うつ病は仕事をしながら克服できる?仕事を続けるときの5つのポイント

先生、うつ病は仕事をしながらでも克服できますか?
休職は周りの目が気になるし、自分の仕事は代わりがいないので休めません。できれば仕事を続けながら治療したいのですが……

浅田先生
浅田先生

確かに休職の決断は勇気がいりますね。

「自分が休むと同僚の負担が増える」
「職場に戻りづらくなるかも…」
と心配する気持ちも分かりますが、基本的には療養に専念するのがおすすめです。

それでも『どうしても休めない』という方のために、今回は仕事をしながらうつ病を克服するポイントを解説します。

状況がかわり、休職するときに利用できる経済的な支援制度についても解説しているので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね!

うつ病は仕事をしながら克服可能!気を付けるべき5つのポイント

うつ病は仕事をしながら克服可能!気を付けるべき5つのポイント!

うつ病は、病状の程度によっては仕事をしながら克服可能です。基本的には休養に専念するのが望ましいですが、状況によっては仕事をつづけたほうがいい場合もあります。[1]仕事を続ける場合は、こまめな休息時間の確保が非常に大切です。

仕事をしながらうつ病を克服するには、次の5つのポイントをみていきましょう。

ひとつずつ解説していきます。

転職や退職などの大きな決断はしない

うつ状態のときは、いつもより物事を悲観的に捉える傾向があります。[2]

極端な選択をしやすいため「転職や退職などの大きな決断は、回復してから」が鉄則です。

まずは、ゆっくりと治療に取り組みましょう。

自己判断で治療を中断しない

うつ病の再発率は60%とされています。[3]また、症状が落ち着いてから1年程度は「再発予防期間」です。

調子がよくても自己判断で薬を減らしたり中断したりせず、治療を継続しましょう。

また、急に仕事量を増やしたり、ストレスの元となった人間関係に戻ったりすることは避け、医師と相談しながら進んでいきましょう。

うつ病は治療をやめなければ立ち直れる可能性が高くなります。治療を続けていくことの大切さについては下記の記事をご覧ください。

残業や夜勤を避け生活リズムを整える

うつ病の治療では、生活リズムを整えることが大切です。[4]

決まった時間に起床し太陽の光を浴びると、セロトニンの分泌量が増えます。

その結果、不安の抑制や睡眠ホルモンの分泌増加による安眠効果が期待でき、病状の安定につながります。病状を安定させるために事情を職場の上司に話し、残業や夜勤を避ける配慮をしてもらうのも一つの手です。

ストレスレベルをモニタリングする

うつ病治療の注意点はストレスをモニタリングすること

うつ病は、過度なストレスが原因とされています。症状の悪化を防ぐためにも、自分のストレスサインを知っておくことは大切です。

「ソワソワして落ち着かないときはレベル4」

「頭がぼんやりして考えがまとまらないときはレベル6」

上のようにストレスレベルを10段階でモニタリングし、6以上になったら休憩するなど自分なりのルールを決めておきましょう。[5]

また、休憩をとりやすくするため、同僚や上司にも事情を説明し協力してもらうのが理想的です。

環境調整をする

病状の安定のためには、うつ病の原因になった環境要因から離れる必要があります。

うつ病のきっかけになりやすいのは、人間関係や職場での役割変化などの「環境要因」だからです。[6]業務過多が原因であれば仕事量を減らしたり、人間関係に問題があるなら配置転換を希望するとよいでしょう。

「自分では職場に言いづらい…」という方は、主治医の診断書や産業医の意見書を職場に提出する方法もあります。おおかみこころのクリニックでは、診察で医師が必要と判断した場合、診断書の即日発行が可能です。受診予約は24時間受け付けているので、お気軽にご相談くださいね。

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また、下記の記事でもうつ病と診断されても仕事を続けていくための対処法を紹介しています。

気になる方はご覧くださいね。

仕事をしながらうつ病治療をする4つのデメリット

仕事をしながらうつ病治療をする4つのデメリット

仕事をしながらうつ病治療をすれば「収入が得られる」というメリットがあります。一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • ストレスがかかり治療が進みづらい
  • 仕事のミスが増える
  • 人間関係に悪影響を及ぼすリスクがある
  • 周囲に心配をかけてしまう

うつ病の原因が仕事のストレスや職場の人間関係の場合、仕事を続けるとストレスから逃げられません。その結果、治療の効果よりもストレスが大きく、治療が進まなかったり病状が悪化したりする可能性があります。

うつ病になると集中力や思考力が低下するため、仕事のミスも増えるでしょう。また、気持ちが不安定になりやすいため、他者の発言を悲観的に受け取ったり攻撃的な態度をとったりして、人間関係にも悪影響を及ぼすことがあります。

無理して出勤しても、仕事が手につかず「この状態では働かせられない」と周囲に心配をかけてしまいます。病状によっては仕事を続けるデメリットが大きいこともあるため、仕事を続けて行くか主治医と相談しながら慎重に話し合っていく必要があります。

うつ病になると仕事能力は低下する?

