。[5]
誰とでもそこそこうまく付き合える
真ん中っ子は、自分のきょうだいやその友達など、さまざまな年齢の人との関わりを持つことになります。
家庭内でも兄や姉といるときは「妹・弟としてのふるまい」、妹や弟といるときは「兄や姉のようなふるまい」を求められるため、人とうまく付き合うためのスキルが身につきやすいといえるでしょう。
そのため、大人になっても職場やプライベートで人間関係を円滑にする能力が高く、どんな相手ともそこそこの関係を築けることが多いです。[5]
真ん中っ子が心の健康を保つ方法
周りに気を遣いながら本音を抑えていると心が疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。
ここからは、真ん中っ子が心の健康を保つ方法について以下の項目に沿って解説していきます。
新しいことに挑戦する
相手のペースに合わせていくうちに自分の居場所がない感覚になりがちな真ん中っ子。
ぜひ自分が楽しめる活動を見つけてみてください。
「なりたい自分」をイメージし、そのために少しずつ新しいチャレンジを続けることで、自己肯定感が高まります。[7]
また、他人の目を気にすることなく「自分らしく」いられるでしょう。
自分自身を楽しませる活動が自分の新たな居場所になることも考えられます。
自分の気持ちを大切にする
心の健康を保つために、自分の気持ちを大切にする習慣をつけましょう。
素直な気持ちを日記やメモに書くことは、抑えていた感情を少しずつ外に出していく練習になります。
「こんなこと書いていいのかな」と思わなくて大丈夫です。
実際に書いたものを読んでみると、自分の思いもよらない考えに気づいたり、思考の整理にもなったりしますよ。[6]
ありのままの自分を受け入れ、気持ちを書き出すことで心のケアを行いましょう。
感情や意見を相手に伝える
自分の意見をしっかりと伝えることは、真ん中っ子にとって大切なスキルです。
たとえ相手と意見が異なっていても、我慢せずに主張する練習をしていくことで、自分の意志を大切にする力が身につきます。
自己主張していくことは、始めは中々難しいかもしれません。
そんなときは「自分の意見を言う際に相手の気持ちも尊重する」という方法がおすすめです。
「あなたの気持ちもわかるけど、私はこう思っているんだよ。」
というような伝え方です。
少しずつ本音を言う練習をしていくことで、心が楽になるでしょう。
まとめ
真ん中っ子として育った経験が、愛着障害や自己肯定感の低下につながることがあります。
自分の気持ちを抑えてしまう、居場所がない感覚になる、といった心の問題があらわれることも。
心の健康を保つには、まずは自分の気持ちを大切にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
また新しいチャレンジをすることで、自分の居場所や楽しみを見つけられ、自己肯定感を高めるチャンスにもなります。
真ん中っ子としての特性を理解しつつ少しずつ心のケアを行い、より自分らしい生き方を見つけていきましょう。
24時間予約受付中
参考文献・サイト
[1]<書籍>『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田尊司,光文社新書,2011年
[2]<論文>乳幼児期の移行対象と指しやぶりに関する調査研究,富田 昌平,中国学園紀要
Journal of Chugokugakuen,巻 6, p. 127-138, 2007-06-16
https://cur-ren.repo.nii.ac.jp/records/773
[3]きょうだいの順番、本当に性格と関係ある? 薄れる根拠 ナショナル ジオグラフィック – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG287J70Y4A620C2000000/#:~:text=%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%80%81%E5%BC%9F,%E5%AF%BE%E6%8A%97%E5%BF%83%E3%82%92%E6%8A%B1%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82
[4]<書籍>『兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか』根元裕幸,WAVE出版
[5]<論文>きょうだい関係とは何か―個別性と関係性を探る―,磯崎 三喜年,子ども社会研究 25 号 子ども社会研究の窓テーマセッション・Ⅱ「きょうだい関係とは何か ―個別性と関係性を探る―」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/25/0/25_185/_pdf/-char/ja
[6]今の気持ちを書いてみる|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html
[7]「なりたい自分」に目を向ける|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_04.html
[8]<論文>大学生におけるアサーションと対人ストレスの関連性:自己表現の 3 タイプに着目して,関口奈保美,ストレス科学研究 2011, 26, 40-47
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/26/0/26_0_40/_pdf
- この記事の編集者
- 宮川 しおり
メンタル心理カウンセラー・看護師・養護教諭。公立病院や学校での勤務経験あり。現在は医療・健康分野のフリーライターとして活動中。