過敏性腸症候群(IBS)で仕事に行けないときの診断書のもらい方




過敏性腸症候群でも診断書をもらえるの?

浅田先生
浅田先生

過敏性腸症候群の症状により日常に支障が出ている場合は、もらえることがあります。

過敏性腸症候群は、精神的ストレスが原因で腹痛や下痢などの症状が続く状態を指します。症状の程度によっては、職場や学校生活に支障が出るケースも少なくありません。ただし、休職する際には、診断書が必要となります。

この記事では、過敏性腸症候群での診断書のもらい方について詳しく解説します。

休職のために診断書を必要としている方は、ぜひ参考にしてください。

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群は精神的なストレスや自律神経の乱れから起こる、下痢や腹痛の症状のことです。検査を行っても、異常が見られないことも少なくありません。

過敏性腸症候群では、下痢や便秘、腹痛などの消化器症状が繰り返し起こります。症状の程度には個人差がありますが、激しい下痢や絞めつけられるような腹痛に見舞われ、トイレから離れられない状態になることもあります。[1]こうした症状は日常生活に大きな支障をきたし、会社や学校に行けなくなることもあるのです。

過敏性腸症候群は、どの年代でも発症する可能性のある病気です。とくに、20代から40代の働き盛りの世代に多いとされています。

こころちゃん
こころちゃん

緊張するとお腹痛くなっちゃうやつだぁ~💦

過敏性腸症候群で診断書が必要となる場合

過敏性腸症候群の症状の程度によっては、会社に行けなくなることも少なくありません。症状が治るまで一定期間休養するためには、医師の診断書が必要になることがほとんどです。

ここでは、過敏性腸症候群で診断書が必要となる場合について解説します。

診断書は、あとからでも書いてもらうことはできます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

休職を考えたとき

休職の際には、医師の診断書が必要となります。[2]

過敏性腸症候群は、検査をしても異常が見つからないことがほとんどです。そのため、病気として理解されにくい側面があります。

しかし、激しい腹痛や下痢の症状が続く場合、働くことも困難となり、休職を考えることもあるでしょう。

とくに、職場環境や人間関係などにストレスを感じ、それが過敏性腸症候群の症状を悪化させている場合には、一時的に休養することで症状が治まります。

過敏性腸症候群による症状で休職を希望する際には、診断書を提出することで会社側も本人の症状の深刻さを理解しやすくなります。休職の手続きもスムーズに進められるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

診断書は医師が診察で必要と判断したときに発行されるため「医師に休職が必要と判断された」という、証明書のような扱いになります。

職場での配慮が必要なとき

休職や退職までは必要ないものの、症状を改善するために業務内容の変更や配慮が必要になる場合も、会社によっては診断書の提出を求められることがあります。

たとえば「残業の少ない業務に変更したい」「部署異動を希望する」といった場合です。

過敏性腸症候群は、ストレスがおもな原因とされています。症状の悪化を防ぐにはストレス要因から離れることが必要です。

診断書があれば、本人の希望に加えて医師の判断という正当な理由があることが伝わり、業務内容を配慮してもらいやすくなるでしょう。

ただし、希望が通るかどうかは会社や状況によって変わります。

過敏性腸症候群で診断書を発行できる受診科

過敏性腸症候群の診断と治療に関わる診療科は、消化器内科(内科)と精神科・心療内科です。診断書の発行は、どちらの診療科でもかまいません。

消化器内科では、過敏性腸症候群に伴う下痢、便秘、腹痛などの消化器症状の改善を目的とした治療を行います。

一方、精神科や心療内科では、原因となるストレス症状の改善を目指します。また、過敏性腸症候群に合併しやすい不安や抑うつ症状の治療にも対応できるでしょう。[3]

過敏性腸症候群は、身体とこころの両面から治療が必要な病気なのです。

おおかみこころのクリニックは、LINEでの相談も受け付けています。いつでもご相談ください。

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過敏性腸症候群とうまく付き合う方法

過敏性腸症候群は、症状が改善するまでに時間がかかることがあります。症状をコントロールしながらうまく付き合っていくには、食事や運動などの生活習慣を整えることも大切です。

食事に気を付ける

過敏性腸症候群では、特定の食品を摂取すると症状があらわれやすいといわれています。

下痢や腹痛の症状があらわれやすい食品には、以下のようなものがあります。[3]

  • 脂質が多い食事
  • カフェイン飲料
  • 香辛料を多く含む刺激物
  • 牛乳

過敏性腸症候群の症状を抑えるためには、症状があらわれやすい食品を控え、食事内容に気を付けましょう。一方で、食物繊維の摂取は便秘の改善につながるため、積極的な摂取が推奨されています。

また、症状の改善にはプロバイオティクスが効果的です。

プロバイオティクスとは、腸内環境を整える働きをする生きた微生物を含む食品のことです。ヨーグルトや乳製品に含まれていることが多く、便秘や下痢の改善などの効果が報告されています。[3]

症状が悪化しやすい食品を避け、症状を改善する効果のある食品を摂取することで、過敏性腸症候群の症状を軽減できるでしょう。

適度に運動する

過敏性腸症候群の症状改善には、適度な運動が効果的です。

運動は腸の蠕動運動を促進して便通改善につながったり、運動のストレスの解消やリラックス効果により痛みの緩和につながります。また、嘔吐やゲップ、過剰な満腹感といった症状の改善にも役立つでしょう。[3]

ただし、過度の運動はかえって体力的・精神的な負担となることもあります。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲での適度な運動をこころがけましょう。

こころちゃん
こころちゃん

「できそうかな?」と思える軽い運動からはじめてみましょう!

