「今日もなんだか疲れたな…」
「どうしてこんなに気にしすぎてしまうんだろう」
HSP(Highly Sensitive Person)の方は、恋愛や職場の人間関係で細かいところへの気づきが多く、疲れてしまうことがあるかもしれません。
HSPは生まれもった気質ですが、少しだけ考え方や環境を変えることで、こころが楽に生きられるようになるでしょう。
この記事では、HSPのつらさをやわらげる考え方や具体的な楽になる方法、限界のサインについて解説します。
HSPとうまくつき合うヒントを見つけて、あなたらしく生きるきっかけになりますと幸いです。
HSPは「治す」より「楽に生きる」が大切
HSPは病気ではないため「治すもの」ではなく、あなたが楽に生きるために「上手に付き合っていくもの」と考えましょう。
たとえば、HSPの特徴には以下のようなものがあります。[1]
- 急かされるのが苦手
- 周りの人の影響を受けやすい
- ちょっとした音・光・ニオイが気になる
このような特徴はネガティブに受け取られやすく、日常生活でも疲れやすさの原因となることがあります。
そのため、つらくならないように工夫をすることが大切です。
ただ、周りを気にしすぎたり刺激へ敏感に反応したりすることを、ムリに治そうとする必要はありません。
大切なのは「こんな自分はダメだ」と否定するのではなく「どうすれば楽に過ごせるか」を見つけることです。
まずは、HSPかどうかチェックしてみるのもよいでしょう。
下記の記事では、HSPのセルフチェックを紹介しています。あわせてご覧ください。
HSPの治し方|つらさが楽になる方法5選
HSPのつらさをやわらげて楽になる方法は、以下の5つです。
毎日の生活に少しずつ取り入れられるため、あなたができそうなものから試してください。
人間関係の距離感を見直す
HSPの人は、相手の表情や言葉に敏感なあまり「嫌われたかも」「空気を悪くしたかも」と自分を責めてしまいがちです。
ただ、すべての人と深くかかわる必要はありません。
HSPの割合は、人口のおよそ15~20%と言われています。[1]
つまり、残り約80%の人はHSPではないため、HSP特有のつらさや気になることを理解するのは難しいのです。
そのため、以下のような人との距離感を見直しましょう。。[1]
- 感情の起伏が激しい人
- 無神経な発言が多い人
- ネガティブな話しばかりする人
- いつも焦っていて急かしてくる人
- こちらの話を聞かずに自分のことばかり話す人
あなたの中で「ここまでは大丈夫」という境界線を意識することが大切です。
その結果、必要以上に疲れる場面が減っていきます。
「近すぎず、遠すぎず」ちょうどいい距離感を、あなたのこころと決めましょう。
HSPじゃない人の感覚は、下記の記事をご覧ください。
刺激の少ない環境をととのえる
HSPの人は、まぶしい照明や大きな音、人混みなどがストレスになるため環境をととのえることが大切です。
環境をととのえると、HSPの人が過ごしやすい空間が作れるでしょう。
たとえば、以下のような環境です。
- 間接照明や静かな音楽を取り入れる
- 仕事中はノイズキャンセリングイヤホンを使う
- 香りや肌ざわりなど安心できるものを身近に置く
このような小さな工夫が、日々の刺激からの疲れを減らしてくれるのです。

あなたにとってストレスの少ない環境を作りましょう
自分の感情を整理する習慣をもつ
HSPの人は、感情の波が大きく一度気になると頭の中でぐるぐると考え込んでしまいます。
そのようなときは、気持ちを書き出す習慣が有効です。[2]
たとえば、以下のように気持ちを書き出しましょう。
- 今日つらかったこと・気になったことを書く
- 頭の中で繰り返している不安をそのまま書き出す
- 「本当はどう思ってた?」と自分に問いかける
書くことで、あなたの思いを外に出して「こう思ってたんだな…」と客観的に気づきやすくなります。
ある大学の研究では、イライラの感情は紙に書いて丸めて捨てると、怒りがやわらぐという報告もあります。[3]
そのため、イライラや不安は自分の中にため込まず、外に吐き出してください。
気持ちを書き出す習慣をつくることで、ストレスを発散しHSPの特性と上手くつき合っていきましょう。
HSPを理解してくれる人とかかわる
HSPのつらさは、なかなか周囲に理解されにくいことがあります。
