体のあちこちに痛みを感じるのは、ストレスと関係があります。ストレスは体にさまざまな影響を与え、痛みの原因となるのです。
ストレスによる体のあちこちの痛みに対処するには、入浴やストレッチで筋肉をほぐし、睡眠や運動でストレスを解消することが大切です。
この記事では、ストレスで体に痛みが生じるメカニズム、体のあちこちの痛みを改善する方法について解説します。ストレスと体の痛みの関係を理解し、適切な対処法を知って、心身の健康維持に役立ててくださいね。
ストレスで体に痛みが生じるメカニズム
ストレスが原因で体のあちこちに痛みが生じるメカニズムは、体と心の密接な関係によるものです。脳がストレスを感知して、体の生命活動に関わる機能を維持しようとします。この機能は「自律神経系」「内分泌系」「免疫系」の3つのシステムで支えられています。 ストレスが強いと、システムを維持できなくなり、さまざまな不調を引き起こすのです。[1]
また、ストレスは筋肉の緊張を高め、血圧を上昇させます。[2]筋肉が緊張すると、血流が悪くなって疲労物質がたまりやすくなります。その結果、肩こりや腰痛、頭痛などの痛みが生じやすくなるのです。
ストレスによる体の痛みが起きやすい病気
ストレスによって体の痛みが起きる病気には、以下の3つが考えられます。
それぞれの特徴や症状について詳しく見ていきましょう。
うつ病
うつ病とは「気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」などの精神症状と、不眠や疲れやすさなどの身体症状があらわれる病気です。身体症状の中でも、以下のような痛みが出ることがあります。[3]
- 頭痛
- 腰痛
- 肩こり
うつ病の人は、何らかの身体的な痛みを訴えることがあり、精神的な苦しさよりも強く感じるケースもあります。
うつ病の人が内科を受診した際に訴える症状には、体の症状が多く、精神症状についての相談は少ないと報告されています。[3]うつ病による体の痛みは、うつ病の治療をすれば、体の痛みも改善されるようになるでしょう。
線維筋痛症
線維筋痛症とは、3ヶ月以上にわたって、全身の筋肉や関節に痛みが引き起こされる病気です。痛み以外にも、疲労、抑うつ気分、物忘れなどのさまざまな症状があらわれます。共通した症状がみられないため、日本では線維筋痛症の診断が遅れるケースがあります。[4]
線維筋痛症の原因は、まだ完全には明らかにされていません。ただ、ストレスも要因のひとつになると考えられています。[5]痛みによる刺激がないのに、脳にある痛みの回路が反応してしまうため、体のあちこちが痛むと感じるのです。
発症の原因がまだ明らかにされていないため、治療法も確立されていません。現在では、薬物療法、運動療法、心理療法などの治療が行われています。
体のあちこちが痛いときは、病院で相談してみましょうね💦
自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスによって自律神経のバランスが崩れることで発症する病気です。自律神経失調症になると、以下のような症状があらわれます。[6]
- 頭痛
- 腹痛
- 動悸
- めまい
- 吐き気
自律神経のバランスが崩れると、体の機能が正常に働かなくなってしまいます。とくに、ストレスの多い現代社会では、自律神経失調症になるリスクが高くなるのです。
ストレスの解消をすれば、体の痛みを和らげることができるでしょう。適度な運動や休息を取り入れて、気持ちをリフレッシュさせることが大切です。[7]
体のあちこちの痛みを改善する方法
ストレスによる体の痛みを改善する方法には、以下の5つがあります。
日常生活に取り入れると、痛みを和らげることができます。それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
睡眠をとる
十分な睡眠をとることは、ストレスによる体の痛みを改善するために重要です。
睡眠には、1日の活動でたまった疲労やストレスから回復する役割があります。1日6時間以上は寝るようにしましょう。[8]質の良い睡眠をとるためには、起きる時間と寝る時間を一定にすることが大切です。
また、寝る前にスマホやパソコンの画面を見るのを避け、リラックスできる環境を整えましょう。スマホにはブルーライトが多く含まれており、体内時計がずれる恐れがあります。部屋の温度を20℃前後にし、湿度を40~70%くらいに保つと、眠りやすい環境にできます。
アロマを炊いて眠るのも良さそうですね!