うつ病が進行すると、仕事における能力は低下する傾向にあります。うつ病になると集中力や判断力が低下するため、適切な判断ができずにミスをすることが増えるからです。

そして、うつ状態のときは自分を責めやすいため、ミスと自責の連鎖で仕事に集中できず、仕事能力はますます低下していくこともあるでしょう。

抗うつ薬を飲みながら仕事はできる?

再発予防期では抗うつ薬を飲みながら仕事も可能ですが、急性期は治療に専念したほうがよいでしょう。

抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかるため、飲みはじめは「効果が出ないのに吐き気や口の渇きなどの副作用ばかり出る」と感じることがあります。[7]

また、眠気が強くなったり頭がぼんやりしたりする場合があります。

これらの副作用は、仕事のミスや効率低下につながるため、抗うつ薬を飲んでいるときの無理は禁物です。病状によっては休養を優先したり、仕事量を減らしたりしましょう。

うつ病で休職するときの4つの経済的支援制度

うつ病で休職するときの4つの経済的支援制度


「デメリットがあるなら休職した方がいいのかも」
「経済的な不安さえなければ休みたい」
と思うかもしれません。

下記の記事では、うつ病で休職する場合の心構えなども紹介していますので合わせてご覧ください。

事前に休職することでどのようなことが起きるのか知っておくことで、今後どうしていくのか決める参考になるでしょう。

また、うつ病で仕事ができなくなると、収入面が不安になります。
以下では、4つの経済的な支援制度について解説します。

うつ病による休職時の経済的支援制度

傷病手当金

療養のために仕事ができないときに、最長1年6か月にわたり健康保険から支給される制度です。[8]

休職期間の給与がない場合や、傷病手当金よりも給与額が少ないときに支払われます。

勤続年数などの条件により異なりますが、給付額の目安は給与額の3分の2です。

詳細については下記の記事をご覧ください。

自立支援医療制度

うつ病や統合失調症など 、「継続した治療が必要な方」の医療費を軽減する制度です。[9]

原則として、医療費は1割負担に軽減されます。

詳しくはこちらの記事(自立支援医療制度)をご覧ください。

おおかみこころのクリニックも自立支援医療機関です。自立支援医療制度についてのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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障害年金

病気やけがのために生活や仕事が制限されるときに、現役世代も含めて支給される制度です。[10]

うつ病は病状により1~3級に分かれており、等級により支給額が異なります。

労災保険

うつ病の原因が仕事(長時間労働や職場のいじめ、セクハラなど)にある場合は、労災保険の受給対象となる可能性があります。[11]

うつ病の原因を特定するのは難しいため、労災として認定されるためには客観的な証拠が必要です。

まとめ

クリニック まとめ

今回は、うつ病を仕事をしながら克服するときのポイントについて解説しました。

うつ病の治療はひとり一人ちがいます。症状によっては、仕事をしながらの治療も可能です。

仕事を続ける場合は「仕事をしながらうつ病を克服するときの5つのポイント」で紹介したように、大きな決断を避けたり生活リズムを整えたりして、病状の安定を優先しましょう。

もしも仕事を休むことになったら、経済的な支援制度を利用すれば経済的な不安を軽減しながら治療に専念できます。

ひとりで悩まずに主治医に相談しながら、仕事と治療のバランスをとりながらうつ病を克服していきましょう。

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参考文献
[1]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf

[2]うつ予防・支援マニュアル(改訂版)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1i.pdf

[3]職場復帰のガイドライン(働く方へ)|厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker/

[4]休養・こころの健康|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html

[5]うつ病の認知療法・認知行動療法|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

[6]うつ病の主な症状と原因|厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002/

[7]抗うつ薬|e-ヘルスネット

[8]傷病手当金について|厚生労働省保険局
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000619554.pdf

[9]自立支援医療制度の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.htm

[10]障害年金|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

[11]労災補償に関する主な制度|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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