専門的な治療を受ける

過敏性腸症候群は、薬によって症状を和らげることもできます。薬をうまく使いながら、生活習慣を整えて、症状をうまくコントロールすることが大切です。

使われる薬の種類は、下剤や整腸剤、鎮痛剤、抗うつ薬、抗不安薬など、その人の症状に応じた薬が処方されます。

とくにストレスが症状の原因となっている場合は、カウンセリングや認知行動療法などの心理療法も有効です。[3]ストレスへの対処法を学ぶことで、症状の改善が期待できるでしょう。

専門的な治療を受けながら、自分に合ったセルフケア方法を見つけていくことが、過敏性腸症候群とうまく付き合っていく秘訣です。

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Q1: 過敏性腸症候群で診断書がもらえない場合はどうしたらよいですか?

診断書を発行してもらえない場合、症状からは確実に過敏性腸症候群と診断できない可能性が考えられます。その場合は、他の病院でセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。

過敏性腸症候群にはさまざまな症状があり、人によってあらわれる症状には違いがあります。典型的な症状が確認できないケースも少なくありません。

また、患者と医師との間で、症状の捉え方や認識にずれが生じていることも考えられます。患者は強い症状を感じているのに、医師はそれほど深刻ではないと判断していることもあるでしょう。

診断書を発行してほしいと思っているのに出してもらえない場合、まずは主治医にその旨をはっきりと伝える必要があります。それでも納得がいかないようであれば、別の医師の診断を受けることで、診断書の発行に理解が得られるかもしれません。

ただし、診断書は公的な病気の証明となる重要な書類です。嘘や偽りの情報を書くことはできません。

適切に症状を医師に伝え、過敏性腸症候群の診断を受けてから診断書を発行してもらいましょう。

こころちゃん
こころちゃん

先生とよく話し合ってみましょう。

Q2: 過敏性腸症候群では傷病手当がもらえますか?

過敏性腸症候群でも、働けない状況であれば一定期間傷病手当を受給できます。ただし、受給できるのは仕事以外でのストレスで症状があらわれている場合のみです。

傷病手当とは、健康保険から支給される給付金のことです。病気やケガで一定期間就労できなかった場合に受け取ることができますが、仕事でのストレスが原因の場合は、労災での扱いとなります。[4]

傷病手当を申請する際には、医師の診断書は必要ありません。ただし、医療者側にも申請書を書いてもらう必要があります。[5]

Q3: 過敏性腸症候群での診断書の発行費用はどれくらいかかりますか?

診断書の発行にかかる費用は、医療機関によって異なります。一般的な相場は2,000円前後であり、高いところでは5,000円ほどです。病院の規模や地域によっても差があり、大学病院や総合病院など規模が大きい病院や都市部では、かかる費用も高い傾向があります。

費用は、診断書の内容によっても変わります。簡単な所見のみの診断書であれば安価ですが、症状の経過や検査データなど詳細な記載が必要な場合には、数千~1万円以上の費用がかかることもあるでしょう。[6]

休職や退職に関わる就労関係の診断書は、健康保険が適用されないため自己負担が原則です。診断書を発行してもらいたい場合は、事前に発行費用を確認しておくと安心ですね。

まとめ

過敏性腸症候群を発症すると、症状の程度によっては休職や部署移動などが必要となる場合があり、診断書の提出を求められることがあります。診断書は、消化器内科や心療内科で発行可能です。

過敏性腸症候群の症状を改善するためにも、診断書をもらい、休職や業務内容を考慮しながら適切な治療とセルフケアを行うことが大切です。

診断書のもらい方を知り、自分自身の症状としっかり向き合っていきましょう。

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参考文献
[1]過敏性腸症候群について|日本大腸肛門病学会
https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=5

[2]心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf

[3]機能性消化管疾患診療ガイドライン2020‐過敏性腸症候群(IBS)(改訂代2版)|日本消化器学会
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/IBSGL2020_.pdf

[4]傷病手当金|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/

[5]申請書ご提出の際の注意点について~傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金~、P10 |全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/osaka/kikaku/sonota/shiryou3.pdf

[6]いくらかかる? 医療機関が発行する各種診断書の料金(2007年 医療機関における文書料金実態調査)|産労総合研究所
https://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/sanro_p070816.pdf

この記事の執筆者
原田瑞季
臨床検査技師。保健学修士。在宅で医療検査の業務に関わりながら、フリーライターとして医療を中心に幅広いジャンルで執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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