「なんであの人はあんなに平気でいられるんだろう」
「どうして、そんなにはっきり自分の意見を言えるの?」
「そんなにサッと切り替えられてすごいな」
職場や日常生活の中で、ふとそんな疑問を抱いたことはありませんか?
HSPは病気ではなく生まれ持った気質で、約5人に1人があてはまるといわれています。[1]
人と比べるのではなく「わたしはわたしのままでいいんだ」と認められると、心穏やかな日常が送れるでしょう。
この記事では、HSPじゃない人の感覚や自分と比べてこころが苦しくなったときの対処法などを解説します。
HSPのあなたが「このままでもいいんだ」と思えるヒントになりますと幸いです。
HSPじゃない人の感覚
HSPとそうでない人では、日常の感じ方に大きな違いがあります。
HSPは繊細な気質をもつため、生きづらさを抱えて生活している人も少なくありません。
周囲を気にして過ごすあまりに、自己評価が低くなったり適応障害やうつ病になりやすかったりもします。[1]
HSPの提唱者であるアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士は、HSPの人には共通する4つの特徴「DOES(ダズ)」があると述べています。
DOESの内容は以下のとおりです。[1]
- 深く、丁寧に考える(Depth of processing)
- 過剰に刺激を受けやすい(Easily Overstimulated)
- 感情の反応が強く、とくに共感性が高い(Emotionally reactive)
- 些細な刺激を察知する(Sensitive to subtle stimuli)
このような特徴が見られない人がHSPじゃない人です。
HSPじゃない人の感覚の具体例として、次のようなことが挙げられます。
- ミスをしても引きずらない
- 言われたことを深読みしない
- 返信が遅くても気にならない
- 思い立ったらすぐに行動できる
- 予定変更やイレギュラーに強い
- 自分の意見をストレートに伝えられる
- 細かい雑音やにおいにあまり気づかない
HSPの人は、HSPじゃない人の感覚に「すごい」や「羨ましい」と感じるかもしれません。
しかし、それは「あなたに何かが足りない」のではなく「感じ方の違い」なのです。
HSPじゃない人と比べて苦しくなるときは、次で紹介する対処法を試してみましょう。
HSPじゃない人と自分を比べて苦しくなるときの対処法
HSPじゃない人と自分を比べて、こころが苦しくなるときは以下のような対処法を試してください。[2]
それぞれ詳しく解説します。
リラックスする時間をつくる
HSPじゃない人と比べて苦しくなるときは、リラックスできる時間をつくりましょう。
HSPの人とHSPじゃない人の感覚には違いがありますが、どちらかが優れているということではありません。
そのため「いいな」「羨ましいな」と感じる気持ちになったときは、その気持ちを否定しないでください。
もし、気分の落ち込みや食欲・やる気の低下がみられたらストレスが溜まっているサインです。[3]
そんなときは、音楽を聞いたり好きなアロマを焚いたりしてリラックスできる時間をつくりましょう。[4]

ゆったりリラックスできる環境で過ごしましょう
他のことに集中して人と距離をとる
HSPじゃない人と比べてこころが苦しくなるときは、あえて考えないようにしたり人と距離をとったりすることも大切です。
たとえば、目の前の作業に集中したり好きな音楽を聴いたり、散歩をするのもよい気分転換になるでしょう。
あなたがつらいと感じるときは、ムリに向き合わずにそっと距離を取ることも自分を守る方法のひとつです。
刺激を減らす時間を意識的につくる
HSPの人は、意識的に「刺激を減らす時間」をつくることが大切です。
光や音、においや周りの雰囲気などを敏感に受け取れることは、HSPの繊細な感性でもあります。
しかし、気づかないうちにこころと身体が疲れてしまう原因にもなるのです。
だからこそ、意識的に刺激を減らす時間をつくる必要があります。
たとえば、以下のような方法を参考にしてください。
- 静かな場所で過ごす
- 好きな香りでほっとひと息つく
- SNSや人づき合いから少し離れる
ほかにも、やわらかい照明やお気に入りの飲み物で、ほっとする空間をつくるのもよいでしょう。
あなたが「心地いい」と感じられる時間を意識してつくることで、気づかないうちに刺激から距離を取ることができるのです。
HSPのまま心穏やかに過ごすためにできること
HSPは生まれ持った気質であるため、その気質自体を変えることはできません。
しかし、周りの環境や人間関係などを少し工夫することで、HSP特有の生きづらさを軽くできます。
そのためには、以下の2つの視点が大切です。[1]
- HSPである自分を認めてあげる
- HSPのよいところを考える
第一に、HSPである自分を認めてあげましょう。
認めることで、今までの生きづらさや人より苦労しやすかった理由が明確になります。
次に、HSPのよいところを考えます。
たとえば以下のようなできごとです。
- 人の気持ちに寄り添う共感力があり信頼されやすい
- 慎重で深く考えるからこそ大きなミスを避けられる
- 空気の変化に敏感だからこそ、場の調和を保とうとする
- 相手のちょっとした表情の変化にすぐに気きづき声をかけられる
こうした特性は、とくに目立つわけではありませんが、実は周囲を支える大きな力なのです。
HSPの特性を活かせる仕事に就くことで、さらに周囲から評価をされやすくなるでしょう。

あなたにも良いところがたくさんありますよ!
HSPの人に向いている仕事は、以下の記事で詳しく解説しています。
まずは「わたしのままで大丈夫」と思える時間を少しずつ増やしてください。
HSPのあなたにとって、心穏やかに過ごすための大切な一歩となるでしょう。
まとめ|感覚の違いを知ることは、自分にやさしくなるきっかけになる
HSPとHSPではない人とでは、日常の感じ方や受け取り方に違いがあります。
その違いに戸惑ったり、羨ましく感じたりするのは自然なことです。
しかし、それは「あなたに何かが足りないから」ではなく、それぞれが持って生まれた感覚の違いにすぎません。
周りと比べて苦しくなったときは、自分を責めるのではなくHSPのよいところに目を向け、やさしく受け止めてあげましょう。
HSPだからこそ、人の気持ちに寄りそえたり場の調和を保ったりできるのです。
もし、人と比べてこころがつらくなったら、おおかみこころのクリニックへお気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]HSPの心を理解する―当事者と私たちにできること―|渡邊 真代
https://www.keiwa-c.ac.jp/wp2021/wp-content/uploads/2021/08/vt028-5.pdf
[2]「HSP」「生きづらさが続く」などで悩んでいる方の相談窓口|蒲郡市
https://www.city.gamagori.lg.jp/site/hokencenter/hsp.html
[3]ストレスサイン|厚生労働省 こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/kokoro/kokoro_03.html
[4]ストレス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-6_0003.pdf
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。