「考えすぎじゃない?」「気にしすぎだよ」と言われるたびに、さらに落ち込んでしまう人も少なくありません。[1]
だからこそ、HSPを理解してくれる人とのかかわりは、こころの安心につながるのです。
HSPを理解してくれる人とかかわるには、以下のような方法があります。
- カウンセリングを受ける
- 信頼できる人に「ちょっと聞いてほしい」と伝える
- HSPのコミュニティやSNSで同じような気質の人とつながる
あなた自身が否定されない場所があると、それだけでこころが強くなるでしょう。

HSPの人と仲良くなるのもよいでしょう
ムリをしすぎない考え方を身につける
HSPの人は、まじめで頑張りすぎる人が多く「ちゃんとしないと」「迷惑をかけてはいけない」と自分を追い込んでしまう傾向があります。
ムリをしすぎない考え方として、以下が挙げられます。
- 「ちゃんとしなくても大丈夫」と考える
- 予定を詰め込みすぎず何もしない時間をつくる
- 「今日はこれだけできればOK」と自分に声をかける
このように、少しずつ「ムリをしない考え方」を練習しましょう。
完璧じゃなくても大丈夫。周りの人は、あなたが思うより気にしていないことが多いのです。
少しずつ「これくらいで大丈夫かも」と思える練習をしていきましょう。
HSPの限界サイン
HSPの人は「まだ大丈夫」と思い頑張りすぎてしまう傾向があります。
ただ、ムリをして限界を超えると、うつ病や適応障害などのリスクが高まるため注意が必要です。
こころと身体の限界のサインは、以下のようなことが挙げられます。[4]
- 疲れているのに眠れない・食欲がわかない日が続く
- 「ちゃんとしなきゃ」と思うほど何もできなくなる
- 休日なのに何もする気が起きず横になって過ごしている
- 恋人のちょっとした一言を何度も思い出して涙が止まらなくなる
- 職場で上司に注意されると頭が真っ白になりしばらく立ち直れない
まずは、自分の限界に気づくことが大切です。
つらいと感じたときは、休んだり助けを求めたりしましょう。
「HSPだから」「いつものこと」と軽く考えず、こころのSOSに気づいてください。
ときにはおおかみこころのクリニックに、あなたのつらさを吐き出しにきてくださいね。
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まとめ|HSPを治すより楽に生きる方法を見つけよう
HSPは「治すもの」ではなく「うまく付き合っていくもの」です。
あなたの感じやすさや敏感さは、決して悪いことではありません。
ただ、毎日の刺激や人間関係でこころが疲れてしまうなら、考え方や環境を少し変えることで、楽に生きやすくなるでしょう。
まずは「今の自分でも大丈夫」と受けとめて、できるところから少しずつ生活をととのえてください。
「少し話を聞いてほしいな」と思ったときは、おおかみこころのクリニックがお力になります。 あなたのこころが少しでも軽くなるきっかけになりますように。
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おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]日本における HSP 支援の現状と展望:障害概念と関連させてp4|金丸 彰寿 、平井 絵梨香
https://shoin.repo.nii.ac.jp/record/2000066/files/11_joks5_kanamaru_hirai.pdf
[2]今の気持ちを書いてみる|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html
[3]紙とともに去りぬ~怒りを「書いて捨てる」と気持ちが鎮まることを実証~|名古屋大学
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/upload_images/20240410_i.pdf
[4]うつ病|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士として精神科で17年の臨床経験を積み、現在は訪問リハビリに従事。経験を生かしメンタルヘルスを中心に、やさしく寄り添う文章を心がけて執筆しています。