大人の発達障害で嫌な記憶がフラッシュバック!対処法と生活の中でできる工夫を紹介







最近、昔の嫌な記憶がフラッシュバックしてつらいんです

浅田先生
浅田先生

フラッシュバックはきついですね…それはどうにかしたいですよね。
今回は、フラッシュバックが起きたときの対処法や予防策についてお話していきましょう!

突然、昔の嫌な記憶がよみがえるフラッシュバック。

「フラッシュバックをどうにかしたい」

「発達障害だからフラッシュバックするのかな…治したいな」

他の人には見えないからこそ、ひとりで悩んでいる方が多くいます。

発達障害の方は、発達障害の特性や生きづらさによってフラッシュバックを起こしやすいと言われています。[1]
「仕方ないか…」と諦めずに、適切な対処をすることが大切です。

今回は、発達障害とフラッシュバックの関係性やフラッシュバックが起きたときの対処法について紹介していきます。

大人の発達障害~フラッシュバックとの関係~

記憶は「憶える」「憶えておく」「思い出す」という過程をたどります。[10]
発達障害におけるフラッシュバックは、この記憶回路の障害が関係しているとされていますが、はっきりとは分かっていません。[1]

ですが、下記のような発達障害の特性が関連しているとされています。

  • コミュニケーションの苦手さ
  • 感覚の過敏さ
  • ずば抜けた記憶力のよさ

このような発達障害の特性により、子どものころからストレスを抱えている方は多いです。そして、何かのきっかけでその時の嫌な記憶がフラッシュバックするのです。[2][3]

ASD(自閉症スペクトラム症)の方に多い能力で、写真のように詳細に記憶する「カメラアイ」があります。このずば抜けた記憶力が、昔の嫌な記憶が鮮明にフラッシュバックさせるのです。[4]

※カメラアイはASDの方に必ずあるわけではありません。

また、ASDの中に分類されるアスペルガー症候群では、思考のコントロールの不器用さが、フラッシュバックを引き起こしていると言われています。[1]

こころちゃん
こころちゃん

きついですよね💦
ひとりで悩まないで相談しましょう

フラッシュバックが起きたときの対処法

フラッシュバックが起きたら、安心できる環境に避難することが大切です。心の平穏を保つことで嫌な記憶から離れ、気持ちを落ち着かせることができます。[2][6]

フラッシュバックが起きているときは、嫌な記憶によって「こわい」「逃げ出したい」「イライラする」と不安になるでしょう。

そのため、下記のような状況やものを考えてみてください。

  • 人の声を聞くと安心できる
  • 匂いを嗅ぐと安心できる
  • 音楽を聴くと安心できる

このようにフラッシュバックが起きたときのお守りがあると安心できるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

「これがあるから大丈夫」と思えるものがあると安心です

嫌な記憶がフラッシュバックは治るのか

フラッシュバックを治す明確な治療法は解明されていないものの、薬物療法が有効とされています。[1][5]

薬物療法だけでなく、今以上のトラウマを増やさないことや、今までのトラウマ(虐待を含む)をケアし改善していく必要があります。[9]

そのため、長い目で見て治療していく必要があるのです。

いずれにせよ、嫌な記憶がフラッシュバックしないように、対策する必要があります。

対策については次で紹介していきます。

こころちゃん
こころちゃん

スグに治るものではないため、ひとりで悩まないでくださいね

フラッシュバック日常生活でできる工夫

フラッシュバックを予防するために、下記のような生活の中における工夫も大切です。

ひとつずつ見ていきましょう。

ストレスを溜めないようにする

フラッシュバックはストレスと大きく関係しています。ストレスが多いとフラッシュバックが起きやすいと言われています。[1]

まずは、自分がどこにストレスを感じやすいのかを考えてみましょう。

  • 対人関係によるストレス
  • 生活環境によるストレス
  • 五感が敏感なことで感じるストレス
  • 得意不得意によるストレス

 そして、下記のような自分に合ったストレス発散方法を探しましょう。[7]

  • 身体を動かす
  • 今の気持ちを書き出してみる
  • 腹式呼吸をくり返す
  • なりたい自分を想像する

他のストレスへの対処法については、下記の記事をご覧ください。

嫌な記憶を思い出さないようにする

嫌な記憶を思い出さないようにすることは、とても簡単なフラッシュバック対策です。[1]

実際に、この方法をとっている方は多くいます。

フラッシュバックは思い出せば思い出すほど、フラッシュバックしやすくなる可能性があると言われています。そのため「嫌な記憶を思い出さないようにする」ということは、合理的な対策といえるでしょう。[1]

集中して取り組めるものを見つける

フラッシュバックが起きる状況はどのような状況でしょうか。

気分や状況がきっかけでフラッシュバックするならば、その引き金となるできごとに応じた対応をしましょう。

  • イライラしているときに起きる
  • 人混みに行ったときに起きる
  • トイレやおふろなど狭い空間で起きる

このように、フラッシュバックのきっかけがはっきりしているならば、その状況にならないように工夫することから始めてみましょう。

一方で、何もしていない暇なときやぼんやりしているときにフラッシュバックが起きることもあります。そんなときは、暇な時間のすごし方や新しいことへ挑戦してみるなど、生活の中に生きがいを見つけてみるのもよいでしょう。[1]

こころちゃん
こころちゃん

何かに集中することで嫌な記憶を思い出すことも減る可能性がありますね

大人の発達障害フラッシュバック|まとめ

昔の嫌な記憶が鮮明によみがえるフラッシュバック。発達障害の特性との関係がありました。

フラッシュバックが起きたときは、安心できる状況やモノに避難して心の平穏につとめましょう。

他の人から見えないからこそ、ひとりで悩んでいる方が多いのです。ひとりで抱え込むと、そのストレスから別の心の病気になることもあります。

おおかみこころのクリニックに、あなたの気持ちを吐き出しにきてみませんか?

いつでもご相談お待ちしています。

24時間予約受付中

参考文献
[1] フラッシュバックの対応と工夫|明神下診療所 米田 衆介
https://myoujinshita.jp/archive/asp_heart7_2.pdf

[2]発達障害とトラウマ|杉山 登志郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscap/58/4/58_544/_pdf/-char/ja

[3]ストレス関連障害を示す発達障害|ストレス関連障害を示す発達障害|林 剛丞,江川 純,染矢 俊幸
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/30/0/30_10/_pdf/-char/ja

[4]自閉症スペクトラムの認知特性と視覚芸術|華園 力
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vision/30/4/30_171/_pdf/-char/en

[5]【Q&A】嫌な記憶 フラッシュバックは治る?|NHK
https://www.nhk.or.jp/kenko/qa/detail_506.html

[6]心の外傷とその対応|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/005/002.htm

[7]こころと体のセルフケア|厚生労働省こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html

[8] 昔の記憶がよみがえり、こまります(QA)|COMHBO地域精神保健福祉機構

[9] 自閉症の精神病理|杉山 登志郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/japanacademyofas/13/2/13_5/_pdf

[10]記憶は脳の中でどのように表現される?人の記憶の過程とその脳内機構|月浦 崇先生 大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 准教授
https://www.kyoto-u.ac.jp/kurenai/201609/gakumon/

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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