お風呂に入る
お風呂に入ることは、ストレスによる体の痛みを和らげるのに効果的です。
お風呂に入ると血行が良くなって、筋肉の緊張がほぐれます。さらに、新陳代謝が活発になるため、痛みから早く回復できるのです。お湯にゆっくりと浸かると、副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。[9][10]
入浴中に軽いストレッチを行うと、さらに筋肉の緊張をほぐせます。ただし、長時間の入浴や熱すぎるお湯は逆効果になる可能性があるので、15〜20分程度を目安にしましょう。お風呂は寝る1~2時間前に済ませておくと、より良質な睡眠につながります。[8]
ストレッチを行う
ストレスによる体の痛みを和らげる方法に、ストレッチがあります。
ストレッチは、筋肉の緊張をほぐして血行を促進し、柔軟性を高めます。ストレッチを行うときは、無理をせず、痛みを感じない範囲で行うことが大切です。[11]
ゆっくりと呼吸をしながら行い、1つのポーズを20〜30秒程度するのがよいでしょう。肩や首など伸ばす部位を意識しながら、気持ちいいと感じるとこまで伸ばしてください。[12]ストレッチは、朝起きたときや寝る前、デスクワークの合間など、生活の中に取り入れやすい時間に行うとよいでしょう。
無理のない範囲で運動する
適度な運動は、ストレスを改善するのに有効です。
運動には、ネガティブな気分を発散させたり、心身をリラックスさせて睡眠リズムを整える働きがあります。ただし、ムリをして体に負担をかけすぎると、逆効果になる可能性があるため、自分の体力に合わせた運動を選ぶことが大切です。
まずは、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動から始めてみましょう。1日20分ほど、体が汗ばむくらいまで続けてみてください。[13]運動をする習慣がない人は、毎日5分でも動くことを意識しましょう。慣れてきたら、徐々に運動の時間や強度を増やしてみてくださいね。
軽い運動習慣がつくとストレス発散しやすくなりますよ♪
リラックスできる時間をつくる
ストレスによる体の痛みを改善するには、意識的にリラックスできる時間をつくることが大切です。
リラックスすることで、心身の疲労を回復させる効果が期待できます。簡単にできるリラックスする方法には、深呼吸があります。以下のポイントを意識して、試してみましょう。[14]
ゆっくりと5秒かけて、お腹を膨らませるように吸う
ゆっくりと10秒かけて、膨らませたお腹を戻すように吐く
他にも好きな音楽を聴く、趣味の時間を持つ、自然の中で過ごすなどの方法があります。
1日の中で10〜15分でもリラックスの時間をつくると、ストレスを和らげることができます。自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常生活に取り入れていきましょう。
まとめ
体のあちこちが痛くなる原因には、ストレスが考えられます。また、うつ病や自律神経失調症などの病気につながる可能性もあります。そのため、早めの対策が重要です。
ストレスによる痛みを改善するためには、十分な睡眠をとる、お風呂でリラックスするなどの方法を試してみてください。日常生活に取り入れると、ストレスによる体の痛みを和らげることができます。
ストレスと上手に付き合いながら、体の声に耳を傾けることが大切です。もし痛みが長引いたり、日常生活に支障をきたしたりするときは、医療機関への相談も検討しましょう。ストレスを抱えて悩んでいる人は、いつでもおおかみこころのクリニックに相談に来てくださいね。
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【参考文献】
[1]ストレスとは|働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/column-3.html
[2]ストレス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-6_0003.pdf
[3]体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう|e-ヘルスネット(厚生労働省)
[4]線維筋痛症|公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター
[5]線維筋痛症|MSDマニュアル家庭版
[6]自律神経失調症|千葉県医師会
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium52_1-4.pdf
[7]自律神経失調症|一般社団法人日本臨床内科医会
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
[8]健康づくりのための睡眠ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[9]普段、入浴はシャワーにしていますが、湯船につかった方が良いと言われました。その理由を教えてください。|千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/321.html
[10]ええことづくめ!お風呂の健康効果とおすすめの入浴法|大阪市水道局
https://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000488972.html
[11]共通「メンタルヘルス対策」安全衛生のポイント
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/02_common_mental_jp.pdf
[12]ストレッチングの実際|e-ヘルスネット(厚生労働省)
[13]体を動かす|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html
[14]ストレスと上手につきあおう リラクセーションのすすめ
https://kokoro.mhlw.go.jp/video/files/slide_yamaguchi.pdf